“恥ずかしい”という気持ちが芽生えてきた小学校低学年の時、「ぎょう虫シート」はやってくる!(画像は「Wikipedea」より)

文部科学省の学校保健安全法の施行規則が4月末に改正され、学校での健康診断の項目から「ぎょう虫検査」(寄生虫卵検査)が2015年度限りで廃止されることになった(九州などの一部地域では存続も検討)。

ぎょう虫などの寄生虫卵検査は小学3年生以下に義務付けられ、昭和33年から行なわれてきたが、衛生環境の改善に伴い、子供の寄生虫感染率は低下。過去10年の検出率は1%以下となっているのが廃止の理由だという。

つまり、朝起きて眠い中、あの青いフィルムシートをお尻にペタンとやっていた思い出を、今後、小学生たちは経験しなくなるということだ。

そこで、この検査廃止に哀悼(あいとう)の意を表し?、検査を受けていた20~40代の各世代に「思い出エピソード」を緊急取材。ひとつの時代の終焉を惜しんでみたい…! 

■ 自分でやったけど失敗しちゃった編

「初めてぎょう虫検査した時にやり方がよくわからなくて、朝起きて1発目に出たう●こにシートをこすりつければいいと思ってました。学校で提出した時にやたら自分のだけがう●こ色だったのでおかしいと思ったんですけど、後から仲間に正しいやり方聞いてビビりましたね」(28歳/自動車整備工)

「忘れっぽい性格なので、毎回、ぎょう虫検査をするのを忘れて、提出日の朝に泣く泣く学校のトイレでひとりでやってました(苦笑)」(29歳/建築業)

「ずっと自分でぎょう虫検査をしてたんですけど、どうやってやったらいいのか全くわからなかったんですね。正しいやり方はお尻の穴の周りにペタンとやればいいんですけど、僕は指と一緒にア○ルに1センチくらい突っ込んでたんですよ。それがいけなかったのか、小学生ながら軽いキレ痔を患(わずら)ったことがありました(汗)」(35歳/販売員)

「ちゃんとお尻を清潔にしても、なぜか毎回シートにう●こついちゃうんだよなぁ…」(27歳/工場員)

■オカンとの思い出編

「朝起きるのが弱くて、いつも学校遅刻してたんですよ。だから、ぎょう虫検査がある時は、朝になるとオカンにお尻をペロンと差し出してやってもらってました。今思うとどんな羞恥プレイだよと思いますが、あの頃は面倒でやってもらってましたねぇ」(35歳/会社員)

「毎回、お母さんにやってもらっていました。でも1回、検査でひっかかったことがあって、先生からプリントをもらったんです。そこには『家族全員でぎょう虫治療の薬を飲んで下さい』って書いてあって、家族の間でちょっとした問題になりましたね。ぎょう虫検査は家族にも関わる感染症みたいなので、なくなるのはちょっと怖いです」(30歳/事務員)

「小さい頃からかなり恥ずかしがりやな性格だったので、親にぎょう虫検査をしているのがバレるのがいやで、隠れてこそこそひとりでやってました。でも小学3年生の時にトイレで検査をしていたら、なかなかトイレから出てこない母親が心配してガチャッて急にドアを開けてきたんですよ。

めっちゃ恥ずかしかったですけど、親は『検査があるならちゃんと言いなさい!』と心配してくれて。それからはちゃんと母親の言うことを聞くようになりました」(25歳/販売員)

「ぎょう虫検査」は親子の絆を深める儀式?

■ 特殊エピソード編

「小学生の時から自分でやるようにしていましたね。でもそんなことより思い出に残っているのは小学5年くらいに流行った都市伝説。ぎょう虫検査の時期になると、必ず『菊●桃子の検便が盗まれた』というウワサがどこからともなく湧(わ)き上がるんですよ。当時、サブカル雑誌でよく言われていた話で、彼女も17、18歳くらいだったと思います。それを聞いた男子たちの間では、やたらと悶々(もんもん)とした空気が流れていたのを覚えていますね」(44歳/IT系会社員)

「小学1年の時にぎょう虫検査でひっかかった友達がいて、そのことがクラス全員にバレちゃったんですよ。それ以来、そのコは友達からハブられちゃって…。そんなトラウマがあったので、検査の時はひっかからないようにお尻の穴じゃなく、意図的にちょっとズラしてペタンってやってました。そのせいか、ずっとスルーしてましたけど、やっぱちゃんとやっとけばよかったと今は思います」(32歳/看護師)

「特に失敗談とかはないですけど、クラスでめっちゃ好きだった女子のぎょう虫検査を提出する姿は今でも鮮明に覚えていますね。まだ小学生でオ●ニーとか覚えていなかったですけど、股間に何かしらがチャージされている興奮はありました。今、そんな検査があったら、家帰って抜けちゃいますよ(照)」(26歳/会社員)

■ もはや事件レベル編

「いたずらしてやろうと思って、ぎょう虫検査シートを飼い犬の肛門につけて提出したことがあったんですよ。そしたら後日、授業中の教室に先生が飛び込んできて強制的に保健室に連行。なんか校庭には救急車とか来ちゃってて、マスクにゴーグルをつけた完全防備の救急隊員に事情聴取されました。いたずらだって話をしたら、数日後にう●こちびるほど先生にしばかれた記憶があります…」(43歳/建築業経営者)

「小さい頃、ウチはめちゃめちゃ貧乏だったんで、時々、じいちゃんと一緒に野原でスズメを狩猟して食ってたんですよ。そのせいかわからないけど、ぎょう虫検査でもろに引っかかって、先生に『すぐ病院に行ってきなさい!』ってものすごい心配されました。やっぱ野生生物食うのは、よくなかったんスかねぇ」(38歳/製造業)

さすが歴史あり? やはり各世代で懐かしくも盛り上がるらしく、面白エピソードも多々集まったが、ある会社員の男性のコメントには心に響くものが…。

「ぎょう虫検査なくなるの? オレは朝にズボン脱がされて、四つん這(ば)いになってオカンに毎回やってもらってたんだけど、ある意味、あの行為って生物としては最大の弱点を晒(さら)す瞬間だよね。でもそれって親子の絶対的な信頼関係があるからできることであって、それがなくなると世の中ますます親子の関係が悪くなりそうな気がするよ…。

最近は家族間の確執から凶悪犯罪が起こってるし、ぎょう虫検査ってそういう絆(きずな)の深め合いの役目もあったんじゃないのかな」(38歳/会社員)

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犯罪抑止!? ちょっと大げさな気がしますが、子が親に「ペッタン」してもらうという行為はもちろん、小学生だった僕たちに与えた忘れがたい経験と影響は大きかったワケだ。ありがとう、「ぎょう虫検査」。そして、さようなら!

(取材・文/HIROTAX)