クリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、世界の一流選手がそろうレアル・マドリード

各大陸チャンピオンが一堂に会し、クラブ世界一の座をかけて戦うクラブワールドカップ(CWC)が、いよいよ開幕する。

現行方式になった2005年大会から数えて12回目となる今大会も計7チームが参加。ヨーロッパ王者のレアル・マドリード(スペイン)、南米王者のアトレチコ・ナシオナル(コロンビア)、北中米カリブ海王者のクラブアメリカ(メキシコ)、アフリカ王者のマメロディ・サンダウンズ(南アフリカ)、アジア王者の全北(韓国)、オセアニア王者のオークランドシティーFC(ニュージーランド)、そして開催国枠として日本の年間チャンピオン、鹿島アントラーズが参戦する。

これら豪華な顔ぶれが一発勝負のトーナメント方式で世界王座を競うわけだが、やはり優勝候補筆頭は文句なしでレアル・マドリード、対抗馬はアトレチコ・ナシオナルと見て間違いないだろう。

まず、15-16シーズンの欧州チャンピオンズリーグを制したレアルは12月15日の準決勝から参戦し、全北対クラブアメリカ戦(12月11日)の勝者を迎え撃つことが決まっている。

とりわけ注目したいのは、フランスが誇る世界的レジェンドで、今年1月からチームを率いるジネディーヌ・ジダン監督だ。現役時代には「銀河系軍団」の中心としてレアルの輝かしい歴史を彩ったジダンではあるが、監督経験ゼロの状態でチームを率いることになった時は、さすがに周囲から疑問の声が上がった。

ところがそんな周囲の雑音をよそに、ジダンはあくまでも“和”を大切にしながらチームをひとつにまとめ上げると、いきなり最も難しいタイトルとされるチャンピオンズリーグを獲得。ブラジル代表MFのカゼミーロを4-3-3のアンカー(中盤の底)に固定した采配も見事に的中し、それによってチーム最大の売りである3トップ、カリム・ベンゼマ、ギャレス・ベイル(故障により戦線離脱中)、クリスティアーノ・ロナウドの“BBC”トリオがいかんなく実力を発揮するようになった。

しかも現在、レアルは昨シーズンから続く公式戦連続無敗記録を更新中。最大のライバルであるバルセロナとの直接対決“エル・クラシコ”も1-1のドローで乗り切ったばかりで、目下のところ無敗記録を33試合に伸ばしている。もしあと1試合負けなければ、88-89シーズンに達成したクラブ記録の34試合に並ぶというのだから、もはや監督の経験不足を不安視するような声はない。

チャンピオンズリーグに続き、8月にはヨーロッパ・スーパーカップも手にしており、CWC優勝を果たせば、ジダンは監督として3つ目のメジャータイトル獲得となる。現役時代には1996年にユベントス、2002年にはレアルの一員としてCWCの前身にあたるトヨタカップ(インターコンチネンタルカップ)優勝を経験しているだけに、相性のよい日本の地で再び歴史を作ることができるのか注目が集まる。

アトレチコは死にもの狂いで挑んでくる

一方、打倒レアル・マドリード最右翼と目されるコロンビアの名門アトレチコも注目のチームだ。こちらもレアル同様、12月14日に予定されている準決勝にシードされており、まず鹿島対オークランドシティー(12月8日)の勝者がマメロディ・サンダウンズと12月11日に対戦、その試合の勝者が相まみえる。

アトレチコにとって、今回のCWCは特別な大会だ。もちろんかつて1989年に東京でトヨタカップ(インターコンチネンタルカップ)を戦い、ミラン(イタリア)の前に延長戦の末に涙を飲んだ時のリベンジの意味もある。しかし、それ以上に彼らが士気を高めている背景には、11月28日にコロンビアで起こった飛行機墜落事故がある。

事故2日後にコロンビアのメデジンで予定されていたコパ・スダメリカーナ決勝第1戦。対戦相手となるはずだったブラジルのシャペコエンセの選手とチームスタッフ、さらにはジャーナリストらが乗ったチャーター機が山中に墜落。71人の死者を出したサッカー史に残るこの悲劇は、アトレチコにも大きな衝撃と悲しみを与えたことは言うまでもない。

それだけに、シャペコエンセと深い絆で結ばれたアトレチコとしては、CWCは是が非でも手にしたいタイトル。勝ってシャペコエンセの人々と喜びを分かち合うことを大きなモチベーションとして、死にもの狂いで挑んでくるはずだ。

これまでコロンビアやエクアドルの代表監督も歴任したレイナルド・ルエダ監督率いるアトレチコの強みは、ミゲル・アンヘル・ボルハとオルランド・ベリオらのFW陣を中心とする攻撃力にある。特に6月に加入したボルハは、新戦力ながらリベルタドーレスカップの準決勝と決勝で計5ゴールを量産。今や欠かせないストライカーとして大きな期待を集めている。

その他、もちろん日本のサッカーファンにとっては鹿島への期待も膨らむところだろう。なぜなら昨年のサンフレッチェ広島だけでなく、過去には浦和レッズ(2007年)とガンバ大阪(2008年)が日本開催のCWCで3位に食い込んでいるからだ。

鹿島の場合は広島と同じく、アジア王者ではなく開催国枠での出場というハンデもあるが、12月3日に浦和レッズを下したチャンピオンシップ決勝の勢いをそのままに、初戦となるオークランドシティー戦に臨みたいところ。

見どころ満載となっている今回のCWCは、12月18日の決勝まで熱戦が続く。

(文/中山 淳 写真/ゲッティイメージ)