再集計にもあくまで余裕のトランプ氏だが、最後の最後でまさかの!?

ロシアのハッキングによって、投票がトランプ有利に不正操作された―。

そんな噂を背景に、緑の党の大統領候補だったジル・スタイン氏がウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルベニア州の投票結果の再集計を求めたのは11月25日のこと。ジャーナリストで、米フォーブス誌のジェームズ・シムズ記者が説明する。

「これまでに獲得した選挙人はトランプが306人、ヒラリーが232人。この3州の選挙人を合わせると46人なので、3州の結果がすべてひっくり返れば、トランプ260、ヒラリー278となり、ヒラリーの逆転勝利となるのです」

ということは、まさかの大逆転でヒラリーが次期大統領に就任することも!? しかしシムズ記者は苦笑しながら次のように話す。

「とはいえ、3州すべてで投票結果が変わる可能性はほぼゼロ。ヒラリー陣営も外部による不正の証拠はないと話していますから」

だったら、なぜ緑の党は再集計を要求しているのか?

「州の再集計の期限は12月13日です。集計に手間取り、期限までに終わらない場合は、その州から選挙人を出せない決まりになっています。もし、3州46人の選挙人が出せないと、トランプ氏の選挙人獲得数は260となり、過半数の270を下回ることになるんです」

選挙人が過半数に達しないと、どうなる!?

「憲法の規定により、大統領は下院の議員が多数決で選ぶことになります。そして上院が多数決で副大統領を選びます。現在、上院・下院ともにトランプ支持の共和党が多数を占めているので、議会投票になってもトランプが当選するでしょう。

とはいえ選挙人で過半数を取れず、総投票数でも対立候補に負けた候補(ヒラリー6252万票、トランプ6120万票)が大統領に就任するとなれば、国民の大半からトランプ氏は正当性に欠けると言われかねない。緑の党はそれを狙っているのかもしれません」

そして唯一残された道とは?

ただ、このシナリオもまた、トランプ当選を覆すものではない。ヒラリーの大逆転は望み薄か。

「可能性は限りなくゼロに近いのですが、たったひとつだけ道が残されています。12月19日に選挙人による投票が行なわれ、正式にトランプ大統領が誕生しますが、この投票で38人が造反し、ヒラリー氏に票を投じれば数字上、268対270でヒラリー氏が勝利します」

過去には数人だが、選挙人が造反したことはあったという。

まだまだ終わらない米大統領選。12月19日、世界はまさかの大逆転劇を目撃することになるのか? 要注目だ。