オスプレイが配備されている普天間基地は住宅地と隣り合わせだ

大統領選期間中から「在日米軍の経費負担増」や「基地撤退」をチラつかせていたドナルド・トランプ。彼のトップ就任を沖縄の人たちはどう見ていたのか?

11月9日、午後3時過ぎ。沖縄・東村高江にあるN1ゲート前テントでは、米軍ヘリパッド建設工事への反対集会を終えた人々が会場の片づけに取りかかっていた。

そこでトランプ大統領誕生の一報を耳にした彼らは一瞬、言葉を失う。

「えっ、嘘……」

集会の代表者のうちのひとりも戸惑いを隠せずにいた。トランプが大統領になって沖縄はどうなるでしょう、と聞くと…。

「そんなこと、私に今聞かれたってわかるわけがないでしょう!」

代表者のみならず、集会の参加者は皆、大統領選でのトランプの発言に思いをめぐらせていた。

高江のヘリパッドは、本島北部の国頭村と東村にまたがる、アメリカ海兵隊北部訓練場で建設が進んでいる。オスプレイの飛行訓練によって近隣住民の生活が脅かされることなどを理由に連日、反対集会が開かれており、この日も、砂利などの資材搬入が始まる早朝から300人前後が集まっていた。

参加者の50代男性が、ゆっくりと口を開く。

「本土の人たちは沖縄に基地を押しつけて知らんぷり。政府は沖縄の負担軽減と言いながら、ヘリパッドの強引な建設を進めている。すぐにでも沖縄から基地を引き揚げてほしい。トランプにはそんな決断を期待します」

一方、嘉手納飛行場をはじめ、多くの基地が隣接する沖縄市のコザで働くタクシーの運転手は、こう話しだした。

「トランプさん? どうなるかねぇ。ただ、この辺りはみんな基地賛成だよ。だってアメリカ人がいなくなったら商売できなくなるから。ただでさえ景気悪いのにね。トランプさんに基地をどかしてもらったら困るっていうのが本音かなぁ」

このタクシー運転手だけではない。その晩、コザの街では「基地賛成」の声を何度も聞くことになる。

基地問題について、賛成派と反対派の様々な意見が交錯する沖縄。一体、トランプ大統領の誕生によってどうなっていくのか?

発売中の『週刊プレイボーイ』49号では、大統領選の余波で揺れる沖縄を取材。高江、辺野古、コザ…基地問題で揺れるエリアを訪れ、トランプ・ショックに対する現地の声を集めた。さらには、基地で働く黒人米兵たちにも話を聞いたので、是非ご覧いただきたい。

(取材・文・撮影/桐島 瞬)

■週刊プレイボーイ49号「【現地ルポ】 トランプ勝利、そのとき沖縄で悲鳴が上がった!!」より