10代からバイクに乗り続けている三船美佳さん

日本でのバイクの販売台数が減少し続ける中、危険なイメージが根強いオートバイが近年、若い女性に人気で、普通二輪免許取得者数がじわじわ増え続けているという。

そこで芸能界きってのバイク女子・三船美佳さんに突撃インタビューした、前回記事「妊娠していた時はハーレーにまたがってエンジン音だけ聞かせてた」に続き、後編ではさらなるバイク愛について語ってもらった!

―なんだか愛犬に接するみたいにバイクと接しているんですね。

三船 確かにそうですね(笑)。よく考えてみると、バイクを動物のように思っているところがあるかもしれませんね。小学校の頃、ハワイに留学していた時に乗馬をしていて。乗馬って、ただ乗るだけじゃなくて、ひづめの間のお掃除やブラッシング、グルーミング、トリートメントとか、そういうお世話を全部やってからやっと乗せてもらえる。

で、乗ったからってすぐ上手に乗れるわけではなく、相性もあるし、自分とお馬さんとの意思疎通も大事で。ハーレーもスティードちゃんもひと筋縄ではいかない駄々っ子だったから、バイクは機械だけど、意思疎通を図ろうとしてたんでしょうね。

乗馬の時も、私が乗った馬が一番、駄々っ子で、背骨も大きくて乗りづらいし、マイペースで頑固。でも、そういうコと気持ちが通じあった時は、もう幸せ! 「お願い~」って頼んだり、強気に命令したり、ゴメンネって謝ったり、コチョコチョしてみたり…。でもそんな中でフィーリングがピタッと合った時に、苦労してたのがウソのように障害物を飛び越えられたり、どんどんレベルがアップしていくんですよ。

最終的に裸馬として、私を乗せてくれた時の感動は忘れられませんね。乗りやすい馬に乗ってるのとはまた違う「乗り越えた」という絆が生まれる。その愛の形みたいなものをバイクにも求めているのかな~(笑)! アイアンホースって言うし…。

―その入れ込み方にも危険な香りが…(笑)。ちなみに、愛車のハーレーは大掛かりに改造してるとお聞きしましたが…

三船 もうね、大好きなの(笑)! パーツも少しずつ自分が好きなものに変えて、塗装も足回りもすごく綺麗にカスタムしたし、今は最初の姿は跡形もないんじゃないかってぐらい。あと、メンテも考えてエンジンも載せ替えてます。

考えたくないけど…新車を何台か買えるよねっていうぐらいはつぎ込んでいるかもしれません(笑)。せっかく出会ったこのコに、ちゃんと愛情を注いであげたいなって。乗り換えるとしても、またこのコのソックリさんだと思う。

マフラーの高熱で、今でも傷跡は残ってる

―本当にハーレーひと筋なんですね。ツーリングには行きました?

三船 取材で行かせてもらった山中湖が一番遠いツーリングになったかな。でも、やっぱり子供が産まれると、なかなか遠出はできなくて。だから、バイクでスーパーに買い物に行くことが好きでしたね(笑)!

―ハーレーでスーパー!? そういえば「大根の入ったレジ袋を腕にかけてハーレーに乗ってる三船美佳を見た!」と小耳に挟んだことがありますが、それはまさか事実…?

三船 事実です! でもさすがにビニール袋を腕にかけちゃ危ないから、ネギとか大根は革ジャンの背中に入れて。あっ、卵は割れちゃうからお腹側にね!

―ホントだったとは~(笑)! ネギを革ジャンの背中にって…まるで忍者みたい(笑)。

三船 背中に立てたネギが風にあおられて「風・林・火・山!」って旗でも立ってるみたいにバタバタして、もう「ひとりネギ暴走族」(笑)!

―(一同爆笑)。

三船 そんな風に颯爽(さっそう)と走りながらも(笑)、自宅が静かな住宅地にあったので、迷惑がかからないように広い道路でエンジンを切るの。その後は、またがってハァ、ハァって脚で漕ぎながら家まで戻るんですけど、車体が300キロぐらいあるから自転車のおばちゃんに追い抜かされていくという。でも、子育てで忙しくて乗る機会が少なかったから、そうまでしても乗りたかった!

―大型バイクって重いし、エンジンも熱いですけど、ケガは一度もないんですか?

