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まるで戦前の治安維持法? テロ対策の名を借りて復活した「共謀罪」の恐怖

[2016年09月29日]

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「共謀罪は戦前の悪法・治安維持法を想起させることが問題」と語る金恵京氏(撮影/細野晋司)

9月26日に始まった臨時国会で、政府は「テロ等組織犯罪準備罪」法案の提出を見送った。この法案は、過去に3度国会に提出されるも国民の反発で廃案になった「共謀罪」法案とほぼ同じ内容だ。

政府は今国会での提出は見送ったものの、来春の通常国会での成立を目指す姿勢は崩していない。「重大犯罪の計画を話し合うだけで罪に問える」ようにする共謀罪は、国民の生活にどのような影響を与えるのか?

「週プレ外国人記者クラブ」第49回は、テロの専門家で、様々なメディアで活躍する韓国・ソウル出身の国際法学者、金恵京(キム・ヘギョン)氏に話を聞いた――。

***

─まず、「共謀罪」というのは、どのような犯罪を指すのでしょうか?

金 共謀罪では、複数の人が犯罪行為を行なうとの合意をした時点で犯罪となります。現在の日本の刑法では、実際に犯罪に着手すること(行動を起こすこと)が犯罪要件となっていますが、この基本概念が根本から変更されることになるのです。

例えば、殺人罪と殺人未遂罪では後者のほうが刑が軽くなるのが当然です。日本でも刑法43条で「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を軽減できる」「自己の意思により犯罪を中止した時は、その刑を軽減し、または免除する」と未遂について規定されています。しかし、共謀罪が成立すれば、犯罪の実行に着手すらしていなくても、複数の人がその犯罪を行なう合意をしただけで処罰の対象になります。つまり、刑法に新たな概念が盛り込まれることになるのです。

東京オリンピックを控え、世界的なテロへの関心・危機感の高まりを背景に「テロ等組織犯罪準備罪」という名称にすることで共謀罪に対する社会的な反発を緩和できると政府は考えたのかもしれません。しかし、適用される犯罪の範囲は「法定刑が4年以上の懲役・禁錮の罪」となっていて、過去に3度廃案となっている共謀罪法案と変わりませんでした。

そのため、過去と同様に各所から反対の声が挙がり、臨時国会への提出を見送ることになったのです。もし、この法案が成立したとすれば、「法定刑が4年以上の懲役・禁錮の罪」という適用範囲に当てはまる犯罪は600以上に上ります。それらすべてに前述したような未遂罪以上の概念を盛り込む法改正が求められ、ひいては法理念の変更すらも必要になってきます。

─刑法では「教唆(きょうさ)」という罪も規定されていますね。例えば、殺し屋を雇って誰かを殺害させれば殺人教唆の罪に問われ、刑の重さは殺人罪と同じです。共謀罪は、この教唆とも違う?

 教唆というのは、実行犯に対して犯罪を強要したり示唆する罪のことです。つまり、犯罪が実際に着手されなければ、教唆の罪も成立しません。繰り返しになりますが、共謀罪は犯罪が実際に行なわれていなくても成立するのです。


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