来日して30年、波瀾万丈な経験を経て「100歳まで生きるからね!」と語るマルシアさん

あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』

前回、女優・タレントの芳本美代子さんからご紹介いただいた第19回ゲストは、歌手・タレントのマルシアさん。

ブラジル移民の日系三世として育ち、日本にやって来てから30年。今や知らない人はいないほどの活躍だが、前編では「まだ成功とはいえない」と、今また期する思いも…。そして「素敵に生きたいよね、残りの人生。目指せ100歳!ですから」と宣言ーー。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)

―そこまでですか(笑)。なかなか男はそれ言えないですよ。今、僕は49歳なんですが身体もボロボロで自信ない…(苦笑)。

マルシア なんで男性って皆そう言うんですかね~。100歳まで生きたいって、それ幸せだなぁって思うし。生きましょうよ!100歳。

―松崎しげるさんみたいな方だったら(笑)。実は僕、今年の頭から四十肩、五十肩が出たらしくて、左肩が上がらなくなっただけで気持ちが弱ってますから…。

マルシア それわかります! 女性もいろいろあるのよ。びっくりしちゃうことだらけなんで、最近特に。でも受け入れることが大事で、もうこればっかりはしょうがない。頭の中とか魂はまだ本当に10代だったり、あのまま変わんないんですけどね。でも、体は違いますよ!(笑)

昨日も友達と会ってて、彼女も48歳だけどそういう話になって。なんかイヤだね~っていう会話になっているのが切なくて。それでもね、素敵に生きれたらいいなって、お互い。

―まぁ、そこで今まで当たり前に生きてきたありがたみも思い知って。何かが失われた分、また違う見方で周りにも優しくなれるといいなと思うんですが。

マルシア ね、本当に優しくなりたいですね…なっているとは思うんですけど、まだ足りない所だったりね。…いやでも、まだまだよ。

―そういう前向きさだったり意欲もですが、今も歌のためにボイストレーニング行かれたり、きちんと形に実行されて…。

マルシア やっぱり年齢が上がっていくと、キープするのが大変になってきますからね。今まで全然気にしなくても、あれ?筋力が落ちてる、だからここが痛いんだって思ったり、あちこちで出ているので…。でも舞台はやり続けたいでしょ。ほんとハードで大変だから、そこに立つためにどうすればいいかとか考えますね。

―ほんといろいろ考えますよね。これも私事であれですけど、去年くらいから口笛が出にくくなくなったんですよ。スゴい得意なつもりだったのに…。

マルシア え、なんでですか?

―たぶん頬っぺたとか口周りの筋肉が緩くなったせいか…だから、ほうれい線が出始めたのと同じ理由、タイミングじゃないかと。やっぱり老化ですよね。

マルシア 筋肉のトレーニングすればいいんじゃないですか? 家の鏡の前で変顔とかしてみたり。

―赤信号待ってる時とか、実は顔の筋肉動かしたりしてるんですが(苦笑)。

マルシア 変だよ、そんな人~! それはまずいですよ、やめましょうよ(笑)。でも舞台やってるとね、1時間前からずーっとストレッチとか発声から全部やるんですね。顔の筋肉も全部ほぐして、いろんなやり方あるんですけど。そういうのを習慣にしていますね…私、そういう本出します(笑)。

「芸能界ちょっと休んだ時期もあったので…」

―それは是非(笑)。企画にしましょう!

マルシア まぁ、でも口笛もしょうがないですよね。いろいろ衰えてきますよ。私、何が一番大事かというと、見た目はおいといてやっぱりここかな(胸に手を置く)。年齢が上がっていくと、その人の生き方が顔とか行動とか服装とか全てに出てくるものでしょ。

やっぱりその年齢に合った生き方とか、オーラみたいなのが出るじゃないですか? 作れるものではないかもしれないけど、自分の周りに常にそういう心穏やかな、いいオーラがあればいいなと思ってますけどね。

―そういえば、ブログで書かれている“真夜中の囁(ささや)き”っていう文章も、読者だけではなく自分自身にそういうスピリチュアルな意識付けをさせているような…。

マルシア あると思います、絶対。そういうことを発信してると思う。世の中が今、特にすごい進化してる時代だからこそ、心配な部分もあるんですね。ストレスも鬱(うつ)病もあったり、いろんな新しい病気が増えてると思うんですよ。特に今はそういうのが凝り固まってるから、ちょっとでもほぐしてあげられたらいいなって。

私も本当に心のストレスで、芸能界ちょっと休んだ時期もあったので…。けど、全然それは間違った選択をその時にしたと思ってないんですね。おかげ様で今こうやってまた、ね。だからそういう人達に向けても、ちょっと何か伝えられればっていうのは自分の中にあるんです。

―自分がそういう風になった時は驚きなのか…ショックでした?

