90年代ぐらいからはアイドル的な要素の強い女優が歌も歌う時代になった(写真はイメージです)

ピュアで、美少女で、透明感があって…。正統派アイドルはいつも僕らの憧れだった。

今年50周年を迎えた『週刊プレイボーイ』45号では、70年代から現在まで、彼女たちを間近で見てきた人物とともに“正統派アイドル”の歴史をふり返っている。

第3回目は、書評家/プロインタビュアーの吉田豪氏に聞いた。

* * *

昔はアイドルが女優もやるぐらいのバランスだったけど、90年代ぐらいからはアイドル的な要素の強い女優が歌も歌う時代になりましたよね。

僕と接点のあった“正統派アイドル”は綾瀬はるかさん。CDデビューした直後(06年)にインタビューしたんですが、その純朴さにやられてしまいました。当時は、芸能界デビューから5、6年たっていたのにまったく世間ずれしてない。

彼女はすごくシャイで、人前で歌えないから歌番組にも出なかったみたいなんですよね。前年にレコード大賞の司会をしていたにもかかわらず(笑)。そして「私以外の人が歌えば、(自分が歌っている歌も)もっとヒットしてたはずなのに……」って感じの控えめな発言にも好感が持てました。

食べ物を残すことができない性格で、水着の撮影なのに食べすぎて太って帰ってきたとか、そういう話も最高じゃないですか。

また、取材が終わると、誰かが差し入れで持ってきたケーキの箱を片手に抱えて、もう一方の手で女性誌を持って立ち上がった。その表紙には「今年こそはダイエット」という文字が書いてあったんです。本当にドラマのような人ですよ。

もうひとり、とても誠実な人だろうなと思うのは、“ガッキー”(新垣結衣)。

ガッキーは自分で書いている歌詞は意外と暗くて、CMでダンスしたりしているイメージとは真逆な人だと思うんですよ。だけど誠実さを感じる歌は最高だし、いままたドラマで披露しているダンスの魅力も相当なレベルじゃないですか。

歌を歌うのがアイドルの条件だと思っているので、このふたりは歌も人間性もとても素晴らしい正統派アイドルだと思っています。

●吉田 豪(書評家/プロインタビュアー) 1970年生まれ。数多くのアイドルへのインタビュー経験があり、アイドルオーディションの選考委員も。著書に『元アイドル』など

(取材・文/村上隆保 撮影/関根虎洸)