すべて記載し終えるのに約10分ほどかかる問診票では、日常生活で意識していない男性力が浮き彫りになる

疲れがとれない、やる気も出ない、休日は寝てばかり…年をとったからではなく、男性ホルモンの低下による男性更年期が始まったせいかも!? 

そんな男性更年期は今や専門外来を設ける病院も多数。そこで、現在の男性力がわかる「男性力ドック」を体験してきた。

■問診票で浮き彫りに!? 赤裸々、下半身事情

男性更年期は朝勃(だ)ちがない性的なトラブルだけでなく、疲れやすい、メタボになる、汗をかきやすくなる、精神的に落ち込み、うつっぽくなるーーなどの症状が出るということは前回記事(『まだ若いのに…男性の更年期障害はどう見分ける?)で伝えた。

そして特徴的なのは、精神的な落ち込みがより強く出るということ。心療内科の領域と区別がつきにくそうだが、更年期かどうかは血液検査で男性ホルモンの主な構成成分のテストステロンの量でわかるという。

そこで、男性更年期を診断できる「男性力ドック」をメンズヘルスクリニック東京の男性更年期専門外来で受けてみた。

体験するのは、バーのマスターであるGさん(41歳)。毎日、ウィスキーの水割りを最低でも5杯は飲み、昼夜逆転の日々を長年続けている。やせ型のためメタボの心配はなさそうだが、そんな不規則な生活のせいか最近は「疲れが抜けない」ため寝起きからドンヨリ。朝勃ちを目視で確認できる日もあれば、確認できない日もあり、男性力の衰えを感じ始めているという。

では、そんなGさんの「男性力ドック」に密着してみよう。

まずは20枚ほどになる問診票の記載から始まる。質問はメンタルと性的なことが主。「性欲の低下があるか?」、「勃起力は弱くなったか」、「日々の楽しみが少なくなったか」、「夕食後にうたた寝をすることがあるか」、「怒りっぽくなったか」、「身長が低くなったか」など、様々な角度から質問が投げかけられる。

中には一見、更年期とは関係ない質問に思われる内容もあるが、男性ホルモンは生殖器のみならず、筋肉や骨にもその働きが影響している。そのため、男性更年期を判断する重要な材料となるのだ。

続いて、医師による問診や検査内容の説明が行なわれ、検査スタート。身長・体重・首回り・胸囲・胴囲の身体測定の後、様々な箇所を測定していく。

隅から隅まで測定は続く!

① 男性ホルモンが減ると、筋肉は減り体脂肪が増える。その兆候は体組成計という機械で筋肉量・体脂肪・体水分量・BMIを測り、判断される。

② 次に骨密度を計測。男性ホルモンが影響する臓器のひとつが骨で、数値が低くなると骨が薄くなっていく。骨密度を測り、年齢の標準時と照らし合わせて密度が適切か診る。

③ 続いて、血管年齢を測定。勃起力が落ちるのは、全身の血管の老化の前兆とされるため、血管年齢からも男性ホルモンの減少があるかどうかわかる。実は動脈硬化の判断材料にも。

④ また、筋力が減れば握力も落ちていく。握力を計測することで、現在どのくらいの力を保っているのかの目安にする。

⑤ 人差し指(2D)と薬指(4D)の対比がわかるように両手をスキャンして、もともと持っている男性力(ホルモン力)を推定する。これは、胎児が母親の胎内にいる時、分泌された男性ホルモンが胎児の器官形成を調節する遺伝子に働いて、指の長さにも影響するためだという。

⑥ 最後に血液検査。総蛋白(らんぱく)、中性脂肪、HDL―コレステロールなどの生化、LH(黄体形成ホルモン)、FHS(卵包刺激ホルモン)、プロラクチン、テストステロン、フリーテストステロンなどのホルモンの数値を検査する。

およそ30分で検査は終了。血液検査の結果がわかる2週間後に再び来院し、担当医から現在の男性力について告げられる。その後、次の診察まで「エレクトメーター」というものを装着して、就寝時の勃起力も測るという。

就寝時に勃起しているかどうか測る「エレクトメーター」。メモリは簡単に動くようになっていて勃起をすれば直径が広がり、収まればエレクトメーターが自然と外れるため就寝時の勃起を測ることができる

やせ型のGさんは体脂肪が低く、筋肉量もほどほどで見た目でイメージできる部分はクリアしてそうだが、果たして…!?

■来週水曜配信予定の次回は、Gさんの診断結果を元に男性更年期の治療と対策についてリサーチ!

●取材協力メンズヘルスクリニック東京 「男性更年期専門外来」以外に、「AGA専門外来」、「男性皮膚専門外来」、「前立腺がんサポート外来」、「男性妊活外来」、「テストステロンアップ外来」を設置した、男性力を上げるためのクリニック。住所:東京都千代田区丸の内1-11-1パシフィックセンチュリープレイス丸の内 10F 電話:03-5224-5551

(取材・文/渡邉裕美)