火祭りの期間中は街中にたくさんの巨大オブジェ「ファリャ」が展示されてます!

ファイヤ~! 今回やってきたのは、スペイン・バレンシア「火祭り」

日本では「大人の火遊び」が世間を騒がしているようですが、こちらスペインでは「本気の火遊び」で街中が大騒ぎです。

どちらもヤケドしないようにね!なんちゃって。

さて、昼下がりのバレンシアに到着すると、早速、耳をつんざく爆発音。

「ババンッ!! ババンッ!! バンッ!! バンッ!!!!!」

あまりの激しい音に寿命が縮まるかと思いましたが、これは祭り期間中に連日行なわれる爆竹ショーだった。

そんなお出迎えにビビりながら旧市街に足を踏み入れると、狭い路地や広場など街の至る所に可愛いオブジェが展示されていた。「火祭り」を彩る「ファリャ」と呼ばれる張子人形だ。

大小、数百体も展示されているという張子人形「ファリャ」

アニメキャラクターのような人物や動物、3Dポリゴンのような多角形型デザイン、皮肉めいたストーリーを感じるユニークな作品など、種類は様々でどれもクオリティーが高い。

豪華な作りに目を奪われ夢中になっていると、路上で誰かが突然鳴らす爆竹にまたしてもビクッとさせられる。

爆竹に夢中の子供たち。なんだか危なっかしい

数々の爆竹に驚かされながらやっと宿に到着すると、今度は宿前の大通りで「献花パレード」が始まった。

音楽隊のズンドコ賑(にぎ)やかなリズムと共に、民族衣装に身を包んだ老若男女や家族からベビーカーまでもが街を練り歩く。しかもこのパレード、なんと15時半~23時半まで8時間も続いた。長すぎる!(笑)

聖母マリアに捧げる献花パレード

さらに、深夜1時頃から花火の打ち上げが始まり、その後も夜通し爆竹の音が鳴り響く。

同室のイタリア男子ミゲルは「うるさくて眠れん! トマティーナにしろ火祭りにしろスペイン人はクレイジーだ(情熱的すぎるよ)」と苦笑い。どうやらスペイン人のお祭り騒ぎには陽気なイタリア人もお手上げの様子。

深夜に始まる打ち上げ花火

スペインの国技「闘牛」も開幕!

そんな賑やかな「火祭り」は春を告げる祭りとも言われ、あわせてスペインの国技「闘牛」のシーズンも開幕。

私は早速、闘牛場へ向かった。

闘牛場外観。「闘牛」は3~10月がシーズン

入口前ではダフ屋が「ブルファイト(闘牛)の当日券30ユーロでどうだい?」と声をかけてきた。

一応、チケット窓口もチェックすると「ブルファイトは完売だけど、明後日開催のアクロバット闘牛が13ユーロでオススメだよ」と言う。…ん? 闘牛が2種類あるとは初耳だ。

結局、私は両方購入し、まずは当日のブルファイトを観るために夕方の闘牛場に入場した。

闘牛場内部。人々は突進してくる牛をかわし板の裏に隠れる

場内はほぼ満席で、目の前にはすでに500キロ程の大きな牛が走り回っていた。

数人の男がピンクの布を翻(ひるがえ)しながら牛を操っていると、馬に乗った人間が突然、ヤリで牛をひと突き!

「ええええ! ウソでしょ!?」

さらに、3人の男たちがモリを6本打ち込むと、牛はそれが刺さったままの体で血を流し、呼吸を荒くした。

そこに煌(きら)びやかな衣装を着た闘牛士が現れると、赤い布をヒラヒラと動かし牛を翻弄(ほんろう)。最後には剣で牛の急所を刺して、息の根を止めたのだ!

「ショック…。闘牛って、赤い布でヒラリと牛をかわすだけじゃなかったの?」

会場に拍手が湧き、観客は彼が英雄と言わんばかりに白いハンカチを振って喝采を送ったが、私は目の前で倒れこむ牛の姿にショックすぎて言葉がでなかった。

日本のTVで見たことのある闘牛ではこんなシーンなかったので知らなかったが、実はこれがスペインの伝統的闘牛なのだ。

牛から隠れる壁。TVでやってるのはここに隠れたりするのが多いよね

火祭りもクライマックスへ!

後日、「アクロバット闘牛」を観に再び闘牛場にやってくると、今度は闘牛場半分くらいの席が埋まり、若い女の子や家族連れが多かった。

この競技は丸腰の人間が牛の角をギリギリのところでかわすという度胸試しタイプ。牛を殺すこともなく、人間が怪我をしない限りは血を見ることもない。

闘牛士が見事な宙返りで牛を避けると、客席からは女子の黄色い声援が上がり、ドヤ顔でガッツポーズ。

青空の下、ビールやホットドッグを片手にみんなで「ブラボー!」と盛り上がり、牛もなんだか楽しそうでこれには私も大満足。終わった後は闘牛場にも降りることができるし、13ユーロは安いかも~!

「ブルリーピング」と呼ばれるアクロバット闘牛

正面から突進してくる牛を抑え込む団体競技もあった

さて、インパクトのある闘牛に食われ気味だが、ついに火祭りもクライマックスとなる。最終日の夜は、ファリャを順番に燃やして祭りが終了するのだけど、1年がかりで作ったファリャを燃やしてしまうなんてもったいなさすぎる!

そう思った矢先に目の前で点火の合図を示す花火が上がり、ファリャに火が点けられた。ゴオォォォォ!

燃え盛るファリャはまるで大火事が起きているかのよう

 

小さいものから燃やしていき、最後は市庁舎前の一番大きなファリャを燃やして終了

ファリャからは真っ黒な煙がモクモクと上がり、すごい勢いで燃えていく。可愛らしい人形たちが黒い悲鳴をあげながら焼け落ちる姿はどことなく怖い。

そしてそれ以上に、燃え上がる炎や落ちてくる火の粉で火事になったりしないのかとヒヤヒヤ…。建物に囲まれた狭い路地で爆竹とか花火とかファリャ燃やしちゃうなんて、スペイン人はスリル好きなのだろうか。

ひとしきりファリャが燃え盛ると、夜空からは花火のカスや灰が舞い散り、街に静けさが戻った。

翌日、セマナ・サンタ(キリストの復活祭を祝う聖週間)が始まった。朝から葉っぱを持った人たちのパレードが…って、もういいよっ(笑)!

【This week’s BLUE】雲ひとつないスペインの青空と収容人数1万6千人を誇るバレンシア闘牛場。オーレ!

●旅人マリーシャ平 川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負 う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】