ハリルホジッチ監督率いるA代表は、ロシアW杯最終予選で苦戦中。本大会出場も厳しい!?

今から過度な期待は禁物!というのは重々承知の上だけど、ハリルジャパンがパッとしない現状にあっては、やっぱりこっちに期待してしまう(苦笑)。

実は、日本サッカーの育成年代には“希望の星”がゴロゴロいる。きっと明るい未来が待っているぞ!

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ロシアW杯アジア最終予選でまさかの黒星スタート、さらには主力海外組の高齢化と所属クラブでの出場機会激減…。最近、明るい話題に乏しいハリルジャパン。こんな調子では、日本サッカーの将来まで悲観したくなる。

いや、待て! 希望の光はあるぞ。先頃、U-16日本代表がインドで行なわれたU-16アジア選手権で4強入りし、2大会ぶりにU-17W杯出場を決めたのだ。しかも、ただ勝っただけでなく、パスありドリブルありの多彩な攻撃は、敵将からも称賛されるほどの破壊力だった。

その原動力となったのが、大会得点ランク2位の4得点を挙げた15歳のFW、久保建英(たけふさ・FC東京U-18)だ。

小4でスペインの強豪バルセロナの育成組織に入団し、主軸のひとりとして順調にステップアップ。しかし、18歳未満の外国人選手の獲得・登録規定に違反していたとして、クラブがFIFA(国際サッカー連盟)から制裁を受け、公式戦に出場できなくなったため、昨年帰国してFC東京U-15入り。今年からU-18チームに昇格を果たすや、夏の日本クラブユース選手権では得点王となり、とうとう9月にはJリーグ出場が可能な2種登録をされたというスーパー中学生である。

具体的に、久保のどこがどうスゴいのか? 前述のクラブユース選手権も取材したベテランのサッカージャーナリスト、後藤健生氏が言う。

「技術の高さはもちろん、いつどこで何をしたら相手が一番いやがるかを考えてプレーするという、特異な才能の持ち主です。例えば相手のセンターバックコンビのどちらが弱く、その弱い選手の右足側から仕掛けたほうがいいのか、左足側なのかを瞬時に見抜いて突いたり、プレスをかけるにしてもやみくもにチャージするのではなく、一度敵にボールを持たせておき、隙ができるパスを出す瞬間に寄せたりする判断ができる。

これはもう、生まれ持ったもの。日本の選手はJリーガーでも、試合や相手の状況を考えずに教わったとおり、準備したとおりに90分間一本調子なプレーをしがち。でも、久保は違う。あの年齢であそこまですべてが見えていて、駆け引きができる日本人選手を、私は初めて見ました。今シーズン中にJ3所属のFC東京U-23の試合に出しても十分通用するだろうし、来季にトップチームでJ1デビューさせても、決して早すぎではない」

育成年代を精力的に取材しているサッカージャーナリストの安藤隆人氏は、今回のU-16アジア選手権を現地で見届けた。

「インドの劣悪なピッチでも正確にボールを運べていたように、技術面での久保の一番の強みは卓越したボールコントロール能力。そして、メンタル面では、ボールを持ったら真っすぐゴールに向かうという、日本人選手が忘れがちな意識を強く持っています」

識者ふたりが口をそろえる、久保の日本人離れぶり。どこまで規格外の選手になるのか、将来が楽しみだ。

★さらに育成年代の攻撃陣は“タレントの宝石箱”! 『週刊プレイボーイ』43号にてお読みいただけます!

(撮影/ヤナガワゴーッ!)