自分の細胞を培養してシワやタルミなど気になる箇所に移植する最新のアンチエイジング施術

「最近、老けてきた気がして。特にこのほうれい線、すごい深いよね…?」とため息をつくのは「週プレNEWS」の貝山弘一編集長。実年齢49歳とは思えぬ若いルックスに見えるが、本人は老化をひしひしと感じているらしい。

そんな悩めるアラフィフのもとに気になるニュースが。なんと自分の細胞を培養して移植することで、肌が若返るという画期的なアンチエイジング治療法があるという。

従来の美容外科とは異なるアプローチで、安全かつ自然に若返りを可能とする手法とは? 最新医療レポート第1弾!

■薬も糸も使わない、若返りの最先端治療

老けたな~…と誰しも感じるのは、ふと鏡を見た自分の顔に白髪や顔のシワが増えたのを目の当たりにした時。気になり出すと、ますます老化が進みそう…。

シワやたるみ、ほうれい線など男性は毎日のひげ剃りでも目について仕方ないハズだ。本格的にケアするにはヒアルロン酸やボトックス注射を打つか、金の糸を入れてリフトアップするなど美容外科手術に頼るしか解決方法はなかった。

ところが、これまでとは全く異なるアプローチで若返りを実現させる革新的技術が開発されているという。それが「RDクリニック」で手がける「肌の再生医療」。そもそも米国FDA(日本の厚労省にあたる)が認可したれっきとした医療である。それを医学博士・北條元治(ほうじょう・もとはる)先生がわが国でいち早く始めた、最先端医療だ。

北條先生「簡単にいうと『肌の再生医療』は臓器のパーツのコピーと同じです。皮膚が必要であれば、皮膚の細胞そのものをコピーする。コピーした元気な細胞を本人に移植すれば、その細胞が組織を修復するということです」

■自身の細胞で肌を若返らせる!

「肌の再生医療」は【自分自身の肌細胞を採取し、抽出して培養したものをシワやたるみなどが気になる部位へ注射器を使い移植】する治療方法。自分の細胞で肌の若返りを促すということだが、どういう仕組みなのか?

表皮と真皮の2層構造になっている肌だが、シワやたるみは真皮にある肌細胞が減少することで起こる。「肌の再生医療」は自分の皮膚から肌細胞を抽出・培養して気になる部位に移植することで、減少した肌細胞を増やして肌のハリを取り戻す。

【老化した肌】 肌は表皮と真皮の2層になっている。加齢や紫外線のダメージなどにより、真皮層の肌細胞が減少。ヒアルロン酸やコラーゲン等を作り出す力の低下により真皮がもろく薄くなってしまい、肌のシワやたるみ、目の下にクマ、ほうれい線ができてしまう

【肌細胞の移植】 紫外線によるダメージの少ない耳の裏から採取した皮膚から肌細胞を抽出・培養し、肌の衰えが気になる部位へ移植する

【老化現象が改善】 移植された肌細胞によって、肌のハリの素となるコラーゲンやヒアルロン酸が作り出される。それが少しずつ蓄積することで、肌にハリを取り戻す

若い細胞が肌年齢の時間を巻き戻す

また、採取した細胞は凍結保存することで、半永久的に保管をしておくことができる(プランにより異なる)。若いうちに採取し、保管ができれば、採取した時の若い細胞をいつでも移植できる。

北條先生「この治療は、子供の頃からあるような目の下のクマに治療を施しても改善する見込みは低いです。しかし加齢とともに出てきたクマやシワ、タルミであれば若い頃の肌の状態に近づけることができるというわけです」

40歳で細胞を採取し保管しておけば、50歳で移植した場合は40歳の頃の肌細胞を使い老化現象に歯止めをかける。若くて元気な細胞が肌年齢の時間を巻き戻してくれるのだ。自分の細胞を使うため安全性が高く、自身の細胞の力で時間をかけ自然に改善するという点で、既存の美容整形とも確実に異なるといえよう。

