相次ぐバストラブルへの安全対策としてふたりが提案するのが「自動ブレーキの義務付け」だ

長野県軽井沢町で起きたスキーツアーの大型バス転落事故で、バス会社が運行前に義務づけられている運転手への健康チェックを怠っていたことがわかった。

杜撰(ずさん)な管理体制が明らかになったわけだが、このニュースに「ただ単純に管理体制だけの問題じゃないような…」と違和感を覚えたのが、『週刊プレイボーイ』本誌で対談コラム「帰ってきた!なんかヘンだよね」を連載中の“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人ひろゆき氏だ。

その理由が、事故の原因と報道されている「下り坂なのに運転手がギアをニュートラルにしていた」という部分だ。ニュートラルにしているとエンジンブレーキが効かないため、減速しないままコントロールできなくなったという説が有力なのだ。

これにひろゆき氏が「世間にはガソリンを節約するために、下り坂でもニュートラルにしている人がいるみたいですよ」と説明すると、堀江氏はびっくり。

「え!? おいおい、それはマジで危険でしょ。節約も何も、それで死んじゃったらすべて終わりだし、節約のために命を危険にさらすくらいなら、その分バイトでもしてお金をためてガソリンを入れたほうがよっぽどマシじゃないの?」

運転手が普段からギアをニュートラルにする習慣があったかどうかはわからない。しかし、そもそも安全より利益を優先する方針が事故につながった可能性はある。

ひろゆき氏は「こういった問題は不況が続く限りは解決しないと思うんですよ。不況だと『不正をしてでも家族を養わなきゃいけない人』が多くなるわけで、社会の安全や治安はどうしても悪化してしまう」と指摘し、堀江氏も「んで、ここでヘンな規制なんかが入ると余計に首を絞めるんだよね」とうなずく。

いくら管理体制を厳しくしても、政府や行政のコストを増やすと増税にもつながるので、企業はさらに苦しむことになるからだ。

しかし、景気が復活するまで安全対策を先送りするわけにはいかない。そこでふたりが「今できる安全対策」として提案するのが「自動ブレーキの義務付け」だ。

「CMでも流れているから知ってる人も多いと思うけど、車間距離や物体を認識する技術は、かなり精度が上がってるんだよね。すでに自動ブレーキや衝突防止装置は実用化されているんだから、ツアーバスとか長距離トラックとか、長距離を走る車とかには装備を義務化すべきだよ」

新幹線や飛行機ではすでに導入も

そう堀江氏が提案するのは理由がある。「俺、大学生の頃にヒッチハイクしていた時に経験したんだけど、俺を乗せた長距離トラックの運転手さんが、疲れていたのか居眠り運転をしたんだよ」という衝撃の体験をしているからだ。

自動ブレーキを義務化せずに、運転手の自己管理に頼っている限り、もっと事故が起こってもおかしくはない。それは将来的な「自動運転」の導入にもつながっていく。ひろゆき氏も「もし自動運転になっていたら、今回のような悲劇は起きなかった気がします」と語る。そして堀江氏は、

「下り坂でニュートラルにするなんてコンピュータではあり得ないミスだよ。だから、最初は自動ブレーキで、最終的には自動運転が搭載されていくのがベストだと思う。実際に新幹線とかもほぼ自動制御されてるようなもんだし、飛行機のオートパイロット(自動操縦)は当たり前に使われてるじゃん。

機械も完璧ではないけれど、人間のほうがエラーの数は桁(けた)ひとつ以上多いはず。特に高齢者は認識能力が落ちるし、脳とか心臓の血管が詰まったりしがちなのは事実だからね。

胃がんとかの既往歴があるとブラックアウト(瞬間的な失神や記憶喪失)もしがちなんだって。もちろん、病気した人が全員そうなるわけじゃないけど、可能性があるのは事実だから、そういった部分は機械をうまく使っていくべきだと思う」

まだまだ「機械はなんとなく怖いから」という理由で反対する人も少なくないが、果たして、人間と機械のどちらが「信用できる」のか。ふたりの結論は自明のようだがーー。

●この全文は『週刊プレイボーイ』7号(2月1日発売)でお読みいただけます!

(イラスト/西アズナブル)