過去最多のメダルを獲得したリオ五輪での強い女性達の大活躍を振り返る

リオ五輪では、様々な苦境を乗り越えてメダルを獲得する女子選手が目立った。困難に立ち向かって勝負を終えた後の涙に、思わずもらい泣きをしたという人も多いだろう。

そんな女子選手たちの名シーンを、男子選手編に続いて写真でプレイバック!

●8月6日(土) ウェイトリフティング・48kg級

三宅宏実(30歳) 銅メダル

■腰痛に耐え、瀬戸際でメダルを決めた執念のリフト

前回のロンドン五輪で銀メダルを取った三宅だが、大会前から苦しんだ腰痛の影響でスナッチ8位と出遅れる。しかし、最後のクリーン&ジャークで107kgを挙げる執念を見せ、銅メダルを獲得。2大会連続でメダリストとなった三宅は競技後、バーベルに喜びのハグをした。

●8月10日(水)競泳・200mバタフライ 

星奈津美(26歳) 銅メダル

■手術を強い気持ちで乗り越え、復活の銅メダル

12年のロンドン五輪で銅メダルを手にした星の体調に異常が見られたのは、2年前の2014年。高校1年で発覚したバセドー病の症状が悪化し、14年11月に甲状腺を摘出。「甲状腺を取ってしまえば済む」と気持ちを強く持った星は、約3週間後に練習を再開。昨年の世界選手権で優勝して復活を遂げ、リオ五輪で2大会連続の銅メダルを手にした。

●8月10日(水) 柔道・70kg級 

田知本遥(26歳) 金メダル

■「不動心」を心の支えに、貫いた自分の柔道

ロンドン五輪では7位に終わり、昨年2月の国際大会ではドーピング規定違反となる風邪薬を服用して警告処分を受けるなど、一度は引退も覚悟した田知本。そんな時、支えとなったのが松井秀喜氏の著書『不動心』だった。「自分の柔道をする」と気持ちを切り替え、銅メダルが続いた女子柔道に唯一の金メダルをもたらした。

●8月11日(木) 競泳・200m平泳ぎ 

金藤理絵(27歳) 金メダル

■代表落ちから這い上がった、水泳界の澤穂希

競泳日本代表の主将として負けられなかった。08年北京五輪に出場も、12年ロンドン五輪出場を逃してからは何度も引退を考えたという。だが、現役続行を決意してからはコーチの協力を得て自分に猛練習を課し、決勝ではライバルのユリア・エフィモワ(ロシア)を寄せつけずに頂点に立った。

天国の母に捧げる、前人未到の4連覇!

●8月16日(火)水泳・シンクロナイズドスイミング・デュエット 銅メダル

乾友紀子(25歳)、三井梨紗子(22歳)

■“鬼コーチ”の復帰で輝きを取り戻したマーメイドジャパン

デュエットで初めてメダルを逃したロンドン大会後、日本に井村雅代ヘッドコーチが戻ってきた。全く衰え知らずの“鬼コーチ”ぶりで選手たちを鍛えあげ、乾と三井はこの種目で日本勢8年ぶりとなる銅メダルを獲得。さらに19日のチームフリールーティンでも銅メダルを獲得。4年後の東京五輪では、さらに輝くメダルを目指す。

●8月16日(火) 卓球・団体 銅メダル

福原愛(27歳)、石川佳純(23歳)、伊藤美誠(15歳)

■苦しみぬいた愛ちゃん、有終の団体銅メダル

「一番苦しい五輪だった」と愛ちゃん自身が語るように、シングルスの3位決定戦、団体の準決勝と悔しい負けが続いていた。しかし、団体の3位決定戦では、シングルスで勝利を挙げた石川と伊藤の後押しもあり、団体戦のダブルスで値千金の勝利。メダル確定後は歓喜と安堵の涙が流れた。

●8月17日(水) レスリング・58kg級 

伊調馨(32歳) 金メダル

■天国の母に捧げる、前人未到の4連覇

4連覇への道は決して平坦ではなかった。2年前に最愛の母が急逝、今年1月には不戦敗を除いて13年ぶりの黒星も味わった。リオ五輪の決勝も苦しい戦いとなったが、「気持ちで獲れた」と本人が語るように、必死に掴みとった金メダル。家族の元に駆け寄った伊調の目には、安堵の涙が滲(にじ)んでいた。

日本中が目を疑った、絶対女王の敗退…

●8月18日(木) バドミントン・ダブルス 金メダル

高橋礼華(26歳)、松友美佐紀(24歳)

■世界ランク1位の底力。手に汗握る、奇跡の逆転劇

ダブルス世界ランク1位のペアとして、順当に決勝まで駒を進めた「タカマツ」ペア。試合は格下のドイツ相手に最終ゲームまでもつれる苦しい展開となった。3ゲーム終盤、16‐19と窮地に追い込まれたところから、“奇跡”とも評された5連続ポイントで逆転勝利。日本バドミントン勢初の金メダルを手にした。

●8月18日(木) レスリング・53kg級 

吉田沙保里(33歳) 銀メダル

■日本中が目を疑った、絶対女王の敗退

決勝進出が決まった時点で、誰もが吉田の4連覇を信じて疑わなかった。しかし、リオに向けて絶対女王を徹底研究してきたヘレン・マロウリス(アメリカ)に片足タックルも封じられ、まさかの銀メダル。試合後は「申し訳ない」と悔し涙を流したが、日本選手団の主将のプレッシャーを背負いながら4連覇に迫った吉田の偉大さは揺るがない。

●8月19日(金) バドミントン・シングルス 

奥原希望(のぞみ・21歳) 銅メダル

■膝に爆弾を抱えながら、不屈の闘志で表彰台に

16歳で全国制覇し「スーパー高校生」とも呼ばれたが、高3の冬に左膝を損傷。手術を経て復帰した翌春に右膝も痛め、選手生命が危ぶまれた。しかし、膝の負担を減らすトレーニングを諦めずに続け、昨年の9月に復帰。そこから1年にも満たないリオ五輪で、シングルス初のメダルを獲得する快挙を成し遂げた。

(写真/日本雑誌協会)