海外留学中に見知った培養皮膚の技術を日本で研究することにした北條先生

■ヤケド治療から着目した培養皮膚の研究

実はこの「肌の再生医療」に用いられた皮膚の培養技術は、重度のヤケドを負った患者へ皮膚移植する培養法と同じだという。美容専門の技術ではないのだ。

北條先生は形成外科が専門で、ヤケドの治療から研究に入った。それには歩んできたキャリアも関係しているらしい。

形成外科医としてキャリアをスタートさせたが、医局を3年で辞めてアメリカ・ペンシルバニア大学へ留学。日本へ帰国後、東海大学医学部の形成外科でヤケド治療を担当することに…。

北條先生「東海大学で勤務することとなったのは、重度のヤケド治療は救急医療のため希望者が少なく、私がハマるキャリアを持っていたということです。そこでアカデミックというより肉体労働に近いヤケドの治療をしているうちに、最先端の研究をしたい欲求が徐々に湧き上がってきて…。そもそも臨床よりも研究が好きなんですよね。ヤケドを担当していたからこそ、ペンシルベニア大学で見てきた培養皮膚に可能性を感じ、研究を手がけ始めたんです」

東海大学では、重度のヤケド治療用の複合型培養皮膚の基礎研究をさらに熱心に重ねていたというが…。

北條先生「30代後半に差し掛かったところで、講師になることを勧められたんです。ですが、講師にも開業医にも興味がない。自分にあるのは培養皮膚のみ。ある意味、追い詰められて培養皮膚を医療機関に売る会社を立ち上げたんですよ(笑)」

自ら営業も培養皮膚がなかなか売れず…

2004年に株式会社セルバンクを起業。現在「RDクリニック」で受けられる「肌の再生医療」で使用する肌細胞の培養を担う会社である。そして、意気揚々と美容整形外科へ培養皮膚を売り込んだ。

北條先生「ところが、美容整形外科は施術に使用する材料費の原価が低コストの業界。そこへ原価が十数万円する商品を売り込むわけですから、うまくいくわけがないですよね」

営業も自ら担当し、有名美容整形外科など様々な病院を回ったそうだ。

北條先生「業績は上がることなく落下の一途。当時は帝京大学の生物工学研究センターでラボを借りて培養皮膚を作っていたのですが、全く売れない。やることもなくてホームページも自分で作って『培養皮膚できれいになる!』なんて煽(あお)り文句を入れていたんですが、細胞のサイクルなどを記したアカデミックな内容で。今思えば、売れるわけがないんですよ(笑)」

そこに転機が訪れた。TVの取材を受けたのだ。

北條先生「TVに出たことで問合せが入るようになって、契約してくれるクリニックが出てきました。それと同時に人からの紹介で融資を受けることができて、息を吹き返すことができたんですよ」

さらに幸いだったのは、北條先生が医師免許を持っていたこと。医師に肌の細胞を売らなくても、自身で細胞を培養して診察と治療も行なえるのだ。

北條先生「そこにやっと気付いたんです(笑)。そもそも『肌の再生医療』は移植では医師、培養では研究者が必要です。2人セットで動くか、1人で2役を手がけるかというものだったんですね。その時点で僕は2年くらい臨床をしてなかったけど、細胞を皮膚に注入することはできるかと思いまして」

追加融資も得ていたことで、2006年に最初の「RDクリニック」を東京で開院。こうして培養皮膚を使用した肌の再生医療を提供する場が確立されたのだったーー。

◆いよいよ次回からは実際に肌再生医療を体験リポート! はたして、気になる肌のシワやシミを本当に解消できるのか? 「週プレNEWS」貝山編集長自ら体験し治療を受けた3ヵ月のドキュメントを報告する。

取材協力/北條元治先生医学博士、東海大学医学部外科学形成外科学非常勤講師、RDクリニック顧問、株式会社セルバンク代表取締役。『医者が自分の家族だけにすすめること』(祥伝社)『保湿とUVケアだけが美肌を作る』(青志社)『びっくりするほどiPS細胞がわかる本』(ソフトバンク クリエイティブ)など著書多数

「RDクリニック新宿」都内は銀座、三田、新宿の3ヵ所、大阪、名古屋など全国7ヵ所の「RDクリニック」で「肌の再生医療」を受けられる。料金システムや詳細はRDクリニックまで http://www.rederm.com/

(取材・文/渡邉裕美 撮影/五十嵐和博[治療分]、榊智朗[北條先生分] イラスト提供/RDクリニック)