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「死刑」から目を背け続ける不思議な先進国ニッポン

[2016年11月03日]

「袴田事件」や「免田事件」の元死刑囚に会い、冤罪事件を取材したこともあるマックニール氏

日弁連は10月、「死刑廃止」を宣言した。しかし、犯罪被害者の家族やその支援団体からの反発は大きく、死刑を容認する世論は8割を超えるとされている。

多くの先進国で死刑制度の廃止が広まっている中、日本はアメリカと並んで制度を維持している数少ない国のひとつで、「死刑の是非」に関する議論もあまり高まっていない。

こうした現状を外国人ジャーナリストはどう見ているのか? 「週プレ外国人記者クラブ」第53回は、1990年に死刑制度を全廃したアイルランド出身のデイビッド・マックニール氏に話を聞いた――。

***

─マックニールさんは日本の死刑制度の現状をどう見ていますか?

マックニール 正直に言って、とても不思議に感じます。先進国の中で死刑制度を維持し、実際に死刑を執行し続けている国はアメリカと日本だけです。EUは「死刑禁止」が加盟の条件ですし、ヨーロッパのほぼすべての国が既に廃止しています。

─ちなみに今、「先進国の中ではアメリカと日本だけ」と言いましたが、中国やロシアは「先進国」に入っていないんですね?

マックニール ロシアはまだ死刑制度を維持していますが、現実には過去10年以上死刑を執行していないので「死刑制度を凍結している」という解釈が正しいと思います。中国はご存知の通り、今や「世界最大の死刑執行国」です。

日本の死刑制度で私が何よりも不思議なのは、近年、「袴田(はかまだ)事件」や「免田(めんだ)事件」などの再審で元死刑囚の冤罪が明らかになったにもかかわらず、死刑制度に関する議論すら高まっていないことです。

私は「袴田事件」で再審が認められた袴田巌(いわお)さん、「免田事件」で再審無罪が確定した免田栄さん、「狭山事件」で再審請求中の石川一雄さんに会って、冤罪事件に関する取材をしたことがあります。

これらの事件における共通点は、警察が自分たちの見立てや思い込みに基づいて容疑者を逮捕し、弁護士も立ち会わない状態で長時間の過酷な、時には拷問に近いような取り調べを行なった上で「自白」を強要していたことです。

そして、その自白を事実上、唯一の根拠としながら死刑を求刑し、容疑者が自白を取り下げたいと申し出ても全く無視される。容疑者の権利に対する配慮の欠如、透明性に欠ける取り調べ方法、あまりにも自白に依存した裁判の進め方が「冤罪事件」を生み出す大きな原因となっています。

その結果、本当は無実かもしれない人たちが死刑判決を受け、自分の刑がいつ執行されるのかもわからないまま、刑務所の中で何十年にもわたって「死の恐怖」に晒(さら)され続けるかもしれない…という可能性について、なぜこれほど無関心でいられるのでしょうか?

実際、袴田さんは30年以上もそうした「精神的拷問」に近い状況に置かれていたことで、精神に異常をきたしていて、私が会った時にも「自分はバッキンガム宮殿で生まれた」とか「あの袴田という人は」と、自分のことを別の誰かのように語っていた姿が印象的でした。なぜ、日本の政治やメディアはこうした問題を大きく取り上げ、国民的な議論をしようとしないのか本当に不思議でならないのです。


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