『TOUGH』シリーズが始まったのは、船木誠勝がパンクラスを旗揚げしたのと同じ、1993年だったという

格闘技ブーム草創期に総合格闘技団体パンクラスを旗揚げ。ヒクソン・グレイシーとの死闘など数々の名勝負で時代を築き、今なおプロレスの世界で活躍し続ける船木誠勝

彼の根底には一冊の漫画『TOUGH』の存在があるという。現役レジェンド格闘家が語る、その魅力とは?

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船木 『TOUGH』のシリーズ1作目『高校鉄拳伝タフ』の連載が開始されたのが1993年。ちょうど自分がパンクラスを旗揚げした年と同じで、歴史をずっと共にしている。そういった点でかなり思い入れが深い漫画なんですよ。

―そんな長い歴史を持つ『TOUGH』シリーズの最新作『TOUGH 龍を継ぐ男』のコミックス第1巻が発売されました。読んだご感想は?

船木 さすが、因縁を描くのがうまいなという感じです。

―というのは?

船木 血縁関係と師弟関係の描き方に引き込まれますよね。今作はキー坊(宮沢熹一)が悪役の師匠として紹介されているのが興味深いです。

―船木さんご自身が格闘家なだけに、師弟関係にはいろんな思い入れがありますか?

船木 そうですね。その辺りよく描かれてるなと思ったのが、前シリーズの『TOUGH』のキー坊とおとんの試合(コミックス『TOUGH』18巻~22巻所収)。親子対決としても面白いのですが、格闘家の立場からすると、弟子が師匠を超える瞬間というのがリアルに描かれていてすごいなと。

弟子が自分を超えていった瞬間も何度も経験しました

―船木さん自信もご経験がありますか?

船木 何度もあります。弟子が自分を超えていった瞬間も経験しました。その時は悔しいんですけど、どこか清清しい気持ちもあるんです。世代交代は必ず起きるものですから。漫画では試合が終わって一夜明けた後、おとんが涙を流してましたよね。複雑な思いが感じられます。

―なるほど。

船木 あと、弟子であるキー坊が、勝ったにもかかわらず試合後のダメージが大きかったというのもリアルですね。自分も師匠を超えた瞬間もあまりに実感なく、技をしのぐのが大変だったという印象です。

―なぜ、そこまでリアルな描写ができるんでしょう?

船木 なんででしょうね。猿渡先生、格闘技やってないですもんね(笑)。でも、試合後などにお会いした時は「あのシーンはどんなこと考えてたの?」とか、自分でもよく覚えていない場面の細部まで質問されることが多いんです。そして、その時の心理をよく聞かれます。そうした取材がリアルさを生むんじゃないでしょうか。

―今後の『TOUGH 龍を継ぐ男』の注目点は?

船木 そのようなリアルな心理描写や格闘描写、そしてキー坊とおとんの関係は現在どうなっているのか? そのあたりに注目して読みたいですね。皆さんも是非読んでみてください!!

■船木誠勝1969年3月13日生まれ、青森県出身。格闘家。85年プロデビュー。93年総合格闘技団体パンクラスを旗揚げ。2000年にはヒクソン・グレイシーと対戦。現在はプロレスの世界で活躍。6月23日(木)リアルジャパンプロレス後楽園ホール大会に出場予定。自身がトレーナーを務める肉体改造プライベートスタジオは現在会員募集中!

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(取材・文・撮影/週プレNEWS編集部)