崖っぷちの親たちが、あのブログに共感したのでしょう

匿名の投稿サイトに掲載された「保育園落ちた日本死ね!!!」という悲痛な叫びに全国の同じ境遇にいる母親たちが共感、国会前でデモを起こすまでに発展した。

当初、安倍首相は「(匿名の投稿なので真実かどうか)確認しようがない」と黙殺する姿勢を見せていたが、騒動の拡大を感じ取ったのか、「(待機児童の受け皿作りは)かなり速いスピードで進めている」と後日、発言内容を修正する一幕も…。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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私がいわゆる「保活」をしたのは10年以上前ですが、すでに激戦でした。しかし今の状況はさらに悪化しています。

知り合いの女性たちは「復職予定だったが保育園がまだ決まらない!」「保活で心身すり減って、もう限界!」など追い詰められており、ようやく決まった認可外保育所はバスを乗り継いで40分、という送迎地獄に泣いている人も。

*子供を保育所に入れるために保護者が行なう活動のこと

どんな演説より雄弁に、どんなポスターよりハッキリと人々にメッセージを伝えるのは、制度。いくら「応援してるよ」と言われても制度が不十分なら、ああ、自分はこの社会から「いらない」「関心ない」って言われてるんだな、と思います。掛け声と裏腹に制度が人に冷たいのだったら、口ばっかりじゃん!って怒りたくもなりますよね。

働きながら家族と生きるというシンプルなことがこんなに難しい世の中って、おかしくないか?

必死に働いて、税金を払い、上の世代を支え、次世代を育てている子育て世代の心の叫びは当然。きれい事の掛け声はいらない。たった一通の保育所からの受け入れ通知が欲しい。そんな崖っぷちの親たちが、あのブログに共感したのでしょう。

小島慶子(Kojima Keiko)タレント、エッセイスト。保活をしたのは2000年代初頭。幼い頃からいろいろな大人や子供と触れ合える保育園で育ったせいか、息子たちは人見知りゼロ。親も保育士さんからたくさんのことを学んだ