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なぜ世間は芸能人スキャンダルに不寛容なのか? ひねくれコラムニスト・武田砂鉄が分析!

[2016年10月07日]

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「芸能スキャンダルへの不寛容は、視聴者がテレビの中の芸能人との距離が近いと誤解してしまうことに原因がある」と分析する武田砂鉄氏

“背中ヌード”で芸能活動を再開したベッキーに対し、ネット上は辛らつなコメントで賑(にぎ)わっている。もうそっとしておいてやればいいじゃないかと思うのだが、世間は芸能人のスキャンダルには相変わらず手厳しいようだ。

そんな中、人気コラムニスト・武田砂鉄氏の新刊『芸能人寛容論 テレビの中のわだかまり』(青弓社)が話題だ。なぜ、世間は芸能人のスキャンダルに対してこんなにも不寛容なのか――その原因を武田氏は「芸能人と視聴者の距離感の変化」と分析する。どういうことか?

***

―『芸能人寛容論』は芸能人をテーマにしたコラム集ですが、「まえがき」ではいきなり、芸能人との接し方について「いちいち考えようとしない。そんな余裕なんてない」と書かれていますね。

武田 芸能人は主に、テレビという別世界にいます。冷たい言い方をすれば、本来は日々の暮らしからとても距離のある、自分たちにとっては「どうでもいい存在」であるはず。しかし、不倫したことを詫びたベッキーに対して「謝罪が足りない」と本気で怒った人がいたように、どうやらこの感覚も自明ではなくなってきた。近い距離で憤(いきどお)る感じに気持ち悪さを覚えます。

―なぜ芸能人のスキャンダルに対する視聴者の態度は変化したのでしょうか?

武田 ひとつの理由には絞れませんが、今、多くの芸能人が「私はテレビの前の皆さんと変わらないんですよ」とアピールすることでお客さんを獲得する「密着型サービス」を増やしているからではないかと思います。芸能人はとにかく「身近な存在」だと思ってもらうために、せっせとブログを書き、インスタグラムに写真をアップし、トーク番組に出れば「友達は少ないし、休みの日は家に閉じこもっちゃうタイプです」と、どこかで聞いたような「意外な話」を繰り返します。

距離を近づけて人気を得ようとする、そして保とうとする…だからこそ、スキャンダルが発覚すると、視聴者は「えっ! 裏切られたんですけど!」と怒り出すのかもしれません。そして、ファンのみならず、これまでファンではなかった人たちまでも、さも裏切られたかのように苛立っていく。こういった芸能スキャンダルへの不寛容は、視聴者がテレビの中の芸能人との距離が近いと誤解し、クソ真面目に接してしまうことに原因があるのではないでしょうか。

―不寛容というキーワードが出ましたが、『芸能人寛容論』というタイトルはどのような意図で?

武田 50人ほどの芸能人について考察した本なのですが、「まえがき」に「テレビを見ていて感じた芸能人へのわだかまりを、じっくり炙(あぶ)って可視化し、精いっぱい受け止める。頼まれてもいないのに、力の限りで寛容する」と書きました。

「寛容」というのは、芸能人をひとまず受け止めて、視聴者としての主体性を取り戻そう、という意味合いです。そのために、頼まれてもいないのに必死に考えてみる(笑)。やや抽象的ですが、何もかも受け入れるわけではなく、受け入れるか、受け入れないかはこっちで判断しよう、ということです。


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