人生初の人生相談に挑んでくれた新日本プロレス・内藤哲也選手

「次代のエース候補」といわれながらも伸び悩み、昨年まで全国で大ブーイングを浴びていた新日本プロレスの内藤哲也

だが昨年6月、メキシコ遠征から帰国するとこれまでの好青年キャラを脱ぎ捨て、ヒールに転向。制御不能のラフファイトでファンの大歓声を集め、4月にはついにIWGPヘビー級王者に。

先日、そのベルトを再びオカダ・カズチカに奪われたが、これでますます今後の動向が見逃せないことに…。そんな今、新日本プロレスの“空気”を支配する男が、週刊プレイボーイ本誌で人生初の人生相談に挑んだ。

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【相談】八方美人の自分を変えたい!「職場の人間や友人などに嫌われないように、ついみんなにいい顔をしてしまいます。その結果、『あいつは八方美人だ』と冷たい目で見られることも……。好き嫌いをハッキリ表現できる男になるには、どうすればいいですか?」(27歳・会社員)

内藤 この人はまさに、1年前までの内藤ですね。僕はそれまでずっと「お客さまに好かれたい」「どうしたら喜んでもらえるか」ばかりを考えてプロレスをしてました。それが成功する秘訣(ひけつ)だと思ってたんです。でも、お客さまの顔色ばかりをうかがってるうちに、自分が何をしたいのか、何を見せたいのかがよくわからなくなってきて、大好きだったはずのプロレスが全然楽しくなくなってきた。だからもう顔色をうかがうのをやめたんです。

「僕がやりたいようにやるのをお客さまに見てもらって、その上で評価してもらう」っていう方向にシフトチェンジしたら、結果、お客さまに響くようになった。この会社員の人が僕みたいにやり方を変えて成功するかどうかはわからないけど、僕はこの人に、今までどおり他人の顔色をうかがったままの人生でいいんですか? 挑戦しなくていいんですか?って言いたいですね。もしかしたら変わるかもしれない。やってみてダメだったら、僕みたいにメキシコの風にでも当たってみろと、こんな感じでイイですかね(笑)。

どうすればオシャレになれる?

【相談】人の心をつかめるようにうまく話したい!「僕は人前で話すのが苦手です。内藤さんのように、人の心をつかめるように話すコツを教えてください!」(21歳・専門学校生)

内藤 僕は昔から人前で話すのが好きでしたね。すっごく緊張するんだけど、その緊張感が好きというか。新日の公開入門テストを受けたときも、最後の自己アピールでひととおりマット運動をやった後、(試験官の)木村健吾さんに向かって「木村さーん! 僕の新日本プロレスへの思いは絶対、誰にも負けません!」って絶叫したんです。後にも先にも、入門テストの自己アピールで言葉を発したのは僕だけじゃないかな(笑)。

そういうふうにあえて名指ししてみるとか、ひとつひとつの言葉をゆっくり、わかりやすく言うとか、人の心をつかむためのテクニックは確かにあると思います。でも、それだけじゃ人の心はつかめないんじゃないかな。

だって僕、1年前まで何を言っても誰にも響かなかったんだから(笑)。最近になって、ようやく響くようになってきたけど、言ってることは昔と何も変わってないですからね(笑)。人の心をつかむのは話し方とか内容じゃなくて、周りの人から「コイツの話を聞きたい」と思われる人間になることがまずは大事なんじゃないかな

【相談】どうすればオシャレになれますか?「オシャレに自信がありません。ファッション雑誌を見ても、どの服を買えばいいか全然わからないし、かといって店でコーディネートしてもらうのも恥ずかしいです。どうすればいいかアドバイスください」(19歳・大学生)

内藤 これは僕よりもBUSHIに聞いてほしいなぁ(笑)。BUSHIはオシャレですからね。僕はオクパード(忙しい)なんで、あんまり服を買いに行ったりしないけど、正直、ファッションには無頓着で、洋服屋とか苦手ですね(笑)。店員さんに声かけられたら恥ずかしいし「アウター」とか専門用語を言われてもわからないから(笑)。

だから僕は店員さんに声をかけられないように「これだ!」と思ったら迷わず、すぐにレジにダッシュですね。え? 「内藤、トランキーロ」って。いや、焦らないと店員さんに話しかけられちゃうから(笑)。この相談者の人に、てっとり早くオシャレになるコツを教えます。すぐに闘魂SHOPに行って、今、記録的な売り上げだという「ロス・インゴベルナブレス」のTシャツとキャップを買ってください(笑)。

後輩をエコヒイキする上司が許せない!

