週プレNEWS TOP 連載コラム "本"人襲撃 満州国に存在した「幻の大学」とスーパーエリートたちが目指した“五族協和の理念”とは?

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満州国に存在した「幻の大学」とスーパーエリートたちが目指した“五族協和の理念”とは?

[2016年04月19日]

「戦後の日本にフィットできなかった彼らのつらさや苦しみを少しでも浮かび上がらせたいと思った」と語る三浦氏

日本、中国、朝鮮、モンゴル、ロシアの各民族からよりすぐりの優秀な学生たちが集い、授業料は免除され、6年間寝食を共にしながら学ぶ場所。そこでは「言論の自由」が保証され、日本人はもちろん、異民族の学生が公然と日本政府を批判することも許されていた。

そんな大学が日中戦争の最中に、しかも日本の支配下にあった「満州国」に存在していたなんて、信じられるだろうか?

大学の名は「満州建国大学」(以下、建大)。満州国の最高学府として設立され、歴史の渦にもまれながら、1938~1945年のわずか8年足らずの間だけ存在した。

この「幻の大学」と卒業生たちの数奇な「戦後」を描き、第13回開高健ノンフィクション賞を受賞したのが『五色(ごしき)の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』だ。

著者で、朝日新聞記者の三浦英之氏が赴任先のアフリカ・ヨハネスブルクから一時帰国、元建大生らとの懇談会を終えた後に話を伺った。

―日本の傀儡(かいらい)国家といわれた満州国にこうした大学があったと知って驚きました。「建大」の存在は以前から知っていたのですか?

三浦 僕自身もまったく知りませんでした。個人的に日本の近現代史には興味がありましたが、もともと僕の専門分野ではないし、満州国といっても日本の植民地支配で傀儡政権があって、映画『ラストエンペラー』の世界というか、その程度の理解でしたね。

そんな僕が強い興味を持ったのは、戦後、長らく中央アジアのキルギスに抑留されていた元日本兵がいるという話を聞きつけて、新潟で農業を営む元建大生の宮野泰(やすし)さんの元を訪れたのがきっかけでした。

当時85歳という高齢にもかかわらず、記憶力も抜群で、僕の質問に対しても常に最小限の言葉で的確な答えが返ってきます。さらに驚かされたのが、宮野さんの自室の壁一面に並んだNHKロシア語講座のテープの山でした。新潟で農業を営む老人が、なぜロシア語を学んでいるのだろうか…と。

いささか戸惑いながら、その理由を尋ねると、宮野さんは「いや、ロシアは強大な国ですから、将来、外交的に問題になった時に必要になるだろうと思って」と答えたのです。

その瞬間、「ああ、宮野さんには、そしてこの取材には、僕の予想していた以上のものがある」と直感しました。


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