マルシア まぁ、そこまで理性はなかったですね。気付いたら落ちていたので…もう、這(は)い上がろうとも思ってなかったし。どん底にずっとひとりぼっちのような感覚で…。でも何ヵ月か経てば、やっぱり、あ、光が見えてきたって出てくる。周りのサポートが大事ですよね。大丈夫とか、頑張れとか一切言っちゃいけないんですよ。それ聞くと、ウザイとか思ってしまうものだし。そういうのじゃなくて、そっとするとか。あんまり声かけないとか。

―そういう意味でも必要な休みだったんですね。ダメな自分で弱ってても今はいいよとか、甘やかすこともありじゃないですか? 特に完璧主義の人こそ…。

マルシア なんで知ってるんですか(笑)。どこまで私のこと調べてんの!? まぁまぁ、そういう神経質な部分もあるから…おそらく今喋っててわかると思うんですけど。だからこそ、こうなっちゃうかもしれないですね。やっぱりなんか、その頃はいろんな事がありすぎちゃって。

でも最近、上手く付き合ってますよ、そういう自分と。例えば、お掃除を完璧にしないとじゃないけど、以前は何するのでも掃除機かけてからじゃないと気が済まなかったんですよ。最近、それをなくしてます。今日は疲れてるでしょって。

「別に再婚とかも考えてないですし…」

―そういえばプロフィールの趣味のところにも掃除ってありましたね(笑)。

マルシア 今日も娘が学校行くために、本当は6時半頃には起きてお弁当作りとかあったけど、もう春休みだしいいじゃない、2時間後に起きたってとか思えるようになりましたね。ちょっと緩ませてます。この間、大学の受験まですごい気を張ってたんで…。

私は教育ママでもなんでもないし、舞台のお稽古と本番でなんにもできないけど、せめてご飯だけはと思って頑張っちゃう。朝6時半に作って、行ってらっしゃいって送って。今はそういうのが何もないから、いいよいいよって自分に言い聞かせてる。神経質な方こそ、そういう自分と話したほうがいいね。別にさ、1日掃除しなくても死なないですしね。

―逆に、それが自分の励みや支えになるのなら、あえて課してでもやるってのもありますかね。…ちょうど僕の会社の同期でやっぱりシングルマザーがいるんですけど。一昨日くらい、娘さんが高校卒業で最後の日だったらしいんですね。

入学した時、毎日お弁当を作るっていうのを決めて、結構、酒好きなんですけど(笑)、どんなに夜中まで外で飲んで帰っても、必ずやっぱり朝起きてお弁当を作って。それをやりとげました、今日が最後ですっていうのがフェイスブックに載っていて。

マルシア なんか、感動するね。

―マイ弁当をよくアップしてたのは見てたんですけど、やりすぎと言われたりもした中で、娘にやってあげられた、たったひとつ頑張ったものだった、みたいな書き込みで。いろんな思いがあったんだなと。

マルシア わかる、それ。何かすごくわかる。…涙出てきちゃった。なんだろうね、彼女もそうだけど、私も何かを約束したいよね。絶対そういうのって見てくれていると思うし、背中見てて、子供も絶対そうすると思う。すごく普通のことかもしれない、当たり前かもしれないけど、でも愛情だったり、それが子供の魂を作ってるんですよね。働きながら、シングルマザーって簡単なことではないです。本当に大変だと思うもん。

―それをやり遂げた本人にしか到底わかりえない思いなのかと…。

マルシア そうですね。私は今、随分と楽になったな。もう大学生になると、これしといてって言ったらやってくれるし。やっと第二の人生が見えてきましたね。どっかもう旅立っていくのを準備している感じがしますね。

―新たな心機一転みたいな気持ちでいうとどうなんでしょう。男性に関して最近、見方が変わった部分とかもあります?

マルシア でも、別に再婚とかも考えてないですし…人を好きになれたらいいと思ってるんですけど、なれないんだもん。しょうがない(笑)。これも進化なのか衰えなのかわからないですけど…あっ、変わってきたんだって、笑っちゃうよね。ある意味、悲しいけど、でも今の自分はこうなんだって思ってます。

「誰を紹介すればいい? ラモスとか…」

―でもそれこそ、思いがけず急にまた訪れるものでは?

マルシア 王子様?

―いやいや(苦笑)、オジサマじゃダメなんでしょうか。

マルシア だったら、うー!がつく王子がいいです。すみませんね、そこは欲張りますよ(笑)。でも結婚とかそういう約束はおいといて、なんか人を好きになる、ときめくとか、楽しいお食事とか時間。そういうのはいいなと。

なんですけど、今は本当に忙しい…っていうのも言い訳ですね。時間は作るものだし、いくら忙しくても好きな人だったら、全然平気平気ってなりますもんね。でも、こればっかりはわかんないなぁ。だから待ってるだけだね。

―今の仕事や歌に対する目標であったり、やるべきことがあるから、それ以上の気持ちになれないというのも?

