誰より迷惑しているのは、大麻を用いた症状の緩和を待ち望んでいる人々

元女優の高樹沙耶(本名・益戸育江)容疑者が大麻取締法違反(所持)で厚生労働省麻薬取締部により逮捕された。

石垣島にある高樹容疑者の自宅からは、約100回分の使用量に当たる55gの大麻が発見された。大麻仲間とおぼしき4人の男性と共同生活を送っていたなども併せて報じられている。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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付き合う男性にのめり込む女性は危ない!なんてことも、高樹沙耶容疑者について言われているようですが、それは女性だけじゃないですよ。私の周りを見てみても、そんな男性がちらほら。素朴な感じだった男性がセレブ志向のお嬢さまと結婚した途端、子供のお受験に夢中になったり、肩書をやたら気にするようになったり。一緒にいる人の影響を受けない人のほうが珍しいのでは?

に、してもです。高樹容疑者、医療現場での大麻使用の合法化を訴えていたのなら、法律違反の疑いをかけられるような行為は厳に慎むべきだったはず。

これで誰より迷惑しているのは、わらをもつかむ思いで大麻を用いた症状の緩和を待ち望んでいる人々でしょう。今後は何かにつけて「あの高樹容疑者の」と言われることになるでしょうし、症状を緩和するために使用を切望しても、「嗜好(しこう)品として楽しみたいのでは?」という疑いの目を向けられ、肩身の狭い思いをするのではと心配です。

医療用に大麻の使用が合法化されることは、本当のところ私たちにとってプラスなのかマイナスなのか? これを機に議論が深まることを望みます。

●小島慶子(Kojima Keiko)タレント、エッセイスト