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音楽フェスで政治的な主張を叫ぶのは自由…でも、今さらロックで反体制?

[2016年07月13日]

国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが「ロックフェスと政治」について語った

『週刊プレイボーイ』本誌で「モーリー・ロバートソンの挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが「ロックフェスと政治」について語る。

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7月下旬に開催されるフジロック・フェスティバルが思わぬことで話題になりました。SEALDsの奥田愛基(あき)さんらがステージでトークショーを行なうことに対し、一部から「ロックに政治を持ち込むな」という批判が出たのです。

昔話になりますが、僕は若かりし頃、ウィリアム・バロウズという小説家に入れ上げていました。ハーバード大学の図書館には、彼の一般的な出版物のみならず未公開の著作や朗読音源も所蔵されており、僕はそれらを貪(むさぼ)るように掘り起こした。

バロウズ本人に手紙を送り、直筆の返事をもらったこともありますし、大学の卒業制作は彼の「カットアップ」と呼ばれる手法を用いてつくった前衛的な映像作品でした。

バロウズは生涯を通じて“反体制”であり続けました。猥褻(わいせつ)でグロテスクな作風、ドラッグまみれの退廃した私生活。さらに、当時は違法だった同性愛を公言。そのすべてがロック的であり、1950年代から90年代に至るまで、多くのミュージシャンから信奉されました。

ミック・ジャガー、デヴィッド・ボウイ、ルー・リード、そしてカート・コバーン……。パンクの黎明期にも、多くのミュージシャンが“バロウズ詣(もう)で”をしていました。

僕もかつてバロウズの熱に浮かされた人間ですが、今ならわかります。彼は体制や商業主義を真っ向から否定しながら、気づいたときには「“反体制”“反商業主義”というビジネス」のど真ん中にいたのです。

率直に言って、彼の小説は処女作から進歩せず、キャリアを通じ、最初のテンプレートを使い回し続けただけです。しかし、それを各時代の若者が「これぞ反体制」と偶像化し、いつしか神輿(みこし)に乗るだけで、みんながありがたがる存在になった。

一方、神輿を担ぐ側は「バロウズと一緒にいることこそがアートだ」「自分たちは商業主義に汚れていない」と言うことができた。つまり、お互いに利用し合っていたわけです。


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