クラブ創設132年にして初めてプレミアを制したレスターが来季CLに向け、さらなる日本人選手獲得の噂も…

夢物語が現実となった。イングランド・プレミアリーグのレスターがクラブ創設132年にして初めてトップリーグを制したのだ。

ビッグクラブとは程遠い予算の規模。2部リーグから昇格した昨季は、リーグ終盤になんとか帳尻を合わせてプレミア残留を決め、今シーズンも降格候補に挙げられていた。

もちろん、有名スター選手など皆無。そんなチームがマンチェスター・ユナイテッドやチェルシーといったビッグクラブを差し置き、まだ2節を残した段階で栄冠を手にしたのである。

それほどの偉業を成し遂げたレスターだが、来季はディフェンディングチャンピオンとして迎えるプレミアリーグに加えて、新たな舞台が用意されている。欧州各国リーグの上位チームによって争われる欧州チャンピオンズリーグ(CL)だ。

今季のミラクル快進撃の余勢を駆って、今度はヨーロッパNo.1! …と思いきや、そう単純な話でもないらしい。

CLは各国国内リーグの合間を縫い、基本的に水曜に試合が行なわれるので、過密スケジュールを強(し)いられる。選手の消耗を避けるため、出場チームは国内リーグとCLで選手を大幅に入れ替えて戦うターンオーバー制を敷くのが通例だ。となると、レスターの現有戦力では選手の頭数が足りない。

CLを見据え、来季に向けてどんな補強が必要なのか、サッカージャーナリストの西部謙司氏に聞くと、「いや、補強よりも、まず現在の主力選手たちの流出をなんとしても回避することが先決です」とのシビアな見解が…。

「今季の躍進によって、レスターのキープレーヤーにはイングランドはもちろん、欧州中のビッグクラブからオファーが届くことが予想されます。特にチームの得点源のFWヴァーディを引き抜かれてしまうと大打撃です」(西部氏)

過去には即降格も…二兎を追うのは無謀?

イングランド代表でもブレイク中のヴァーディは、快足を生かしてゴールを量産するだけでなく、前線での守備も厭(いと)わない“チームの顔”。他にもボランチのカンテやサイドアタッカーのマフレズにも、他クラブが触手を伸ばしていると報じられている。

彼らが去ってしまえば、来季も今季同様の戦い方ができる保証はない。

「仮に主力が全員残留したとしても、CLでのターンオーバーを考えると、選手層のさらなる充実を図らねばなりません。でも、クラブの規模やチームが志向する戦術を考えれば、そこそこの値段で献身的に頑張る選手をもう1チーム分集めるという従来どおりの地味な補強をするしかない。

ただ、それでは世界的な名手をズラリとそろえた強豪クラブとCLで渡り合うことなどできません。身もフタもないことを言うようですが、CLとプレミアの両方で好成績を狙うのは諦め、CLは捨ててプレミアに注力すべきです。

それも優勝を狙うとかではなく、まずは今シーズン同様、第1の目標はプレミア残留。過去にスペインのレアル・ソシエダなど、予算のないチームが無理に二兎(にと)を追った結果、国内リーグで降格してしまった例がいくつもあります。それを反面教師として、身の丈に合った戦いをしなければなりません」(西部氏)

なんとも厳しい現実。今季のレスターはミラクルといわれたが、その奇跡は1年限定、プレミア限定となるのか…。

だが、そんなレスターにさらなる日本人選手補強の噂もある。レスターの奇跡を来季につなげるキーマンとして名前が挙がっている選手、そして岡崎に続いて本当にオススメなのは果たして誰なのか? 月曜発売の『週刊プレイボーイ』21号では大胆予想とともに解説しているので、ぜひお読みいただきたい。

■週刊プレイボーイ21号(5月9日発売)「“奇跡の軍団”レスター、来季チャンピオンズリーグ制覇への電撃プラン」より