赤x白のアーチが不思議空間を作り出す、コルドバのメスキータ(聖マリア大聖堂)

プリマベーラ! 春ですね。

桜も散り始めた頃かと思いますが、連日のお花見や歓送迎会で飲みすぎちゃったりしてませんか? ウコンとシジミと睡眠をとって、肝臓を休ませてあげてくださいね。

そしてこちらは、「休肝日」なんぞ聞いたことがない、スペインのアンダルシア地方からお届けします!

セビリアからバスでコルドバに移り、世界遺産の歴史地区にある「メスキータ」や「ユダヤ人街」を観光しつつ、「花の小径」でプチ花見。

メスキータはモスクという意味で、歴史の中でイスラム教とキリスト教が混じり合った建築物

白壁に花の鉢が飾られた「花の小径」では日本人のツアーグループもいっぱいでした

そこからまたバスに乗り、21時頃たどり着いたのはグラナダ。この街がヤバイ。

なんと、タパスが「タダ」なんです! タパスとはスペインの居酒屋にはかかせない、小皿料理。

日本でいうところの「おつまみ」や「お通し」みたいな感じですが、日本では小ぶりの皿に謎の豆や海藻、時には落花生がちょこんと入ってたりして300円とか。正直、望んでない小皿が出てきちゃうと「お通し、カットさせて~」と思うことも少なくありません(しないけど)。

しかし、グラナダのタパスは無料なのに、お皿は大きく味もウマイ! おまけに種類が豊富~!

アラブ人街の近くでは何軒ものバルが夜遅くまで盛り上がっていたので、私は有名な老舗に向かい、カウンターで2ユーロのビールを頼んだ。

「ウナ、カーニャ、ポルファボール!(とりあえず生くださーい!)」

すると、すかさずタパスがやってきた。

普通サイズのお皿にポテトとピーマンを和えた物がドサっと。もう一杯頼めば今度は生ハムとチーズ、お次はブルスケッタなどが出てくるんだから、タパス欲しさに飲みすぎちゃうよ。

アラブ人街。お土産屋やレストランが並ぶ

見た目はシンプルだけどしっかりした味。お酒にピッタリの美味しい老舗のタパス

バルで陽気な地元おじさんと…

人気バルはカウンターが満員。ちょっとしたテーブル席もあり

そんなありがたいタパス文化の起源は諸説あります。

シェリー酒にたかるハエを防ぐためグラスにお皿でフタをしたところに、バーテンがハムを置くようになったという説。

13世紀頃、当時の王様が病気の時にワインと小量の料理を摂ったことで体調回復し、国民にお酒は小皿料理とともにとるよう義務付けたという説。

…イケてる王様だなぁ。

「王様の言うことは絶対~!」ということで、その後も私は王様の命令に従った。地元民も集まる、シーフードの人気バルへGO。ギュウギュウのカウンターになんとかおさまりビールを注文すると、塩ゆでされたスカンピ(海老)の登場。もちろん無料!

殻が固いけど、高校生の頃のすし屋のバイトで散々、甘海老むいちゃってましたから楽勝~

すると隣のオジサンに話しかけられ、盛り上がる。

なぜかオジサンにはモテる、私。視線はカウンターの遠くのイケメンを追いながら、オジサンとの会話を続けた。

盛り上がるカウンター

「私、グラナダのタパスにビックリしました! 同じスペインでもバルセロナではアンチョビ2本で5ユーロしましたよ」

「カタルーニャ人(バルセロナを含む地域)は『ケチ』なんだよ。グラナダはイケてるだろう? マテ貝もウマイぞ。食ってみろ」

日本でも「東京人は冷たい」と言われるように、スペインでも地域別に性質があるみたいで、「カタルーニャ人は働き者でケチ」なんだとか。

「アンダルシア人は陽気で怠け者」。タパスはもりもりサービスしちゃうし、会計は間違えちゃうし、ルーズとも言うけど、まぁおおらかな感じ。

陽気なオジサンは酒の飲みすぎなのか喉がしゃがれてほとんど声が出なくなっていたが、一生懸命「ここのミックスフライが美味しいから頼め」と勧めてくるのでオーダー。

タパスだけで済ますはずが、思わぬプラス11ユーロの出費。タパス以外はそこそこの値段だった…。

アルハンブラ宮殿より魅力的な…

翌日は重いお腹、いや、腰をあげ観光に出かけた。

サンニコラス展望台まで階段を上ると、目の前にはイスラム建築の最高峰といわれる「アルハンブラ宮殿」がデデンと佇(たたず)んでいる。その悠然たる姿をしばらくボーっと見つめていたが、宮殿入場には人数制限があるというので急いで向かうことにした。

しかし時間はちょうどランチタイム。ついついバルの看板に目を奪われる。

「ビール+お好きなタパスを2つ=2ユーロ」

嘘でしょ? 食べ放題にしても10ユーロだって! 安すぎ! 結局、花より団子な私は誘惑に勝てず、寄り道してしまった…。

サンニコラス広場。800年余り続いたイスラム国家の「アルハンブラ宮殿」が見える

アルバイシン地区でランチに食べた選べるタパス。ビール+お好きなタパスを2つ=2ユーロ!

ようやく宮殿入口に到着し、『不思議の国のアリス』に出てくるようなかわいい庭園を抜けると、敷地内はひとつの街のように広かった。

軍事施設として使用されていた「アルカサバ(要塞)」は迷路のような石造りで、小さなマチュピチュのような印象。

メインの「ナスル宮」では、壁や柱の漆喰(しっくい)細工の緻密さや芸術性の高さに驚いたけれど、「ライオンの中庭」にある石像は、百獣の王というよりニャンコみたいだった。

ベラの塔(見張り塔)から見たアルカサバ

アルハンブラ宮殿内のナスル宮の回廊。イスラム文化の細やかな装飾が美しい

「行けばわかるさ」という旅スタイルの私は、ついつい歴史に疎(うと)いまま来てしまったけれど、かつて800年もの間、イスラム勢力に支配されたというスペイン南部。

イスラム文化とキリスト教の混在したアンダルシアの景色は独特で、本当はもっと見ていたかったけど残念ながらタイムアップ~。食欲に負けず、早く来ればよかった…。

暴飲暴食が続いたので休肝日しないとね。次はお酒のないイスラム圏を目指し、国境へ向かうぞ!

【This week's BLUE】マラガにも寄りました。ヒブラルファロ城の建つ丘から町が一望できる。闘牛場も見えるよ。