自民党とは“つかず離れず”の絶妙な距離感をキープしている小池都知事。新党構想はあくまでブラフなのか? (小池百合子政経塾 希望の塾 公式ホームページより)

とどまるところを知らない小池百合子都知事のフィーバー。10月30日にスタートした知事主宰の「希望の塾」にはなんと4千人もの応募者が殺到した。

その人気ぶりを政治評論家の有馬晴海(ありま・はるみ)氏がこう説明する。

「実は応募者に民進党所属の東京都区議が多数いる。区議は次のステップとして都議になりたいが、民進党にも都議がいるから席が空かない。そこで民進党を離党し、来年6月予定の都議選に『小池新党』から出馬しようという魂胆なのでしょう」

「希望の塾」をうらやましげに眺めるのは、何も民進党だけではない。

「都議会自民も表面上は小池知事と距離を置いていますが、本音は違う。『7人のサムライ』をやっかむ声が小さくないんです」(自民党関係者)

「7人のサムライ」とは、先の都知事選で増田寛也元総務相を応援せよとの自民党東京都連の指示に逆らい、小池知事を支援した自民所属の区議7人のこと。知事選後、「造反者」として離党勧告を受けたものの、むしろ小池シンパとして都民からの評判は上々。「希望の塾」でも運営の中心を担っており、次の都議選で小池新党から出馬すれば、当選濃厚とみられている。

前出の自民関係者が続ける。

「そんな7人を見て、一部の自民所属の区議からは『本当は小池さんを支持したかったけど、“執行部の命令を無視したら除名”と言われて泣く泣く増田支持に回った。オレも造反しておけばよかった』との声が上がっていました」

しかし「小池新党は誕生しない」

都知事は大人気。政治塾は満員御礼。誰の目にも「小池新党」の前途は洋々に映る。しかし、「小池新党は誕生しない」と断言するのは前出の有馬氏だ。

「都政改革のために都議会自民とはケンカするけど、安倍官邸や自民党本部とは対立しないというのが小池知事の方針です。二階俊博幹事長と会談して、親密ぶりをアピールしたのはその表れ。だから、『希望の塾』はあくまでも政治勉強の場にとどめ、それを母体に小池新党が発進するということはありえないのです」

では、政治塾はなんのため?

「知事提案の政策に、都議会自民がガチンコで反対できないようにするためです。何しろ、4千人も塾生がいる。知事に反対すると、自分の選挙区に塾生を対立候補として投入されかねないとビビらせる。それが小池知事の作戦なんです」

“幻の新党”で、都議会自民を牽制(けんせい)する。やはり、小池知事はしたたかだ。