連合の“ドン”神津里季生会長。今回の参院選では民進党を全面支援しているが、その心中とは…?

「連合」という名前から何を連想するだろうか? 正式名称は日本労働組合総連合会。約686万人の組合員を抱える、日本の労働組合のナショナルセンター(中央組織)だ。これだけの巨大組織でありながら、その名を見聞きするのは選挙か春闘の時期くらい。普段の活動ぶりはあまり知られず、どちらかというと“お上”に近い印象を持たれているかもしれない。

連合はどんな組織で なぜ民進党を支援し、政治に深く関わっているのか? 神津里季生(こうづ・りきお)7代目会長に聞いた。

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―舛添要一・東京都知事が公私混同問題で辞任しましたが、連合は前回の都知事選でその舛添氏を支援されていました。一連の騒動をどう見ていましたか?

神津 当時、連合の地方組織である連合東京は舛添氏と政策協定を結び、全面的ではなかったものの、支援する形を取りました。厚生労働大臣の経験もあり労働問題に明るく、政策面では協調できました。しかし、国政も含めて政治と金の問題の不透明さが漂い続けていますね。

―一方、国政ではすでに参議院選挙がスタートしています。前身の民主党時代から引き続き、連合は民進党を支持されていますね。

神津 連合の活動目的はすべての働く人たちと家族の暮らしを改善し、よりよい生活を追求することですが、その実現のためには政治へのアプローチが不可欠です。我々の考え方に最も近い政策を掲げているのが民進党であり、今回の参院選では政策協定を結んで全面的に支援することを約束しました。

―民進党にはぜひ野党第一党として頑張ってほしいですが、選挙ポスターを見て正直、目を疑いました。ドヤ顔の岡田克也代表の写真の横に「まず、3分の2をとらせないこと。」というコピー。いくらなんでもハードルが低すぎるでしょう(苦笑)。

神津 確かに、あの内容だと、そのため(自公に3分の2の議席を取らせないため)だけに選挙を戦うのか?というふうにも見えてしまいますね。

「今の国会には労働者代表の議員が少ない」

―では、今の安倍政権の政策はどう見ていますか?

神津 あれだけの政権基盤がありながら、約束していた消費増税を先送りしたのは筋が通らないですよ。子育てや教育など、若者が将来に展望を持てるように社会保障を拡充すること自体もセットで先送りにされるわけですから。

―じゃあ、2年半後なら増税できるんですか、という話になると…。

神津 もっと難しいでしょう。私の世代にしてみれば、生きている間に払う税金が確実に少なくなるわけですから、ラッキーと思う人もいるかもしれない。だけど、それは若者の将来にツケを回しているだけですよ。若者は将来、必ずその分を払うことになる。

―もしくは、もらえるものももらえなくなる。

神津 それはもう、ダブルで効いてくるでしょうね。

―今回の参院選、連合から過去最多となる12人の組織内候補者が出馬しています。国会に人材を送り込む狙いはなんでしょうか?

神津 日本の場合、職業を持つ人の9割が雇用労働者です。でも、国会議員全体の定数からすれば、労働者を代表できる議員はまだまだ少ないのが実情。もっと労働者の声を代弁できる議員が国政の場に立つべきだと考えています。

★この続き、インタビュー全文は発売中の『週刊プレイボーイ』29号「民進党の最大支援団体トップを直撃!」にてお読みいただけます。

神津里季生 Kozu Rikio1956年生まれ。東京大学教養学部卒業後、新日本製鐵に入社し、84年より組合専従。鉄鋼労連特別本部在任中の90年から3年間、在タイ日本大使館派遣。2002年より新日本製鐵労働組合会長、06年より日本基幹産業労働組合連合会事務局長、10年より同中央執行委員長、13年より連合事務局長。15年10月に同会長に就任

(構成/興山英雄 撮影/髙橋定敬)