優勝請負人はあの球団出身者!? ポストシーズンの行方をジンクスだけで占ってみると…

10月8日にいよいよプロ野球のクライマックスシリーズ(以下、CS)が開幕する。そこで、ポストシーズンの行方を“ジンクスだけで占ってみた!

■パの3位は今年も下克上しちゃう!?

2007年のスタート以降、今年で10回目を迎えるCS。過去9年で18カード行なわれたファーストステージ(リーグ2位と3位が対戦)では、なんと17カードで「初戦に勝利したチームがファイナルステージに進出」。短期決戦は初戦が大事、という野球格言は真実だったわけだ。

また、パ・リーグのファーストステージではもうひとつ気になるデータがある。ロッテがリーグ3位から日本一になるという「下克上」を成し遂げた2010年以降、11年西武、12年ソフトバンク、13年ロッテ、14年日本ハム、15年ロッテと、「6年連続でリーグ3位がファーストステージを突破」しているのだ。今のところ、パ・リーグ3位はファーストステージでの勝率が歴代1位タイの.727を誇るロッテだけに、またしても法則発動となるだろうか。

ただ、たとえファーストステージを勝ち上がっても、ファイナルステージではリーグ1位に1勝のアドバンテージがあるだけになかなか逆転は難しい。事実、「リーグ1位がファイナルステージで先勝したら必ず日本シリーズに進出」している。2、3位チームが下克上するためには、初戦勝利が絶対条件なのだ。

■日本一のキーマンはハマ出身の助っ人!?

今年のCSの大きなトピックといえば、これまで12球団で唯一、CS出場経験のなかった横浜DeNAが今年はAクラス入りを確定させ、初めて出場権を獲得したことだろう。もし日本シリーズ出場となれば、あの98年の日本一以来、18年ぶりのこととなる。

ここで横浜ファンにとって嬉しいデータを紹介したい。それは、「横浜は日本シリーズに出れば優勝確率100%」というもの。過去、2度出場した日本シリーズでどちらも優勝。複数回出場したことのある球団としては横浜だけが成し遂げた偉業だ。

さて、そんな横浜の勝負強さ(!?)を証明するような奇妙な法則がもうひとつ。どうやら、「日本一の鍵を握るのは横浜(ベイスターズ)出身者」らしい。

というのも、近年の日本一チームは、その年に横浜から主力選手を獲得するか、横浜出身選手がポストシーズンで大活躍している。10年ロッテは吉見(よしみ)祐治、11年ソフトバンクは内川聖一、12年巨人は村田修一、13年楽天は藤田一也…といった具合に、横浜から補強したチームが連続で日本一を達成しているのだ。

14年、15年はソフトバンクが2連覇しているが、その立役者は間違いなく横浜出身の内川だ。彼は2年続けてポストシーズンで大暴れした(14年は日本シリーズMVP、15年はファイナルステージMVP)。

では、今年はどうか? 実は、主力クラスで横浜から移籍した選手は0人。例年とは違い、今年は戦力を維持できたからこそ横浜が念願のCS初進出を勝ち取れたのかも。となると、この法則は横浜自身が破ることになるのか? それとも、またしても内川が爆発してソフトバンクが3連覇達成? まさかの男・村田の活躍で巨人が逆転日本一!?

そういえば、今年、広島カープが12球団一の攻撃力を実現できたのは、横浜出身の石井琢朗打撃コーチの手腕が大きいといわれている。「横浜出身コーチの活躍」もひょっとしたら効果ありなのかも!?

カープは第7戦で日本一を決める!

■パの監督陣を襲う不気味すぎる法則

監督にまつわる法則も興味深い。「過去、日本シリーズを制したことが最も多いのは捕手出身監督」だが、「CS制導入以降、捕手出身監督は日本一になっていない」のだ。ロッテ・伊東勤監督はこのジンクスに挑むことになる。

また、別のジンクスがのしかかるのは、昨年日本一のソフトバンク・工藤公康監督。「過去20年以上、同一監督での日本シリーズ連覇はない」が、CSを勝ち上がり、連覇を果たせるだろうか!?

一方、今年のセ・リーグCS出場監督はくしくも全員が外野手出身。去年のセ・リーグ覇者も外野手出身のヤクルト・真中満監督。かつて「外野手出身に名監督なし」と言ったのは野村克也氏だが、もはやそれは古い格言のようだ。

実は、これまでに「外野手出身監督同士の日本シリーズは一度もない」。パ・リーグを日本ハム・栗山英樹監督が勝ち上がれば、史上初の外野手出身監督同士の激突となる。

ちなみに、「CS制導入以降、セ・リーグが日本一になった3回(07年中日、09、12年巨人)の相手はいずれも日本ハム」。この10年近く、交流戦でも日本シリーズでもパ・リーグ勢に圧倒されっ放しのセ・リーグだが、唯一、日本ハムとだけは相性がいい。果たして、“二刀流の怪物”大谷翔平を擁する日本ハムはジンクスを破れるだろうか?

■カープは第7戦で日本一を決める!

今年のプロ野球を盛り上げた存在といえば、なんといっても25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島カープだろう。そこで、カープファンにとって、CS突破どころか一気に日本一を期待したくなる嬉しい法則を紹介したい。

それは、「80年代以降、20年以上リーグ優勝から遠ざかったチームが日本シリーズに進出すると、必ず日本一に輝いている」というもの。

85年阪神(21年ぶり)、98年横浜(38年ぶり)、99年ダイエー(26年ぶり)、05年ロッテ(31年ぶり)、06年日本ハム(25年ぶり)の5球団はいずれも同年、悲願の日本一を達成した。ちなみに、03年の阪神は18年ぶりにリーグ優勝したが、日本シリーズで敗退。これはジンクスの醸成期間が足りなかった…ということなのだろう。

最後に、もうひとジンクス。「広島が日本シリーズに出ると最後までもつれにもつれる」のだ。過去、広島が日本シリーズで戦ったのは計6回。うち5回が最終第7戦まで決着がつかず、引き分けを挟んで史上唯一となる第8戦まで及んだ年もあった。

残りの1回も、日本シリーズ唯一となる2引き分けを記録。おまけに初の日本一に輝いた79年は、第7戦で「江夏の21球」というドラマまで生んでいる。今年の広島も、最後の最後まで目が離せそうにない。

(取材・文/オグマナオト イラスト/カネシゲタカシ)