日本では、ほぼアウトな疑惑などでもうやむやにされて終わってしまうとひろゆき氏は語るが…

一難去ってまた一難と言うべきか。エンブレムが無事に決まり、東京オリンピック特需に沸くはずの日本に今度は「不正招致疑惑」が噴出している。

真相はまだ調査中だが、すでに招致委員会理事長だった竹田恆和氏(現・日本オリンピック委員会会長)がコンサルタント料の海外送金を認めており、これが賄賂(わいろ)ではないかと追求されているのだ。

竹田氏は「問題のない手続き」と自信を持っているが、波紋は広がるばかりで“五輪中止・返上”も?という噂すらある。『週刊プレイボーイ』本誌で対談コラム「帰ってきた!なんかヘンだよね」を連載中の“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人ひろゆき氏も「きちんと責任を取らないのはヘンだよね」と疑問を呈する。

堀江氏が言う。

「金の流れを見ると『招致のための裏金』と言われても仕方がないと思う。だから、広告代理店やJOC(日本オリンピック委員会)の責任はきちんと問われるべき。違法な部分はちゃんと責任者を処分して、オリンピック自体は開催するのが着地点だと思う」

ひろゆき氏も「犯罪としてちゃんと扱ってほしい」と同意する。

「放っておくと、日本の得意技でもある『うやむや』にして終わらせるというヘンな展開になりますから。政治家の『政治と金の問題』とかを見ればわかりやすいんですけど、日本ってほぼアウトな疑惑とかでも話題に上らなくなると“うやむや“になって終わるじゃないですか。それは日本ではあるあるかもしれませんけど、国際社会では通用しませんよね。

それに日本では現場の担当者とかが辞職すれば責任を取ったことになりますけど、海外では会長クラスが辞めないと、ちゃんと責任取ったことにはなりませんよね。なので、今回の件の場合は、会長が辞めるとか、ある程度の責任者が刑事罰になるくらいじゃないと海外からは納得してもらえないと思います」

ただ、本当に賄賂だった場合、国際的な収賄事件となるため、どの国のどの法令で裁くべきなのかわからない難しさもあるが…。

昔からこの手の汚職は行なわれていたはず

「汚職をしたのが国家公務員とかだったら各国の法律で取り締まれるけど、IOC(国際オリンピック委員会)みたいな国際組織だと取り締まる法律がなかったりするし、そもそも国家権力が及ばない空白地帯でもある。それに擁護する気はないけど、昔からこの手の汚職は行なわれていたはずなんだよ。ほら、FIFA(国際サッカー連盟)でも問題になったじゃん」(堀江氏)

では、そもそもなぜ今回はこんなに大きな騒動になったのか?

「それは、最近の世の中がクリーンになりすぎたからじゃない? 世の中がクリーンになると、検察とかの取り締まり当局は自分たちの仕事がなくなる。だから、自分たちの仕事の確保のために躍起になっている部分はあると思う」(堀江氏)

だが、それにはひろゆき氏がこう反論する。

「う~ん、僕的には『その国が正義をどれくらい重視しているのか』って部分が大きいと思いますけど。2015年FIFA汚職事件の捜査をしたのはアメリカとスイスですよね。当時は『国際的なサッカー団体をアメリカ人がアメリカの法律で裁くのはどーなの?』って意見もあったんですけど、アメリカ人は気にせずに追及していきましたから。

日本だと『海外の事件のために、なんで日本の税金を使うんだ!』みたいな意見が絶対に出ますよ。今だったら『その金を被災地や保育園を増やすために使え!』って言われそうですし。それに、アメリカとかに比べて日本は『自分たちが損をしないんだったら、正義とか公正なんてどうでもいい』って価値観が強い気がします」

日本では「困る人が少ないなら法を破ってもいい」「法で許されても、いやがる人が多いことには罰を与える」という“法律を超えた謎の世界”が存在するため、今回の問題でも誰も責任を取らず、うやむやになるのではないかというわけだが…。

とはいえ、そんな日本も変わりつつあると堀江氏が言う、ネット社会の影響とは?

 

●この全文は『週刊プレイボーイ』24号(5月30日発売)にてお読みいただけます。

(イラスト/西アズナブル)