リオデジャネイロ五輪本大会の組み合わせが決まったね。
手倉森(てぐらもり)監督が率いる日本は、アフリカ予選1位のナイジェリア、南米予選2位のコロンビア、そして欧州予選1位のスウェーデンと同じB組に入った。
32ヵ国参加のW杯と違って、五輪は16ヵ国しか参加できないから、どうしても強豪国との対戦は避けられない。現時点では相手がどんなメンバー、モチベーションで出てくるのかハッキリせず、勝敗予想は難しいけど、厳しい戦いになるのは間違いない。
オーバーエイジ(OA)枠で招集の噂があるハメス・ロドリゲス(コロンビア)やイブラヒモビッチ(スウェーデン)は、できれば出てこないでほしいね。
そんな対戦相手よりも僕が気になっているのは、過酷な日程と試合の開催地だ。中2日で3試合という強行スケジュール。しかも、最初の2試合が行なわれるのは北西部のアマゾン地域に位置するマナウス。蒸し暑くて、湿度がものすごいんだ。ブラジルで最もサッカーをするのに向いていない気候の街といっていい。
相手も条件は同じとはいえ、守備重視のプレッシングサッカーをする手倉森ジャパンにとっては体力面の不安がつきまとう。アジア予選同様、試合ごとにスタメンを入れ替えることも考えなければいけない。登録メンバー18人による総力戦になる。
A代表は2年前のブラジルW杯で、キャンプ地から長距離移動を繰り返すなどしてコンディション調整に失敗した。その教訓を生かせるか。先のことを考えても仕方ない。トーナメント戦に臨むつもりで初戦のナイジェリア戦に照準を絞り、早めにマナウス入りして調整するのがベストだと思う。
失うものがない者の強みを生かすべき
何かと議論されるOA枠については、当然活用すべき。選手たちも手倉森監督も、これまで大きな世界大会を経験したことがない。だから、バタバタしてうまくいかなくなった時にチームを仕切れる兄貴分的な選手が必要だ。所属クラブやロシアW杯アジア最終予選(9月1日開幕)を控えるA代表との兼ね合いで誰でも呼べるわけじゃないだろうけど、できれば五輪経験者を3人招集したいところ。
今回の世代はずっと「弱い」「勝てない」と期待されていなかった。今年1月のアジア予選前も「五輪出場は無理だろう」といわれていた。本大会に向けても「メダルを」というプレッシャーはかからないはず。だからこそ、失うものがない者の強みを生かして、思い切ってぶつかってほしい。のびのびとプレーできれば、案外、結果はついてくるんじゃないかな。
ちなみに、2年前のブラジルW杯同様、今回も僕は現地で観戦する予定だ。今、ブラジルは景気が最悪で、政治もゴタゴタしている。正直、五輪への関心は低い。
とはいえ、気持ちの切り替えの早さがブラジル人の持ち味。開幕直前になれば一気に盛り上がる。特に、サッカーは五輪で金メダルを獲ったことがないので「地元開催の今回こそは」という期待が大きい。ドゥンガ監督も本気だし、OA枠でネイマールも招集するだろう。
そんな注目度の高い地元ブラジルと、日本はグループリーグを2位通過すれば、おそらく決勝トーナメント1回戦で対戦できる。個人的には最高のカードだ。年齢的にブラジルで大きな大会を見られるのは最後かもしれないし、ぜひ実現してほしいね。
(構成/渡辺達也)