オフィスで気分転換としてもできるトレーニングを紹介!

30代から40代でも低下しているという『足腰力』。この「軽快に、そしてパワフルに歩き回れる足腰の力」がこのまま低下し続けると、“寝たきり”になってしまうのだ。

これまで10万人以上にリハビリ指導し、『一生歩ける! 寝たきりにならないための「足腰力」』の著者・野呂田秀夫(のろだひでお)氏によると、“正しい歩き方”をしていないと、いくらウォーキングなどで歩いていても『足腰力』は低下してしまうそう。

前回までの記事では“正しい歩き方”、そして“正しい姿勢”と「大腰筋(だいようきん)」の重要性を聞いた。今回は、“正しい姿勢”を保つための大腰筋を中心とした体幹のトレーニング方法を紹介しよう。

紹介するのは、オフィスでできるものや、テレビを見ながらできるものなど、簡単にできるものばかり。さらに「全てやる必要はない」と野呂田氏はいう。

「大事なのは、毎日続けること。張り切って自分にプレッシャーをかけると長続きしないので、無理はする必要ありません。この中からひとつでもいいから、できることを3カ月やってみてると、変化があります

というわけで、まずは背骨を支え、骨盤を正しい位置に保つ大腰筋を鍛えるトレーニングを。“正しい姿勢”を長時間キープするためには重要な筋肉だ。

【スクワット】

背中は丸くならないように、頭もあげたまま

背中をまっすぐに伸ばし、イスに座る直前までお尻を下げることで、大腰筋を鍛える。注意したいのは、ひざをつま先よりも前に出さないこと。前にでてしまうと、他の筋肉に負荷がかかり、意味がなくなってしまうのだ。

また、いかに持久力を保つかも大事。大きく呼吸をしながら10秒かけてひざを曲げ、20秒キープし、また10秒かけて戻すこと。ちなみに同じ方法で片足でやるとさらに効果的だ。1セット10回、3セットが目安

【もも上げ】

足はなるべく45度くらいまで上げるように

まずは、背もたれに背中が付かないようイスに浅く腰掛ける。太ももの力を使わず、両足を胸に向かって引き上げることで、腹筋と大腰筋を鍛える。大事なのは続けている途中で、床に足をつけないようにすること。1日3セット、1セット10回が目安。慣れてきたらスピードアップしよう。仕事の休憩中にもできるので、オススメ。

お尻で歩けば、姿勢矯正に!!

【腹筋もどき】

身体は30~40度まで。45度を超えると別の筋肉に作用してしまう

仰向けになり、腕を組んだ状態で、上半身を30度ほど起こす。いわば腹筋運動のような形だが、身体を起こし切る前にキープ。すると腹直筋と大腰筋が収縮し鍛えられる。この時、勢いを付けると腹筋を使ってしまうのでNG。1セット10回、3セットが目安。

【お尻歩き】

お尻だけでなく、腕を振って上半身も動かす

ひざを少し曲げた状態で、お尻を前後に5~6回、動かして進む。しっかりお腹や腰をひねることを意識すると腹部のシェイプアップにも。一歩一歩が大きくなるほど、しっかり大腰筋が動かせている証拠。徐々に回数をアップするとベスト。

【仰向け足踏み】

普通に歩くよりも力を込めて、足を踏み抜くように

仰向けの状態で足踏みをするという単純なトレーニングだが、降ろす足はしっかり踏み抜くように、上げる足は腰から上げるようにすることで、大腰筋がしっかり動く。また、骨盤の位置も正しくなり、姿勢も修正される。寝る前にもできるのでオススメ。

以上が、大腰筋を中心に鍛えるメニュー。それ以外にも体幹を構成する筋肉をしっかりつけることで、正しい姿勢のキープにも繋がる。紹介しよう。

さらに体幹を鍛え上げよう!

【四つん這い】

呼吸は止めずに、しっかり息を吐ききることでさらに効果アップ

ひじとひざを床に付けた状態で、頭・胴体・お尻の高さを一直線になるようにして、1分間キープ。背すじをキープさせるため、腹部側と背中側のインナーマッスルの両方が全体的に鍛えられる。また右手・左足(左手・右足)を上げると、バランスを保つため、全身の筋肉が鍛えられる。

【サイドブリッジ】

手足の指先までしっかり伸ばすよう意識する

床に付けたひじとひざを支えに、お尻と片足を上げて1分間キープ。胴体は反ったり、落としたりせず、頭からお尻まで一直線になるように。足も真横にできる限り高く上げる。胴体の側面を中心とした体幹とお尻に繋がる中臀筋(ちゅうでんきん)が鍛えられる。

【ヒップリフト】

肩甲骨あたりまでしっかり床から離すことが大事

ひざを立てた状態で仰向けになり、お尻と片足を上げる。この時、つま先から肩まで一直線になるように、背中もひじで押し上げる。そのままお尻を20回上下させる。上下運動がキツイ場合はその状態を30秒キープしても可。

●取材協力/野呂田秀夫先生メディカルクロッシングオフィス主宰。東京警察病院リハビリテーション科室長、顧問を経て現職。またNPO法人格闘メディカル協会会長、財団法人日本スポーツ・芸術サポート財団特別顧問。長年、総合リハビリテーション分野、スポーツリハビリでの治療ケアに携わる。近著は『一生歩ける! 寝たきりにならないための「足腰力」』

(取材・文/鯨井隆正 撮影/五十嵐和博)