ファイティングポーズをとる貴家先生(右)と橘先生(左)

人類と“テラフォーマー”と呼ばれる、火星で進化したゴキブリとの戦いを描いた大人気SFマンガ『テラフォーマーズ』。

その実写映画化を記念して、作・貴家悠&画・橘賢一にインタビュー。知られざる秘話を語ってくれた!

* * *

―映画化、おめでとうございます!

貴家 ありがとうございます!

 僕も貴家(さすが)くんも、毎日部屋に閉じこもって描いているんで、気づいたら外の世界がすごいことになっていたというか、映画にまでなっていた感じです。僕らは一生懸命やっていただけなんで、ありがたいかぎりです。

―そもそも貴家先生は、橘先生のアシスタントだったそうですね。

貴家 はい。コンビニでヤンジャンを立ち読みしていた時に、いつもは読み飛ばすアシスタント募集のページが光って見えたんですね。それがきっかけでアシスタントになって。

―元々は作家ではなく漫画家志望だったんですね。

貴家 小学2年生で『世紀末リーダー伝たけし!』を読んで衝撃を受け、漫画家になりたいと思って。でも、漫画家になるために何をすればいいかわからないまま、ラグビーと筋トレに励んでいたら、橘先生のアシスタントになって、やっと「俺は絵がへただ!」と気づきましたね。

 3回くらいアシスタントに来てもらったよね? いい人なのはわかって、やる気もあふれてたけど、本当に何もできなかった(笑)。

貴家 (スクリーン)トーンの削り方すら知りませんでしたからね(笑)。

―その後、貴家先生が描いたラグビー漫画を現在の担当編集に見せると「火星か潜水艦の話を描いてこい」と言われたと。なぜ、それまでと毛色の違うジャンルを?

貴家 僕だってわかりません。なぜだったんですか?

担当編集 僕がその前日に映画『第9地区』と『K-19』を見たからです。

貴家 適当だな!

火星で二足歩行の人型へ超絶進化を遂げたゴキブリに人類はどう立ち向かうのか!? その一部始終は劇場で目撃せよ! (C)貴家悠・橘賢一/集英社 2016映画「テラフォーマーズ」製作委員会

図書館の警備の方に不審者扱いされて…

「ほとんどケンカしたことがない」ほど仲のいいふたり

担当編集 あとは、貴家さんのラグビー漫画は高校生の試合なのに「世界を救おうぜ!」とか言っていたんで、スケールのデカイ話のほうが合う器なのかなと…。

―貴家先生か橘先生、どちらかが虫やゴキブリが好きだったんですか?

橘 僕はホント、ゴキブリが苦手で。

貴家 僕も大っ嫌いなんですけど、以前、TVでやっていた、火星にゴキブリを送って環境を変えるって話を思い出したんです。その後、図書館でいろいろ調べて。小学生に紛れて子供用の図鑑を凝視していたら、警備の方に「何かお探しですか?」と明らかに不審者扱いされました。

―ハハハハハ。

貴家 めげずに通い続け、『魁(さきがけ)!!男塾』に拳法とかの解説部分で「民明書房刊より」って出てきますよね? あのノリを実在する本でやったら、すっごく頭が良く見えるんじゃないかなと。

 その後、テラフォーマーの造形をどうするか、リアルテラフォーマーが出そうな僕の実家に集まってアイデアを出し合って。目の位置、大きさ、黒目のサイズ…どうしたら気持ち悪いだろうって。

―なるほど。ただ、当初は6回で完結する予定だったんですよね?

貴家 そうなんです。いよいよいろんな火星の謎が解き明かされ始める5話のシナリオを書いている最中、(担当編集から)「続くから」って電話がかかってきて。「続くんかい!」って。

―つまり、物語のラストは決まっている?

貴家 はい。5年前から。

 僕は、全然教えてもらってないんですけどね。最終話どころか、来週分もだから、全力で描いているキャラクターが翌週、あっさり死んで驚かされたりしてます。

―原作、作画を完全分業制にしているんですね。

橘 自然とそうなりましたね。ストーリーが面白いから特に言うこともないですし。

貴家 僕なんか足元にも及ばない絵を毎週描いてくださるので、僕も絵に関して一切言うことはないんで。あ、でも唯一、橘先生が僕の原作を無視する部分があって…。

◆その原作を無視する部分とは!? この全文は『週刊プレイボーイ』19・20合併号(4月25日発売)「『テラフォーマーズ』作・貴家悠&画・橘賢一インタビュー」でお読みいただけます!

(撮影/下城英悟)

貴家 悠(さすが・ゆう)1988年生まれ、神奈川県出身。大学に通いながら『テラフォーマーズ』でマンガ原作者デビュー

橘 賢一(たちばな・けんいち)1977年生まれ、埼玉県出身。週刊ヤングジャンプにて2011年から『テラフォーマーズ』連載中