マルシア そうですね。でもそれが全部って言っちゃうと寂しいじゃんねー。仕事がすべてとかひとりでいいとか、それはイヤだよ。でも食事行きましょうとかお誘いあっても今、お断りしてますね。忙しくてっていうより疲れちゃって。だからダメなんだな…チャンスを見逃すんですよ。

―今はそれなりの出会いしかないってことですかね(笑)。

マルシア 結局、そういうこと。素晴らしいお言葉出ました(拍手)。それ以上のエネルギーを費やすことも意味ないんですよ。だからいいんです。

―ちなみに最初の話に出たブラジルの占い師はまだご存命なんですか?

マルシア いや、わかんないんですよね。でも、もう80、90歳くらいだから…。今度7月にブラジルに帰る予定なんで聞いてみようかな。

―人生のポイントでご託宣を受けて。今、こういう話をしたのも何かの巡り合わせかも知れませんよ(笑)。来日30年ですし。

マルシア そうだよね! 私もちょっと気になってる。何かあるのかしら…。でも大丈夫だけどね、私、100まで生きるから。

―ははは。それまで僕は無理でもずっと友達の輪は続いて、マルシアさんに後2、3回は折々で登場していただければ(笑)。ほんと、どういう縁でまたすぐに回ってくるかわかりませんから。

マルシア えーーっ、回んないですよ。で、次は私、誰を紹介すればいい? ラモスとか出てくれるかな? すっごい忙しそうだけどね。

「だから娘にも1回も彼の悪口を言ってない」

―元サッカー日本代表のラモス瑠偉さんですか! 今はJ2のFC岐阜で監督をされてますね。Jリーグが開幕したところで微妙ですけど、受けていただけるなら…。ちなみに、マルシアさんはみっちょんからのご紹介でしたが、元旦那さん同士が仲良かったということで。実は大鶴義丹さんも第14回のゲストに出ていただいてるんです。

マルシア なんでやねん(笑)。もうやったの? あの人、面白いでしょう。いちいち発想とか。まぁ旦那だったからね(笑)。

―今もそう言えるのはいいですね。

マルシア 離婚しちゃったし、いろいろあったけど。彼には本当に感謝してます。人生の中で愛した人ですし、彼と出会うのは私達の子供を産むための出会いだったと思って。別れてしまって、その時期はあれだけど、子供の業務連絡とかあって、大学のことも相談したのは全部父親の義丹で。そういうひとりの人間としてすごい尊敬してる。毎回ありがとうって、本当感謝してるって今でも言うんです。

―そう思えるのが救いでもあり。別れた後に憎み合ったり、悪口だけ言ってるとか、そういうカップルもたくさんいますもんね。その愛し合ってた時の気持ちも否定するの?みたいな。

マルシア 結構多いですよね。人は恨んじゃいけない。どんなことされても恨んではいけない。必ずその人に返ってくるだろうし、私達がやっていることは本当に修行ですから。ちゃんと普通に生きてれば、自分が思っている道を歩んでいけば間違いないと思うんです。

だから娘にも私は1回も彼の悪口を言ってないし、本当にそう思ってるからね。あの人は面白い人で才能の持ち主だし。すごい引き出しを持ってる人で、趣味も多彩だし勉強家。

―本当に魅力的な、いろいろな発想の引き出しを持ってる方だなと。どこか憎めないカワイらしさも感じましたし(笑)。

マルシア そう、それで私はね、まずいんですよ。趣味がないんですよ。趣味、これから作ります! まずね、やっぱり体とか健康…何かそうやって繋げていくのがベストかな。

―普通にスタイルもよく、全然変わらない感じで細いですけど…。

マルシア 細いから良いわけではないんですよね。年を重ねると、やっぱり肉があったほうがいいんだけど、体質でなかなかつかないんですよ。でもおいしいもの大好きだし。食べるの好きなんですけどね。

―なるほど。まぁでも舞台とかですごくエネルギーを消耗してるでしょうしね。

マルシア すごく疲れるんですよ。でもまぁ上手く付き合っていきますよ。趣味も作って、口笛吹いて(笑)。100歳まで生きるからね。

―(笑)。僕もめげずに鍛え直します。今日はありがとうございました!

第20回は3月27日(日)配信予定! ゲストは元Jリーガー・日本代表のラモス瑠偉さんです。

(撮影/塔下智士)

●マルシア1969年2月14日生まれ。ブラジル・サンパウロ州、モジダスクルゼス市出身。1985年4月にTBS歌謡選手権ブラジル大会にて準優勝。翌年、TX外国人歌謡大賞でブラジル代表に選ばれ初来日を果たす。東京で行なわれた「ワールドチャンピオン大会」ではフレンドシップ賞に輝き、審査員を務めた作曲家の猪俣公章氏の目に止まりスカウトされ、89年1月に『ふりむけばヨコハマ』で歌手デビュー。15万枚を超えるヒットとなり、新人賞など賞を総ナメに。翌年には紅白歌合戦に初出場、初のディナーショーを開催するなど順調にキャリアを積む。記念すべき来日30周年となる今年、デビューシングルから最新シングルまでを含むベストアルバム『マルシア ベスト・コレクション2016』を3月30日にリリース!