ライバルがひしめくコンパクトSUV市場でC-HRは勝てるのか!?

今年12月に発売予定、トヨタの新型コンパクトSUV、C-HRが異常人気だ。

予約はすでにいっぱいで納車は来年3月? いや初夏だ!ってウワサも…。実は世界レベルで群雄割拠のコンパクトSUV市場。その激アツぶりの秘密を小沢コージががっつり取材してきた~!

■C-HRをニュルで鍛えた本音の理由

発売前のC-HRに予約殺到!ってマジなのか。まずは都内の販売店を回ってみた。

「C-HRの予約は数件入っています」(東京トヨペットのC-HR担当セールス)

どの店舗のセールス氏もC-HRの話をするとホクホク顔だ。発売は12月中旬とのことだが、自動車が売れない昨今に、ディーラーはもちろんのこと、ネットでも予約を取り始める大人気ぶりなのだ。しかも、いま注文しても納車は来年3月か、へたすると初夏になるともっぱらのウワサなのだからスゴい。

そもそもC-HRとはどんなクルマかというと、その中身は現行プリウスである。トヨタの走りを改革した新世代プラットフォーム「TNGA」を使った2作目がC-HRなのだ。パワートレインはプリウス譲りの1.8リットルハイブリッド「2ZR-FXE+THS-Ⅱ」と、オーリス譲りの1.2リットル直4ダウンサイジングターボ「8NR-FTS」の二刀流が濃厚。サスペンションはストラット/ダブルウィッシュボーン式、ダンパーはドイツのザックス社製が採用されそうだ。

エクステリアのモチーフは「ダイヤモンド」。ボディカラーは8色。衝突回避支援パッケージが全車標準

が、コンパクトSUVの最大のキモは実用性以上にデザインにある。C-HRはリアシートがさほど広くないし、ラゲッジ容量も事前の情報では318リットル。狭くはないけど、広くもない。要するにC-HRは現代版のスポーツカーの側面がある。

近未来的インテリア。ファブリック仕様だが本革+ファブリック仕様も設定している

ハイブリッドモデルは2眼の専用コンビメーター

それからC-HR人気を支えているのは走りの魅力だろう。C-HRチーフエンジニアの古場(こば)博之氏は、そもそもサーキットを走らせたくてトヨタエンジニアになった生粋のクルマバカ。C-HR担当になり、このクルマが欧州戦略車であることを知って思いついたのはレースへの参加。それも過酷で知られたドイツのニュルブルクリンク24時間耐久レースへの参加だ。しかも自らプロトタイプのハンドルを握って(笑)。

「クロスオーバーモデルだし、最初はC-HRをニュル24時間に出走させる予定はなかったんですが、『走らせたい! 走らせたい!』と言ってたら、去年の夏ぐらいにニュル参戦が決まりまして。単純に自分自身が出たかったのが本音ですけど(笑)、でもそれ以上に僕は昔から欧州ブランドが大衆車でもニュルを必ず走らせてクルマをしっかり鍛えることを知っていたので、ぜひC-HRも走らせたかった。それがレースだったらなおのこといいなと」

結果、C-HRは今年5月のニュル24時間で見事クラス3位で完走。日本製SUVとしては初の快挙を成し遂げた。

実際、小沢もC-HRのプロトタイプに最速試乗したが、一番ビックリしたのは、とてもSUVとは思えないボディ剛性感とステアリングフィールの良さ。中身はまさしくSUVのカタチをした高級スポーツカーであった。

C-HRは、今年5月のニュルブルクリンク24時間耐久レースにまさかの参戦で話題となった

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(取材・文/小沢コージ 写真協力/トヨタ自動車)