運がいいやつが仕事でもデキるとは限らないのでは?

先月、毎日新聞が「就職活動中の学生らの採用方法のひとつとして、麻雀大会を採り入れる企業が出始めている」と報じ、話題に。

「麻雀は頭の回転の速さや勝負勘、運が必要とされ、企業側が学生に求める能力と一致する部分も多い」というのがその理由らしい。麻雀に限らず、近年ではこうした変わり種の採用方法を試みる企業が増えているがーー。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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最近話題の一風変わった就職試験。麻雀で頭の回転の速さと勝負強さ、それとマナーを見る、なんて面白いですね。ほかにもボウリング採用なども。個人的にはモノポリー採用もいいんじゃないかと思います。

通常の面接では学生の本質が見えない、という採用側の気持ちもわかります。マニュアル回答の似たような小利口な学生ばかり集まってもな、と。

でも素朴な疑問だけど、麻雀やボウリングで冴(さ)えてて運がいいやつが仕事でもデキるとは限らないのでは? そんなこといったら雀荘はエグゼクティブだらけのはず。

それに、勝負事に興味がない人材も組織には必要じゃないかなあ。全員が熱血雀士だったら収拾がつかなくなりますよね。勝ち負けには興味がないけど仕事をきっちりやるのが生きがいという人もいるし、競争は苦手だけど地味な仕事を厭(いと)わない人もいる。組織って、光の当たる場所ばっかりじゃないもの。

面白採用ではぜひ、競争に興味のない人材にも光を当ててほしい。千羽鶴折りとか障子張りとか。大勝負に出る人を支えているのは、多くの闘わない人々なんですから。

●小島慶子(Kojima Keiko)タレント、エッセイスト。父が商社マンで、幼少時に家族麻雀をよくやった。なんでもいいから3個ずつそろえて、流れを無視して安い手で上がるという典型的な子供麻雀であった。チートイツが好き