コンビニで手軽に入手できるサラダチキン。鶏のむね肉には最強の“抗疲労成分”が含まれている!

次の祝日、海の日までは33日も残っている! 夏日の気温、梅雨のジメジメも続いて体力が奪われ、食欲もどんどん減退…。その待望のホリデーまで体力がもたないかも!? 

そんなお疲れモードを吹き飛ばすべく、集英社新書の最新ベストセラー『すべての疲労は脳が原因』の著者・梶本修身(かじもと・おさみ)先生に、疲労回復の極意を伝授してもらった!

■鶏むね肉・快眠・サングラスが夏の疲れをぶっ飛ばす!

梶本先生によると、疲労を回復するための方法は「睡眠」「鶏のむね肉」だという。睡眠が大事なことはわかるが、まず気になるのは鶏肉…どういうことなのか?

「鶏むね肉には疲労対策効果が証明されている、イミダペプチドが含まれています。これは“渡り鳥がなぜ疲れずにアラスカからニュージーランドまでの1万1千キロを飛ぶことができるか”の抗疲労メカニズムの研究からわかったことです。渡り鳥の羽の付け根にはイミダペプチドが豊富にあったことから、最新の研究では最強の“抗疲労成分”であると明らかにされました」

牛肉や豚肉にも含まれているが、脂質が少なくヘルシーで安価な鶏むね肉に最も多く含まれているという。魚ではカツオやマグロの尾びれ部分に多く含まれている。イミダペプチドは、よく動かす部分=疲れやすい部分に豊富に含まれているということだ。さらに…、

「食べるなら、朝や昼がいいですね。疲れを感じる前、つまり活性酸素が発生して細胞がさびる前にイミダペプチドを摂取するほうが好ましいです」

さびる、とは活性酸素による攻撃だ。自律神経が活動する際には酸素を消費するが、その過程で必ず活性酸素が発生するため、さびるのが避けようもない。しかしイミダペプチドを摂取することで、防御することができるというのだ。

イミダペプチドはドリンクやサプリメントも販売されている

寝汗、イビキで自律神経が疲弊する

続いては「睡眠」ーー。

先日配信した『疲労の原因はすべて脳にあった! 最新研究からわかった自律神経の矛盾とは…』で梶本先生に教えてもらった通り、疲れとは脳が原因。自律神経が「これ以上、自律神経を働かせないよ」という主張をし、疲れを感じさせることで休憩をとりたくなる。その休憩こそが睡眠なのだ。

「自律神経は夜しか休めません。そのため。睡眠の環境を整えておくことが大事になります。これからの季節は特に重要ですが、『朝起きた時に汗をかいているのは、自律神経が休めていないためNG』です。快適な温度・湿度になるようにエアコンをつけましょう」

実は自律神経は寒暖差に弱い。エアコンの効いた室内と暑い屋外の出入りが激しいと、自律神経がビックリして夏バテになってしまう。お風呂で汗をかくことも自律神経は苦手なのだとか。

「問題はイビキです。イビキをかくということは、細いストロー(気道)で風船(肺)を膨(ふく)らませているのと同じこと。就寝中は平均して6千回くらいの呼吸をしているのですが、その数の風船を膨らませたら疲れますよね。運動しているのと同じことで、それは眠りが浅く、質の悪い睡眠なんです」

睡眠は時間より質だという。ショートスリーパーで短い時間で疲労回復ができるほど睡眠の質が高いということで、逆に8時間以上眠らないと疲れがとれない人は質が悪い。健康な睡眠であれば6時間30分前後で疲れがとれるはずという。

また、今とこれからの季節に特に気をつけたいことがある。紫外線だ。

「紫外線が目に入ることによって疲労を起こします。角膜で活性酸素が発生して炎症反応が起きるのです。DNAを損傷させるため、炎症によって『大敵が来た』と脳に信号を送って体が臨戦態勢になり、自律神経が疲れてしまいます。マラソン選手がサングラスをしているのは、太陽が眩(まぶ)しいからではなく疲れを軽減させるため。特に紫外線の強い5、6月はサングラスが必須ですね」

鶏むね肉ならコンビニでサラダ用チキンを手軽に入手できる。朝食に食べて、通勤電車や車でもUVカットのサングラスを欠かさず、夜はエアコンの効いた部屋で眠る。最新研究からわかった疲労回復の極意、早速、実践してみては?

(取材・文/渡邉裕美 撮影/五十嵐和博)

取材協力/梶本修身先生医学博士。大阪市立大学病院疲労医学講座特任教授。『東京疲労・睡眠クリニック』院長。2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗う疲労食薬開発プロジェクト」の統括責任者。

『東京疲労・睡眠クリニック』住所:東京都港区新橋1-15-7 新橋NFビル3F 電話:03―3504―0555(完全予約制)http://xn--pcka3d5a7lx98rugzc.com/