遊べるゲームモードは3つ。いろんなコースをクリアするモードに、世界中のプレイヤーと競うモード、自分だけのキノコ王国を作るモード。2016年12月配信開始予定。一部プレイ無料だとか(c)2016 Nintendo

iPhone7が発表された9月7日(現地時間)、米・サンフランシスコで行なわれたAppleのスペシャルイベントで、新型iPhoneそっちのけのとんでもない発表があった。

それは、iPhone&iPad向けアプリ『SUPER MARIO RUN』(スーパーマリオラン)の配信が決定したというお知らせだ。

ゲームハードのメーカーである任天堂が、スマホ市場についに看板キャラのマリオを投入するという、ゲーム史上、歴史的な大発表を行なったわけだが、これまで自社製ゲーム機にこだわってきた任天堂が一体なぜ今、スマホゲームに本格参入したのか? そして任天堂はどこに向かい、今後ナニを目指すのか? 期待を込めつつ大予測します!

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まずは9月7日の発表会を現地取材した、『週刊アスキー』編集部の伊藤有(たもつ)氏に、当日の様子を聞いてみた。

―マリオ発表は事前に知らされていたのですか?

伊藤「まったく知りませんでした。まさかAppleの発表会で任天堂のIP(マリオなどの知的財産)、それもマリオと宮本茂氏が出てくるなんて思いもよりませんでした。全世界のメディア関係者が1千人ほどいましたが会場全体が度肝を抜かれたと思います」

―『マリオラン』は一体、どんなゲームなのですか?

伊藤「宮本さんは『移植ではなく完全新作だ』ということを強調しており、画面をタップしてジャンプするタイプのゲームのようです。横画面でバーチャルコントローラーを駆使するゲームではなく、縦画面の完全新作を作ったあたりに任天堂の覚悟と、スマホ向けゲームでついに本気を出してきたか、と感じました」

―他にはどこにスマホゲームらしさを感じましたか?

伊藤「世界中のプレイヤーとスコアなどを競うモードがあるところとコミュニティ機能です。『LINEゲーム』のように競争心をかき立てられるのはスマホっぽさもありながら、任天堂がこれまで大事にしてきた人と人をつなぐことを重視した遊びになっているのではないかと感じました」

―そもそもスマホゲームへの参入に今まで消極的だった任天堂が、なぜ本気を出してきたのでしょうか?

伊藤「マリオはほぼ全年齢層が知っているキャラであるものの、その全員がマリオのゲームで遊んでいるわけではないですよね。より多くの人にマリオのゲームを遊んでもらうために、多くの人が所持し、使用時間も長いスマホ向けにゲームを作ろうと考えたのでしょう。また、現在の子供が最初にゲームと出会う場がスマホなのも無視できない状況で、そのことも参入の大きな理由だと思います」

―マリオがスマホ参入したその先にはどんな野望が潜んでいると思いますか?

伊藤「新しいIPビジネス展開ではないでしょうか。元々、任天堂の君島達己(きみしま・たつみ)社長が株主や投資家向けメッセージで『任天堂IPに触れる人口を拡大する』と表明しています。今回のマリオのスマホ投入にしろ、昨年放送されたメルセデス・ベンツとマリオのコラボCMや、すでに発表されている平成32年オープン予定のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)のマリオのアトラクションなど、これまでの任天堂とはまったく違った、非常に攻めたIP展開をしてるなと感じています」

うーむ。今こそ任天堂にとって、まさに戦略転換の時なのだろうか…?

★この続きは、明日配信予定!

(取材・文/河合桃子)