三船 こういう仕事しているのにも関わらず、事務所の社長にもバイクOKにしてもらってたから、安全第一でやってました。上着はちゃんと背骨をガードしてくれるカドヤ(日本で最も歴史のある革ジャンメーカー)さんの革ジャンを着て、エンジンガードも付けて。スチールトゥの(鉄板で補強された)ブーツを履いて、暑くても革パンです。

そういえば、ドラマの衣装合わせでスタジオにバイクで行った時に、地面に砂利が敷いてある駐車場にバイクを停めようとしたら、スタンドが滑ってバイクが倒れそうになって。「倒すわけにいかない、絶対傷つけたくな~い!」って、ブーツで踏ん張ったら、マフラーがココ(膝の内側)に当たって、ジューって。バーベキュー状態ですよ。

マフラーの高熱で革パンの下に履いてたストッキングまでも溶けちゃってました。今でもちょっと傷跡は残ってるんだけど、でもね、その「焼き印」が好きで(笑)。友達とかでバイク屋に集まったりしても、お父さん世代の人が「10代の頃にな~、ここの傷がな~」とか言うのを聞くと「やばいっすねー」って聞き入っちゃう。そこで“バイク乗りの勲章”の見せ合いが始まるという(笑)。

おっぱいが振動でピュッピュッて出ちゃう(笑)

―はははっ、三船さんのイメージが180度変わりましたよ! バイクに乗ってて良かったことはありますか?

三船 信号待ちのほんの数秒の間なんですけど、隣になった知らない人(バイカー)との会話がいいですよね! バイクに乗ってる時は、みんな私をひとりの人間として見てくれて「TVで見ました」じゃなく「そのバイクいいっすね!」とか「ここもっとこうしたら?」とか、対等に付き合ってもらえたのがすごく嬉しかった。

「じゃ、気をつけて」って軽くホーンでも鳴らされた日には、キザでどこかこそばゆいけど喜んで返しちゃう。「なんか映画みたいじゃね?」って(笑)。すごく心が通じ合うというか。…あとね、街でも高速でも無防備だからスピードを露骨に感じるし、言ってみれば「死」もすごく近いから、何かこう、五感が研ぎ澄まされるというか、「自分は今生きてるんだ」っていうのを感じるんですよね。眠ってたものが研ぎ澄まされた感覚を今でもすごく覚えてますね。

そのせいか、すごく集中できるんですよ。もちろん運転に一番集中しているんだけど、よくドラマとかに出させてもらってた頃、なかなかセリフが覚えられなかったのに、信号待ちしている間にふと「お、(セリフが)出てくる出てくる」ってことがあったり。「ありがとう、あなたのおかげ!」ってまた愛着が増す(笑)。

―では最後に、バイク女子にメッセージを!

三船 これはよく話してるんだけど、バイクって、女性として「妥協」しやすい部分だったりすると思うんですよ。

―んっ? 妥協とは?

三船 結婚して子供が生まれたりすると、「私、こんなことしてる場合じゃない」って、バイクを手放しちゃう友達も結構多くて…。子育てや家事をしながら趣味を持つってすごく難しくて、子供のための母親という役割と、自分のためのライフスタイルの間ですごく悩んで…。私なんかは、まだ授乳中だけど乗っちゃおうかなって、でもおっぱいが振動でピュッピュッて出ちゃう~みたいな(笑)。

男性がバイクに乗るのは当然だと思われているしカッコイイけど、女性がバイクを維持するって難しい。でも自分のライフスタイルだから、そこは「よいしょ!」って守れば、他のやりたいこととか全部に繋がって、守りきれちゃうと思うのね! そんな時って、周りの人のサポートってすっごい大事で、温かい仲間をたくさん作って、コミュニティを大事にしておくと全然違うのかなって。私はそれに支えられたから。

だからホントにバイクが好きだったら、どうか諦めないでほしいし、どうか周りの人も理解してほしいなって。それに、もしその時、手放したりしても、いつかまた乗ってほしいなって。バイクと出会って、バイクと恋をした記憶を思い起こしてほしいなって思います。

(取材・文/明知真理子 撮影/松井秀樹)

三船美佳(Mika Mifune)1982年9月12日生まれ。東京都出身。身長160cm B82 W62 H88 趣味は乗馬、バスケットボール、バレーボールのほか音楽・映画鑑賞と多岐にわたり、特技は英会話。現在はABC『朝だ!生です 旅サラダ』、MBS『住人十色』、SUN『午後キュン』等、レギュラー番組多数。最新情報は公式ブログにて! http://ameblo.jp/mifunemika/