これまで140字に制限されていたツイッターの投稿文字数を「1万字」に拡大すると報道された

年明け早々にツイッターの大改革が話題になった。これまで140字に制限されていた投稿文字数を「1万字」に拡大すると報道されたのだ。

同社CEOのジャック・ドーシーも暗に認める発言をしており、3月末に実装される予定との噂も囁(ささや)かれている。

『週刊プレイボーイ』本誌で対談コラム「帰ってきた!なんかヘンだよね」を連載中の“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏も、IT業界の人間だけあり、このニュースには興味津々。世界中でサービスを展開するソーシャルメディアの決断が吉と出るか凶と出るか、注目しているという。

そもそも、ふたりはツイッターについてどういう印象を持っていたのか? ひろゆき氏は「昔から思ってたんですけど、ツイッターって、サービスを提供するための仕組みがかなり非効率なんですよね」として、こう指摘する。

「例えばメールは1対1の通信なので、相手に送る必要があるデータの量はメール1通分で済みますよね。ところが、ツイッターでフォロワーが100万人いたとすると、ひとつのメッセージを100万人宛てに送らなきゃいけない。もし、堀江さんが10回連続ツイートすると1000万通分の通信が走ることになるんです。

そんで、このロスを少なくする方法として、あまりログインしてないアカウントにはメッセージを送らない方式とかもあったりするんです。要は『毎日ログインしてるわけじゃないから、データを送るのはその人がログインした時でいいや』ってことです。でも、その場合でも負担はそんなに減らなかったりします」

その仕組みはこうだ。例えば1ヵ月に1回ログインする人がいるとする。その人が100人をフォローしていると、ログインした時に100人分の最新ツイートを拾ってこなければならない。ツイートが10個だけでも1000ツイートだ。フォロワーが多ければ、膨大な数になる。だから「結局、コストはかかっちゃうって構造」なのだ。

それならばむしろ、ブログの仕組みのほうがウェブサービスとしては効率的なのではないか、と堀江氏も疑問を呈するが、続けてひろゆき氏は、

「常に最新の情報を届ける必要があるツイッターと違って、ブログはページを『キャッシュ(蓄積)』しておけば、何万人にでも見てもらうことがきます。なので、省力化が図れるわけです。実は僕もツイッターと似たようなサービスを考えたことがあるんですけど、結局サーバーのコストが途方もなく増えそうだったんでやめました」

そのためツイッターは収益化に苦しんでいる。しかも収入源は広告のため、サービスが流行らないと収益も獲得できない。今回の「1万字」への変更も、なんとかユーザーをつなぎ留め、新しい形の収益化を模索するための一手だろう。

ツイッターの広告の動きは鈍すぎる!

しかし堀江氏はそもそも「ツイッターの広告の動きは鈍すぎる」と批判的。「フェイスブックはタイムラインの中にうまく広告を挿入しているけど、それとは比べものにならない」と指摘する。この意見にひろゆき氏もうなずく。

「ツイッターって、フェイスブックなんかと比べて広告の出し方が弱いんですよね。しかも、公式アプリではないサードパーティ(第三者企業)のアプリを使うと広告は表示されない。ビジネスモデルが広告モデルなのに広告が出ないという“太っ腹な”サービスだったりするんですよ」

しかも、サードパーティのアプリに表示される広告は、アプリ側の収益になる。有料アプリを使えば、広告自体をすべて非表示にすることだってできるのだ。だから、赤字が続く最近のツイッターは、サードパーティのアプリを締め出す流れになっている。

ただ、この対応が正しいかどうかは微妙だ。堀江氏が言う。

「広告を入れたり、スマホ対応にするためには締め出さないとどうにもならない状態ではあったと思うけど、ツイッターはサードパーティのアプリと一緒に成長してきた面もあるからなあ。ツイッターのアカウントを利用した動画サービスの『ツイキャス』とかも結構使われていたと思うんだけど、それも締め出しを始めたくらいだからね。その点、やっぱりフェイスブックは一枚も二枚も上手だわ。

位置情報サービスを使った地域別の広告を出したり、動画をうまく組み合わせたりと抜かりない。フェイスブック傘下のインスタグラムも同じで、つい広告をクリックしちゃう人は多いと思うよ。それにフェイスブックは嫌儲(金儲けや宣伝を嫌う意味のネットスラング)じゃない印象がある」

それはフェイスブックが実名制だからであり、嫉妬や負の感情を知り合いに見せたがらない人は多いため、匿名でも利用できるツイッターに「嫌儲」的な発言が増えるのではーーそう、ひろゆき氏は指摘するが、「それを言うなら2ちゃんねるにも嫉妬の書き込みが多いよね」と堀江氏からはツッコみが…。

いずれにせよ、ツイッターの先行きは明るくはない。「経営判断を間違ったら大変なことになる」とふたりも先行きに要注目というわけだ。

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(イラスト/西アズナブル)