【相談】後輩をエコヒイキする上司が許せない!「職場の人間関係に悩んでいます。うちの上司は、明らかに僕を過小評価している一方、僕の部下をエコヒイキしてばかりです。こんな会社、辞めたいとも思ってますが、内藤さんならどうしますか?」(34歳・会社員)

内藤 これ、相談者を僕だとすると、“上司”は(新日本プロレスの)木谷オーナー、“部下”はオカダで、“エコヒイキ”は(木谷オーナーがオカダをスターにするために用意しているという)「2億円プロジェクト」じゃないですか! どこの世界にもあるんですねぇ(笑)。

僕の話でいうと、会社の評価はさておき、お客さまの評価と自分の自信の差は正直かなりありましたね。料理人にたとえると「こんなにおいしいもの出しているのに、なんでわかってもらえないんだろう?」っていう思いでした。だから、食材や調味料を変えたりして試行錯誤してたんだけど、それでもダメで。でも、変えるべきは食材とか調味料じゃなかった。自分が自信を持って「これでどうだ!」って料理を出すことが一番大事なんです。それだけで人の評価ってガラリと変わるから。

会社辞めたい? トランキーロ、あっせんなって。それでも上司がわかってくれないなら、我慢してないで直談判ですよ。僕もこの前、シンガポールにまで行って木谷オーナーに言いましたから。

「オカダをイチオシするのもいいですけど、オーナーならもっと会場に来て、あなたの目で、あなたの耳で会場のお客さまの反応を確認したほうがいいんじゃないですか? 6月19日、大阪でのオカダ戦は見に来てくださるんですよね」って。

そうやって直談判したら、上司のキミを見る目もきっと変わると思うね。

アソコが小さくて悩んでます…

【相談】オカダ選手に勝っていると思うところは?「相談じゃなくて恐縮ですが、今、内藤さんの目にオカダ選手はどのように映ってますか? オカダ選手に勝っていると思うところ、負けていると思うところを教えてください」(33歳・自営業)

内藤 これは今日、一番答えやすい質問ですね(笑)。オカダに関しては、彼が新日本に入ってきたときから素晴らしい選手だということは知ってるし、今もそれは変わってません。身長、キャリア、ジャンプ力、ルックス、みんな僕より勝ってるんじゃないですか。なんせ彼は、木谷オーナーが2億円プロジェクトを用意するほどの逸材ですからね(笑)。

僕がオカダに勝ってるのは…アンチの数ですかね(笑)。よく棚橋、オカダも「ブーイングを歓声に変えた」とかっていわれますけど、オカダなんてブーイング浴びてたのはわずか2ヵ月ぐらいでしょ。僕とは年季が違いますよ(笑)。

今、アンチ・オカダってほとんどいないんじゃないですか? その点、アンチ内藤は多いっスよ。僕のブーイングは全国展開しましたからね。でも最近、手のひらを返したように声援が増えてるのは正直、気に食わないですね。だ・か・ら、せめて、僕に一番大きなブーイングを送ってくれた大阪のお客さまだけには手のひらを返してほしくないですね。まぁ、内藤に声援を送りたくなる気持ちはわからないではないですよ(ニヤリ)。でもそこは踏みとどまって、ブーイングを続けてほしいですね。

【相談】 アソコが小さくて悩んでます!「僕は人よりオ○ンチンが小さくて悩んでいます。通常時で5cmもありません。恥ずかしいので温泉や銭湯ではいつも隠していますが、そんな自分もイヤになってきます。内藤さん、僕はどうすればいいですか?」(31歳・無職)

内藤 これはトランキーロですよ(笑)。プロレス的にいうと、賛否ってあったほうが絶対によくて、中間が一番よくない。つまり、大・中・小でいうと中が一番よくないんです。中って中途半端だから。

この人は悩んでいるみたいですけど、小さいと逆に女のコも興味持ってくれるんじゃないですか。「こんなに小さいのがどうなっちゃうの!?」って。興味を持たせたら、その時点で勝ちですよ(笑)。僕の大きさですか? たぶん、中くらいだと思います(笑)

※トランキーロ…スペイン語で「焦るなよ」の意味

内藤哲也NAITO TETSUYA1982年生まれ、東京都出身。33歳。アニマル浜口トレーニングジムを経て、2005年、新日本プロレス入門、06年5月デビュー。09年にヘビー級に転向し、13年「G1CLIMAX 23」初優勝。15年よりロス・インゴベルナブレスを率いる

(取材/井上崇宏 撮影/下城英悟)