なぜ安倍首相は、小池百合子の強行”立候補に対し依然として静観の構えなのか

都知事選における自民党の「分裂選挙」の引き金になった、小池百合子による“強行”立候補だが、これに対して安倍首相は依然として静観の構えだ。それはなぜか?

安倍官邸周辺の声を探っていると、小池と安倍首相に“ある利害の一致”が見えてきた。それは「東京五輪にまつわる利権を一手に差配するとされる森喜朗元首相を排除したいとの願望」だ。

ある自民党議員がこう証言する。

「もともと、森元首相は小池氏を毛嫌いしていました。保守党から自民党にくら替えして清和会入りした小池氏に対し、『お座敷がかかれば、ホイホイと出かける芸者』『がりがりの出世亡者。あんな女、俺が政治生命を断ってやる』などと、よく悪口を言っていました」

だが、相手は首相経験者。新参者の小池氏はじっと耐え忍ぶしかなかったという。自民議員が続ける。

「小池さんにとって、森元首相は天敵。ただ、やられっ放しでは気が済まない。チャンスがあれば、反撃しようと虎視眈々と狙ってきた。実は官邸もひそかに『森降ろし』を願っており、その一点で両者は利害が一致している。小池氏を党除名などの厳罰にせずに、官邸が静観しているのはそのためです」

官邸が「森降ろし」に動くのは、JOC(日本オリンピック委員会)などが2億2000万円の裏金をコンサル会社に支払い、東京五輪開催を「黒いカネ」で買ったとの疑惑を火消ししたいためだ。

ここにおいて、小池と安倍首相の思惑は一致する。すでに、水面下では逆に小池氏をサポートする動きまであるという。しかも公示直後の世論調査で、小池が自民党公認の増田寛也候補を支持率で上回ったことから、さらにこうした動きは加速する可能性が高い。

発売中の『週刊プレイボーイ』31号では、官邸周辺を徹底取材。一枚岩とはいえない自民党の都知事選対応の実態について紹介しているので、ぜひご覧いただきたい。

(取材・文/本誌ニュース班)

■週刊プレイボーイ31号(7月16日発売)「安倍首相が小池百合子の暴走を止めない理由」より