実は飲食店より過酷だという「介護のワンオペ」 (イラスト/服部元信)

「ワンオペ」とは主に外食チェーン店などで、ひとりの店員がすべての業務をこなすことを指す。2014年、牛丼チェーン「すき家」が大半の店で深夜のワンオペを実施していたことから話題になり、すき家を運営するゼンショーホールディングスは同年10月に国内約2000店のうち1167店で深夜営業の休止に追い込まれた。

あれから2年。しかし、ワンオペはいまだ飲食のみならず、各業界で横行しているのだ。

実は飲食以上に過酷なワンオペが起こりがちなのが介護だ。千葉県の老人ホームで働く介護福祉士のD氏(45歳・男性)は、こう話す。

「民間企業が運営する有料老人ホームでは、夜勤帯でのワンオペが“常識”。ウチの施設は3階建てで、各フロアに入所者が20名程度いますが、夜8時から11時間、それぞれのフロアでワンオペになります。

業務は夕食の準備、配膳、夕食の見守り、食事介助、口腔ケア(歯磨き介助)、就寝介助、2時間に一度のおむつ交換。就寝後は認知症の方が徘徊するので定期巡回も欠かせません。夜勤時はキッチンスタッフがいないので早朝4時から朝食作りを始め、同時に5時から起床介助、朝食配膳、口腔ケア、日報の作成。担当フロアでこれを20名分、全部ひとりでこなさなければならないんです。

夜勤中は2時間の休憩時間がありますが、その間もナースコールが頻繁に鳴るので現場を離れることはできません。2時間分の給料を差っ引かれているだけ。もう毎日クタクタです…」

介護の現場では想定外の事態もよく起きる。

「便秘の入所者には下剤を飲ませて定期的に排便させますが、それでもたまりが解消されず、夜中に1週間分の便を一気に漏らす方がいるんです。当然、ベッドは“大洪水”。処理に1時間以上かかりますが、どんな事情があっても朝6時までにすべての朝食を完成させなければならない。

その焦りもあって、体や衣服の洗浄と消毒が不十分なまま厨房に入ってしまうことも少なくありません。言い訳に聞こえるかもしれませんが、それほどワンオペは介護のクオリティを下げてしまうものなんです」

発売中の『週刊プレイボーイ』44号では、ほかにも地獄のワンオペに苦しむ人々の声を掲載。飲食のみならず、介護や警備、さらにはラーメン二郎の店長まで、過酷な実態を是非ご覧いただきたい。

■『週刊プレイボーイ』44号「あのラーメン二郎・店長も登場! 介護や警備の世界でも…俺の『ワンオペ地獄』を聞いてくれ~!!」より