ゆでたまご・嶋田先生が５４巻全１９２ページから選んだ１枚がこちら！

「週プレＮＥＷＳ」連載中（毎週月曜更新）の漫画『キン肉マン』（ゆでたまご作）のジャンプ・コミックス（以下、ＪＣ）最新巻から、ゆでたまご先生ご自身がお気に入りの原画を選んで、その解説をしていただくシリーズ企画“ゆで原画”第３回。

今回は４月４日に発売された『キン肉マン』ＪＣ５４巻のベストシーンをご紹介！

まずは原作シナリオ担当・嶋田隆司先生に選んでいただいたのがこの１枚（メイン写真、ＪＣ５４巻／１２０ページより）。

ジャスティスマンが再三の攻撃にも屈しないテリーマンの魂に理解を示し、自らまさかの敗北宣言。完璧（パーフェクト）超人軍からの離脱、そして決別とも取れるこの行為に、長であるストロング・ザ・武道（ブドー）こと超人閻魔（えんま）が激怒。

その無言の威圧感のみで、貴賓（きひん）席を囲むガラスが破壊されるというシーンである。

●嶋田隆司先生（ゆでたまご・原作担当）コメント

「この巻は他にもいいシーンが多いので迷いましたね～。テリーマンがジャーマンスープレックスを見せるというのも今まで絶対にやらせなかったシーンですし、ブロッケンの新必殺技で出した“ゾーリンゲンの鈍色刃（にびいろやいば）”のシーンも思い入れは深いんですが…。

でもその中であえて１枚を選ぶとしたら、武道（ブドー）が眼力だけでガラスを粉々にぶち破ったこのシーンですね。

ストロング・ザ・武道（ブドー）こと超人閻魔（えんま）の威厳が恐ろしいほど伝わってくる！

原作には確かに『威圧感だけでガラスが割れる』って僕自身も文字で書いたんですけど、正直言ってここまで迫力のある描写になるとは思ってなかった。武道(ブドー）の怒りを伝える演出のひとつくらいに思ってたんですが、上がってきた漫画原稿を見ると、セリフもないこのシーンひとつだけで武道（ブドー）の心情が全部表現されていたので『これは中井くん、やってくれたな！』と。思わずニヤリとしちゃいましたね。これはいいシーンですよ。

本来なら、この巻はテリーマンやブロッケンの頑張りがメインの巻なので、コミックスの宣伝ということならもっと他のシーンを紹介したほうがいいんでしょうけど（笑）。でもやっぱり一番インパクトを受けたのはここでしたね！」

中井先生が選んだのは満を持して構想を練りに練った１枚

そしてもう１枚、作画担当・中井義則先生に選んでいただいたのはこちら（ＪＣ５４巻／１８８ページより）。

このカットのために１年以上構想を練ってきたという中井先生

ブロッケンＪｒ．にトドメを刺そうとするサイコマン。それを止める声が天空の彼方（かなた）から聞こえてきて…。振り向いた先には空からゆっくりと降りてくる神々しい超人の姿が。その人こそ、現代にまで“平和の神”として語り継がれた伝説の完璧超人始祖（パーフェクト・オリジン）“弐式（セカンド）”シルバーマンであった！

●中井義則先生（ゆでたまご・作画担当）コメント

「シルバーマンの登場に関しては随分…もう１年以上も前から準備していましたからね。この巻は僕はここに尽きますね。

かなり前からこのシリーズの後半に登場させる大物として相棒（嶋田先生）からもその構想は聞いていたので『これはしっかり作らないと！』とデザインもトータルで１５パターンくらい作ったんですよ。それで最終的に決まったのが、キン肉族の戦闘スタイルを思わせるようなこの風貌（ふうぼう）で落ちつきました。

現在の連載でも回を追うごとにかっこよさを増している！

他にも全然違うパターンはあったんですよ。悪魔将軍と兄弟なので、同じように全身を鎧（よろい）で覆（おお）って、全く別のマスクをつけて出てくるというのも考えましたし。なにせ話の都合上からも“悪魔将軍と同格であることを見た目だけで思わせるキャラデザインにしなくてはいけないというのが至上命題だったので、それは大きなプレッシャーでしたね。

だから１年以上も前から何度も試行錯誤して相棒ともああじゃないこうじゃないを繰り返してきて…ここまで時間をかけてデザインした超人は初めてなんですが、結果的にはいい形に落ちついたのではないかと思ってます。

ただ、その後の彼の試合まで描いた今から見直すと、このシーンももっとうまく描きようがあった気がしますけどね（笑）。

ストーリー的にこの先そういうことがあるかどうかはわかりませんが、もしシルバーマンに今後さらなる登場シーンがあるとしたら、もっとカッコよく描けそうな気はしています。絵的にはまだまだ成長させ甲斐（がい）のあるキャラですよ」

『キン肉マン』最新５４巻、４月４日より発売！

テリーマンＶＳジャスティスマンの激闘と、その後の意外な結末！　そしてブロッケンＪｒ．の大奮闘が光るＪＣ『キン肉マン』５４巻の詳細はこちらで！（一部試し読みあり）

★次回“ゆで原画”第４回はＪＣ『キン肉マン』５５巻（２０１６年７月４日発売予定）の刊行後に配信予定。お楽しみに！

（取材・文／山下貴弘）