アラフォー男性で疲れやすい、ダルさが抜けないなどを感じ始めたら要注意

最近、妙に疲れているし、やる気も出ないし、よく眠れない。どこか悪いのかも?…と不安になった時に思い浮かびがちなのは、うつ病など精神的な問題。

ところが、それは更年期かもしれないのだ! 最近は30代の若い世代でも更年期が始まるという話もある。男性の更年期とは一体、どうなっているのか?

「更年期」という単語は知っていても、女性向けの印象が強い人もまだ多いかもしれない。しかし、男性にもそれは起こる。何歳くらいで、なぜ起きて、どんな症状が現れるのか…。

男性は女性に比べて情報も少なく、まだまだいろなことがわからないらしいが、そこで男性更年期専門外来を設置するメンズヘルスクリニック東京の辻村晃医師(順天堂大学医学部附属浦安病院 泌尿器科 先任准教授)に尋ねた。

■分岐点は40歳。感じたことのない疲れに気をつけろ!

―男性更年期は、なぜ起こるのでしょうか?

「男性ホルモンの主な構成成分である、テストステロンの低下が主たる原因とされています。男性ホルモンは睾丸(こうがん)で95%作られるのですが、加齢により、これを作る能力が落ちます。そして男性ホルモンの働きが影響している臓器に影響が出ます。結果、性欲を司る脳、骨、生殖器の働きが悪くなり、筋力の強度を保つことが難しくなっていきます」

―テストステロンの低下が起こる目安は、何歳なんでしょうか? 最近は30代でも男性更年期になるという話も聞きます。

「体調が悪いことを話した知り合いや家族から男性更年期のことを聞いて来院する若い人は当クリニックにもいますが、検査をすると心配ない場合がほとんど。だいたい50代半ばくらいから始まるのが主になりますが、2007年に発刊された診療の手引き(日本泌尿器科学会および日本Men’s Health医学会公認)によると、診療対象の目安は40歳になっています。

ただ、症状にも男性ホルモンの量にも個人差があります。検査結果のテストステロンの数値が年齢の平均数値内におさまっていても、急に症状が出る場合もあるんですよ。ポイントは1回ではなく、定期的に検査をすること。自分の男性力の変化がわかりやすくなりますしね」

―男性更年期は、どのような症状が出るのでしょうか?

「筋肉量が少なくなって、内臓に脂肪がつきやすくなるためメタボになる。疲れやすくなり、火照(ほて)りを感じる、汗をかきやすくなります。骨密度が薄くなり、動脈硬化が出やすくなりますね」

―自覚症状でわかりやすいのは、疲れとメタボくらいです。男性更年期ならではの特徴はあるのでしょうか?

「疲れやすさのレベルは、仕事は無理やりに行けるけれど休日は全く出かける気が起きないくらい。以前、通院するのにタクシーを使わないといけないほど疲れがひどくて、治療をしたら電車に乗れるようになった患者さんもいました」

―疲れのレベルがケタ違い! それまで感じたことのない倦怠(けんたい)感に支配されるということのようですね。

「ふたつ目は精神的なもの。落ち込みやすい、鬱(うつ)っぽい、不安になる、パニックを起こす、イライラするなどです。先ほどの患者さんは、実は疲れだけなくパニックを起こすのがしんどいというのもあって、電車に乗れなかったんですね」

「朝勃ち」が大切なバロメーター!

―心療内科を受診したくなる症状ですが…。

「実はマンガ家の故・はらたいらさんが更年期の本を出した14、5年前あたりから、男性更年期は精神面の落ち込みもクローズアップされているんですね。その証拠に気分が落ち込むだけでテストステロンの数値も下がるんですよ」

―落ち込むからテストステロンが減るのか、テストステロンが減るから落ち込むのか。どちらなのでしょうか?

「どちらが先かを診断するのは非常に難しいです。しかし、体調そのものが思わしくない症状であっても、本当に更年期かどうかは男性ホルモンを検査しないとわかりません。そのため、以前は内科や心療内科や様々な科目を受診して、最終的に泌尿器科を受診する方も多かったですね」

―男性更年期は泌尿器科で診(み)られるんですか?

「そうです。今は男性更年期の認知度が上がったので、最初から泌尿器科で受診する方も増えましたし、患者数そのものも増えてきた印象がありますね」

―以前は老化現象のひと言で片付けられていた患者も、しっかり病名がついたということなんですね。

「加えて、注意すべき3つ目は性的な変化です。朝勃ちがない、勃起しない、性欲が下がったなどです」

―ある程度の年齢になると、朝勃ちしないと嘆く声も多いですが…。

「朝勃ちとは、レム睡眠時に生じる運動現象のひとつが夜間勃起現象であり、ストレス解消作業と言われています。テストステロン値が低いと、この現象が起こらなくなることが知られています。しかし、朝勃ちに対しては無意識のため、聞かれて考えて、『そういえば、ないかな?』などスッと答えられない場合が多いもの。ですが、人は就寝中に3~4回勃起をします。

寝ている間でも勃起していれば問題ありません。“朝”に確認できないのは、生活のリズムが狂っている場合も考えさせますが…。なお、就寝中に勃起しているかどうかは、当クリニックの「男性力ドック」の中で検査ツールを用意しています」

―「男性力ドック」とは…? 自分の男性力が現在どのくらいか、また男性更年期なのかどうかの判別は、実は簡単に検査できるようで…。次回、来週水曜配信予定で実体験する!

●取材協力/辻村晃先生(メンズヘルスクリニック東京 男性更年期専門外来、男性妊活外来主任担当医。順天堂大学医学部附属浦安病院 泌尿器科 先任准教授

メンズヘルスクリニック東京 「男性更年期専門外来」以外に、「AGA専門外来」、「男性皮膚専門外来」、「前立腺がんサポート外来」、「男性妊活外来」、「テストステロンアップ外来」を設置した、男性力を上げるためのクリニック。住所:東京都千代田区丸の内1-11-1パシフィックセンチュリープレイス丸の内 10F 電話:03-5224-5551

(取材・文/渡邉裕美)