いろんな企画を温めている『フリースタイルダンジョン』をまずは見てほしいと語るZeebra

全国から集ったスゴ腕ラッパーたちが、過激な“口ゲンカ”バトルを繰り広げる。ラップってこんなに面白いのか―。

昨年9月に放送開始し、今やカルト的な人気を誇るフリースタイル(即興)MCバトル番組『フリースタイルダンジョン』(以下、『ダンジョン』)。その仕掛け人がZeebra(ジブラ)である。今やヒップホップの“福音者”となった彼の野心を前編記事→(「お会いした天皇皇后両陛下がラップをご存知で感動しました」)に続き聞いた!

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―ヒップホップは“現場主義のアンダーグラウンドなもの”というイメージがありました。ところが、地上波を使ってそれを必死に盛り上げようとしているZeebraさんの活動に、少なからぬ意外さも感じました。

Zeebra(以下、Z) うん。メジャーなフィールドでやることに対して、批判的なリスナーもたまにいますよね。「アンダーグラウンドだからイイ」とか「自分だけが知ってるものが好き」っていう人がね。でも、そういうヤツはホントのヒップホップ好きじゃないから、俺は相手にしてないですね。そういうヤツらには「じゃあ、テレビに出てるアーティストはみんなフェイクなんですか? スティーヴィー・ワンダーやマイケル・ジャクソンみたいに売れてるアーティストは、音楽性が低いんですか?」と聞きたいね。

―音楽全般に言えることですが、商業的成功を目指すことに対して批判的な風潮もありますね。

 そういうリスナーがいてもイイとは思いますよ。でも、ヒップホップって、そもそも金銭を肯定してるジャンルだから。俺らは金が欲しくてしょうがないし、テレビにも出たくてしょうがない。そして、その欲望を正直に口にする。その点がほかの音楽とは違うところかもしないですね。ただ、危ないヤツらだと思われてたから、今までテレビに出れなかったんだけど(笑)。

―『ダンジョン』によって即興のMCバトルがブームになっていますが、そのことによって、Zeebraさんがずっと取り組んできたような“録音”の作品の存在感が相対的に低下していることについては、どう思われますか?

 何も問題はないですね。『ダンジョン』でラップの聴き方を学んだお客さんが、録音の作品を聴いて「こんなスゲーことしてたんだ」って思ってくれればうれしいし。ただ、言っておきたいのは「MCバトルだけがヒップホップじゃない」っていうこと。……って、こんなこと言わなきゃいけない時代が来るとは思ってなかったけどね(笑)。ちょっと前までは、MCバトルはヒップホップのごく一部の小さい世界だったから。

―まだ『ダンジョン』を見たことがないという週プレ読者に向けて、番組をアピールするとしたら?

 そうだな……。(ギャルダンサー集団の)「サイバージャパンダンサーズ」を出して、お色気を足そうかな(笑)。とにかく、エンターテインメントを提供していくためには、常に先手先手で新しいことをしていかなきゃいけないと思うんです。いろんな企画を温めているので、まずは一度見てほしいですね。

◆インタビュー全文は『週刊プレイボーイ』34・35合併号「Zeebra直撃インタビュー!!」にてお読みいただけます!

●Zeebra(ジブラ)1971年4月2日生まれ、東京都出身。93年に「キングギドラ」を結成。不可能を可能にするヒップホップアクティビスト。現在はレーベル「GRANDMASTER」の運営に携わりながら、「クラブとクラブカルチャーを守る会」会長、渋谷区観光大使ナイトアンバサダーなども務めている

(取材・文/西中賢治 撮影/下城英悟 スタイリング/小倉正裕 ヘア&メイク/木村美貴子 衣装協力/GUESS JAPAN I Love Ugly プラス・コンテンポラリー)