『週刊プレイボーイ』編集部にやって来たファンキー加藤!

『週刊プレイボーイ』本誌にて、6回にわたり行なわれたファンキー加藤の対談連載(継続中)。その連載が歌になったという。真相を本人に聞いた。

■ファンキー加藤が編集部にやって来た!!

加藤 『週刊プレイボーイ』創刊50周年おめでとうございます! 今日は僕からの、心ばかりのプレゼントを持ってきました。

―それで、わざわざ編集部まで…。あっ、もしかして、ファンキー加藤の出張ワンマンライブですか?

加藤 それも考えましたが、ちょっと違います。

―???

加藤 11月2日に2ndアルバムが出るんですが―。

―知ってます。『トラック野郎』を彷彿(ほうふつ)とさせるジャケ写の『Decoration Tracks』、通称“デコトラ”ですよね。

加藤 そうです。ファンモンでデビューして今年でちょうど10年で。週プレの50年に比べたら、まだまだ小僧ですが、濃密だったその10年をふり返りながら、もっと自由に、もっと、もっと歌いたい歌を作るというのを大事にして作った一枚で、その中にーー。

―その中に?

加藤 『レジェンドたちと語る旅』で、お会いさせていただいた方たちをフィーチャーした楽曲…対談を通して感じたこと、たたずまい、ひとつひとつの言葉を思い返しながら作った歌を入れさせていただきました。

―それはスゴイ!!

加藤 許可をいただいていないんで、天龍さんあたりから、「勝手に使いやがって!」とクレームが入りそうでビビっているんですが(笑)。ファンキー加藤から週プレの読者の皆さんに贈る応援ソング、タイトルは『カラフル』です。

―今回の対談企画は、それだけ加藤さんに与えた影響が大きかったということですね?

加藤 大きいなんてもんじゃなかったです。ファンモン時代は、人見知りだということを公言していて。それを乗り越えようとお受けした対談でしたが、ずっと心が震えっぱなしでした。

記念すべき1回目の対談は男の中の男!

■「無色透明の人生より“色々”とある世界を歩いて行こう」

―記念すべき1回目は、プロレスラーを引退された直後の天龍源一郎さんでした。

加藤 やりきった男の表情がすごく輝いていて。自分を飾ることも、強がることもしないのに、どこか気圧(けお)されるようなオーラがまぶしくて。自分もいつかこういう男になりたいーーそう思わせてくれる、男の中の男でしたね。

―2回目が、ホリエモンこと堀江貴文氏。どういう展開になるのかまるで見当がつかずに、ハラハラ、ドキドキでしたが。

加藤 ですよね。僕も、2回目にして早くも、逃げられるなら逃げたいと思っていましたから(笑)。でも、いざ話をしてみると、天龍さんとはまた違った意味で大きい人で。「畑違いのことでも興味があったらまず参戦してみる」という言葉は、目からウロコでした。

―3人目が、歌舞伎役者の中村勘九郎さんです。

加藤 僕からぜひとお願いした、そっくりさん対談です(笑)。

―顔もそうですが、寝ているときは口呼吸だとか、驚くほどたくさんの共通点がありましたよね。

加藤 確かに。でも、勘九郎さんが「誰かに何かを伝えようとするとき、大切なのは技術じゃない、ここなんです!」とコブシで心臓を叩(たた)いたときは、ぶおっと体温が2℃ほど上がっちゃいました。

―4人目が、競馬界のレジェンド、武豊騎手。5人目が泉谷しげるさんです。

加藤 武さんは、勝負の世界に生きる人というイメージがあって。もっとピリピリされている方なのかなと思っていたのですが、ものすごく優しくて、柔らかな方でしたね。でも、ダービーの話をされたときに、一瞬だけ目の色が変わった瞬間があって。あの目は怖かったです。

―一転して、泉谷さんとは終始、和気藹々(わきあいあい)としたムードで。

加藤 はははははっ。泉谷さんとは映画『サブイボマスク』のロケで、1ヵ月一緒にいましたからね。泉谷しげるの取扱説明書は完璧でした(笑)。

対談した方の共通点は挫折や悔しい思いをしている事

―そして第6回戦が、本誌で人生相談を連載していた作家の大沢在昌(ありまさ)氏です。

加藤 自分の背中がもう、思い切り丸まっていた時期だったので(苦笑)、ひと言ひと言がずしりと重く心に響いたというか、僕の弱いところを気持ちよくぶった斬っていただきました。

―いずれもビッグネームのレジェンドばかりですが、この対談をどうやって歌にしたんですか?

加藤 皆さん、環境も、立っている場所も、向き合っているものも違いますが、ひとつだけ共通していることがあってーー。

―えっ!? そんなことありましたっけ?

加藤 今は成功されている方たちばかりですが、必ずしも栄光の道だけを歩いてきたわけじゃなくて、どこかで挫折したり、悔しい思いをしている。大沢さんは作家デビューはしたものの売れない時代が長く続いて。天才ジョッキーと呼ばれる武豊騎手も、最高に欲しかったというダービーにはなかなか手が届かなかった…。でも、そういう時代のことを皆さん、自慢話でもするかのように、ものすごく楽しそうに話されるんです。あの笑顔を思い出したとき、あー、これだ! と。

―歌詞にあるように、「無色透明の人生より、“色々”とある世界を歩いて行こう」と?

加藤 最近、「いろいろあってさ」という言葉は、悪い意味で使われることが多いけど、6人のレジェンドたちの笑った顔は、30代、40代の人生折り返し地点の男たちに、そうじゃないと教えてくれているんです。人生、いろいろあるから面白いんだと。だからーー僕も頑張るから、みんなも頑張って生きようぜ!

●ファンキー加藤(Funky Kato)1978年12月18日生まれ、東京都出身。2014年にソロデビュー後、今年6月には俳優として、映画『サブイボマスク』の初主演を務め、主題歌、劇中歌も書き下ろした。11月12日からソロ2度目の全国ホールツアー「HALFWAY STARTOUR」がスタートする予定

(取材・文/工藤 晋 撮影/熊谷 貫)