鈴木宗男氏(左)と佐藤優氏(右)による対談講演会「東京大地塾」。今回のテーマは北方領土交渉だ

鈴木宗男・新党大地代表と、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏による対談講演会「東京大地塾」。今回のテーマは、最近雲行きが怪しくなりつつある北方領土交渉だ。

今月半ばの日露首脳会談を前にして、国後島・択捉島に北海道東域を射程に含むミサイルがロシアによって配備された。その狙いとは? 鈴木氏と佐藤氏が語る。

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鈴木 ロシアが最新鋭の地対艦ミサイル「バル」を国後島に、「バスチオン」を択捉島にそれぞれ配備したと報道されています。ただ、ロシアのショイグ国防相は今年の3月に、北方領土を含む千島列島に、新型対艦ミサイルを今年中に配備すると言っていました。

つまりこれは、予定どおりの行動なんです。私はそういう意味では、日本はあまり神経質に反応すべきではないと思っていますが、佐藤さんはどう思われますか?

佐藤 この話は日露関係に関わるもので、今あそこにミサイルを置けば、今後、北方領土交渉を進めるなかで、日本がミサイルをどかすよう頼んだ場合、ロシアの軍に対してなんらかの譲歩をしなければならなくなる。ミサイルを置くことでロシア軍にとってはメリットしかないわけです。

鈴木 ただ、私は北方領土は非軍事化するべきだと考えています。アメリカとの関係もありますからね。北方領土のロシア軍の地対艦ミサイルは、アメリカの出方を見るという意味もあるんでしょうか?

佐藤 対艦ミサイル配備のニュースが流れた11月22日、尖閣諸島にもロシア海軍艦艇から発艦した艦載ヘリコプターが接近しました。いつもと違うことをやるときは、その行動によって誰がどのように反応をするかを見ているということなんです。

そして、今回の件に関してロシアは日本が大きな反応をするとは思っていない。だから日本の動きというよりも、アメリカがどう対応するか、中国がどう出てくるかを探るためにやっているんだと思う。

ロシアは、北方領土と尖閣を使って、トランプ政権になった後の在日米軍がどういう動きをするかを見ていたんです。

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対談はこの後、「プーチンが北方領土交渉に消極的な理由」についても言及。果たして、ロシアは本当に北方領土を返すつもりがあるのか? ロシア情勢に精通するふたりが語った記事が掲載中の『週刊プレイボーイ』51号を是非ご覧いただきたい。

(取材・文/小峯隆生 撮影/五十嵐和博)

■週刊プレイボーイ51号「鈴木宗男×佐藤優 国後・択捉に最新型ミサイルをロシアが設置する理由はこれだ!!」より