スターウォーズのロケ地としても有名なセビリアのスペイン広場

オラ! スペインのアンダルシア地方、州都のセビリアにやってきました。

宿で出会ったアルゼンチン人のオーガスト君(8月生まれ)が言いました。

「僕の住む街の人口は3万人だ。セビリアの人口は70万人だって! 70万だよ!? 初めは人が多くて怖かったさ。でも、みんなすごく優しくて大好きになったんだ」

TOKYOの人口を教えたら目の玉飛び出すだろうと思ったけど、英語で千万とかの単位ってなんて言うんだっけか? ド忘れ。

セビリアの街中。バスキング(ストリートパフォーマンス)がオシャレ

とりあえず、せっかくサッカー大国スペインでアルゼンチン人に会ったので、挨拶代わりにメッシの話に変えてみた。すると、

「アルゼンチン人全部がメッシを好きなわけじゃないよ。彼はアルゼンチンを離れてスペインに行ってしまったからね。好き嫌いは半々ってとこだね」

へぇ~! アルゼンチン人は100%全員メッシ好きだと思っていた。セビリアの人口よりそっちのほうがよっぽど驚くよ、私は。

そしてオーガスト君はまたセビリアの話を始めた。どうやらよっぽどお気に入りのようだ。けど、その理由はすぐに私にも理解できた。温暖な地中海性気候、治安も良く物価が安くてゴハンが美味しい、そして都会的なものと歴史あるものとのバランスが良く、観光名所も多い。

特に、スペイン最大・世界3位の規模と言われる「セビリア大聖堂」は見事。

1401年、教会参事会で「後世の人に正気の沙汰ではないと思われるほどの大聖堂を建てよう」と言われ、建てられただけあって、中はギラギラ感が強くゴージャス☆

セビリア大聖堂。1987年に世界遺産に登録されている

そしてコロンブスの棺や宝の部屋があったり、もとはモスク(イスラム教礼拝堂)の尖塔だった「ヒラルダの塔」に上ると、一望できるセビリアの街がこれまた美しい。

たくさん教会を見てきたせいか、最近では5分も居れば満足しちゃうことが多かったけど、セビリア大聖堂では久々に夢中。気づいたら2時間も経過していた。

イスラム教とキリスト教の建築様式が混じり合う大聖堂内部

探検家クリストファー・コロンブスの棺

ちなみに入場料は一般9ユーロ、学生4ユーロで、セビリア人や退職者、無職は無料!

旅人は無職扱い? …なわけないですよね。もちろん一般で入りましたヨ。

スターウォーズのロケ地で

他にも、見学できるマエストランサ闘牛場や、かつて王立タバコ工場だったセビリア大学、スターウォーズのロケ地としても有名なスペイン広場など、ユニークな観光名所が目白押し。

何を隠そう、私はエピソードⅠを開始30分で寝てしまった愚か者なので、残念ながら映画のシーンを知らない。けれど、その美しく開放感のあるスペイン広場に圧倒され、R2-D2のようにくりくり頭を回して360度見回した。

スペイン広場。エピソードⅡでアナキン達が惑星ナブーに着いた直後のシーンの撮影地

大満足の街歩きを終えると、物価の安いアンダルシアはバル飯も最高。ビールは1.20ユーロ、タパスは一皿2ユーロ程度と安く、ひと口サイズのパエリアも私みたいな旅人には嬉しいもんだ。

タパスは安いし、ママ陽気。お会計は机の上にチョークで書かれている

そして一番気になっていたのは、アンダルシア発祥のフラメンコ!

フラメンコについて調べてみると、その歴史ははっきりしておらず、「インド北部の放浪の民ジプシーがアンダルシアに定住し、様々な民族音楽と融合したのが起源」という説が有力らしい。他にも諸説あるけど、「本場はセビリア」という声が多いので、是非ここで見たいと思っていた。

セビリアのお土産屋にはフラメンコの衣装がいっぱい

しかし、見つけたのは「2時間たっぷりのショー、35ユーロでワンドリンク付き」などとパッケージされた本格的なショーばかり。

もっと気軽に見れると思っていたんだけど、観光客向けのディナーショーって感じで、なんだかイメージと違うなぁ…。でも、せっかくセビリアまで来て見ないで帰るのもなぁ…。

悩みに悩んでいると、宿の近くで「フラメンコショー無料」の看板を見つけた。

フラメンコショー無料と書かれた店

店内をチラ見すると、ステージも何もない、なんだか店の真ん中にテーブルをよけた程度の小さなスペースが設けられていた。ネットなどの情報によると、こういったものはクオリティーが低いとか書いてあったけど…。

「まぁタダだし、失敗してもいいか」 期待せずに入ってみることに。

私は2.5ユーロの一番安いグラスワインを頼むと、なぜか一番前に座らされた。チビだからかな。ラッキー。

早速、演者が登場し椅子に腰かけたが、店内のお客は友達同士のおしゃべりに夢中。ワイワイした中で見るのかなと思ったら、演者3人が客に向かって「シーッ」っと注意するのだから堂々たるものだ。

情熱的なフラメンコにタギる

いよいよショーが始まった。

椅子に座ったまま歌い手の男がうなり始めると、もうひとりの男が手拍子や掛け声で合いの手を入れる。

力がこもり過ぎて、今にも椅子から転げ落ちそうなほどジタバタ足を動かしたり、体をビクつかせている。

「もう立ってしまいなよ」と言いたいくらいの様子に初めはクスっと笑いそうだったが、いつのまにかその情熱的なムードは店内を飲み込んでいった。

そして、ついに踊り子が立ち上がると、一気に店内の空気が変わった。

激しいタップダンスのようなステップは「カカカンカカカンッ!」っと、想像よりもずっと大きく甲高い音を立てて鼓膜を刺激する。

キレのよい動きと、なまめかしい指先の動き、そして情熱的な鋭い目力。開襟シャツからのぞくデコルテがじんわり汗ばんでいくのがわかる。

私は、強さとセクシーさを兼ね備えた魅惑的な踊りにすっかり魅了されてしまった。

「カッコイイ! 今までいろんなジャンルのダンスを見てきたけど、この独特な迫力は類を見ないよ! パッション!

撮影禁止のフラメンコショー。椅子のところに演者が座っているのを想像してください

ショーが終えるとチップを集めに来ることもなく、演者たちはトイレで私服に着替え客と同じようにテーブルで乾杯し始めた。色気ムンムンだった踊り子も、私服に着替えるとカジュアルな雰囲気になり思っていたより若く見えた。

「なんかカワイイ。こっちが普段の彼女なのか。ナチュラル~。」

男子が彼女のスッピンを初めて見る時ってこんな感じなのかしら。なんだかプライベートまで見ることができて、本格的なショーに行くよりもずっと得した気分!

本当はちょっと話しかけたかったんだけど、なんだか緊張気味の私はストーカーのように彼女を見つめるだけだった。

そして踊り子は店の前に止めてあったチャリにまたがり、暗い夜道に消えていった。

アンダルシアの夜、私の心は熱くタギってました。「イヤァオ!」

すっかりフラメンコの虜(とりこ)になった私は後日もまた、グラナダ名物「洞窟フラメンコ」のショーを見に行った

クラブのエントランスのように入場料8ユーロを払って、中でドリンクを買うシステム

【This week’s BLUE】「セマナ・サンタ(聖週間)」も有名なセビリア。独特な装束姿のお人形がお土産屋に並んでました

●旅人マリーシャ平 川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負 う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】