2年にわたる長い現役生活を終え、解説者として初めてのキャンプを迎えた山本昌

32年にわたる長い現役生活を終え、解説者として初めてのキャンプを迎えた山本昌氏。

慣れ親しんだはずのグラウンドはまるで別世界。寂しさ、驚き、期待ーー様々な思いが駆け巡る…。中でも、ドラゴンズのキャンプ地である沖縄を訪れた際には、その思いはひとしおだったようだ。

発売中の『週刊プレイボーイ』10号では、そんな初のキャンプ取材を体験した山本昌氏のレポートを掲載。その一部をここでは紹介しよう。

 * * *

ここ3年間、ドラゴンズはBクラスに沈んでいます。3年連続というのは、僕が在籍していた32年間で初めてのこと。今年こそは強さを取り戻して、ぜひとも上位争いをしてほしいです。

もともと投手陣はいいですから、あとは野手次第。新外国人のビシエド選手は楽しみな長距離砲ですし、無理やりにでも成長させなきゃいけない高橋選手も目の色を変えて頑張っています。

ルーキーにも活躍が期待できる選手がいましたね。小笠原(慎之介)・佐藤(優)両投手はキレのいい速いボールを投げていましたし、ドラフト3位の木下(拓哉)捕手も非常にキャッチング技術が高いと感じました。

個人的に注目しているのは、去年1試合も投げられなかった岩瀬(仁紀)投手。中日が淡々と勝利を手にできていたのは、試合の終盤に彼が控えていたからです。チーム最年長になった彼の復活は他の投手の支えにもなりますし、しっかり調整してシーズンに備えてほしいですね。

二軍が練習する読谷村にも顔を出したんですが、大雨が降る中、僕の背番号34を引き継いだ福(敬登)投手が挨拶しに来てくれました。長年親しんだ番号を目の前にしても、特別な感慨はありませんでしたね。

あの番号はもう球団にお返ししたもの。周囲からはとやかく言われるでしょうけど、早く「34」を自分の番号にしてもらうため、「気楽に頑張れ」と声をかけました。

巨人、ソフトバンクで目についたふたりの投手

かつての背番号に別れを告げた後は、宮崎に飛んで中日の上位進出の壁となるだろう2球団を取材しました。その中では、ふたりの投手が目につきましたね。

まずは巨人の若きエース、菅野(智之)投手。昨年は終盤に追いつかれたり、逆転されたりすることが多かった。おそらく、スライダーとフォークの投げすぎで指に疲れが出たのが原因。本人もそこは自覚していて、このキャンプでは指を強化しているそうです。ブルペンも見ましたけど、非常に大きなフォームで力強いボールを投げていました。

去年圧倒的な強さを見せたソフトバンクでは、5年ぶりに日本球界に復帰した和田(毅)投手がよかったですね。メジャーから日本に戻ってくる選手はパフォーマンスが落ちている場合があるのですが、和田君はいい状態をキープしていました。左ヒジのケガも完全に癒(い)えたようで、キレのある素晴らしいボールを投げていましたし、間違いなく大きな戦力になるでしょう。

ちょっと注目する選手が投手に偏りがちですかね(汗)。キャンプ取材はまだ続きますから、各球団の強さの秘密をより深く探りたいと思います。

キャンプを見終わったら順位予想をしなきゃいけないんですが…。これが結構、憂鬱なんですよねぇ。

* * *

やはり現役時代の影響か、他球団でも投手の仕上がりが気になるらしい。今も取材継続中の山本昌氏のキャンプレポート全文は『週刊プレイボーイ』10号でお読みいただけます!

(取材・文/村瀬秀信 撮影/繁昌良司)

■週刊プレイボーイ10号(2月22日発売)「解説者1年生 山本昌 2週間で7球団を巡った!!『初めて外からキャンプを見たら……』」より