「アマチュアには間違いなく、変態の才能が埋まっているんです」と語る野本ダイトリ新社長

「つまらなくなったSODを3年以内に潰せ!」。今年9月、SOD社主・高橋がなり氏は、野本ダイトリ新社長にそう告げた。この言葉が意味するもの、それは“見たことがない新しいAV”を作れというむちゃぶりであった。

当初は途方に暮れた野本氏。しかし、今はある希望を見出している。それは、アマチュアならではの“型破りな発想”だ! 前編記事に引き続き、野本氏に聞いた。

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―では、アマチュアを生かすプロジェクトは、どんなことが考えられますか?

野本 今はスマホさえあればAVを撮れる時代です。なので、撮影した動画を配信できて、みんなで楽しめる“エロ特化”の動画共有サイトを作りたい。カップル同士の趣味で撮っている人たちをサポートするなど、そこからいろいろな展開が考えられますね。うまくいけば、個人でのエロ動画撮影が今よりカジュアルになるんじゃないかな。一般人が話題を拡散したほうが、エロ業界は盛り上がるのではないかなと思います。

僕たちは動画を配信できる場所を提供し、モザイクや個人情報などを整えるイメージです。

―ただ、最近のAVユーザーは10代、20代はサンプル動画で済ませちゃいがちで、ちゃんとお金を落とすのはもっと上の世代です。で、上の世代になるほど、そういう“新しいモノ”には飛びつかないのでは?

野本 でも、高齢者の方だって、今のAVにはマンネリを感じていると思いますよ。「動画共有サイトに参加して!」と促すことはできなくても、高齢者の変態アマチュアを監督やスタッフとして育成していきたい、とは考えています。

ただ、そこから生まれるのはAVじゃなくてもいい。団塊世代が親しんだ“昔ながらのエロ本”を創刊したり、VHSを復活させたりね。世代を絞った展開はできるはずです。

―では、手始めにできそうなことはなんでしょうか?

野本 高橋がたくさんの人をクビにしたんで、会社にスペースが余っているんですよ。そこに、アマチュアの皆さんが「こんなAVを見たい!」って語れるカフェを作りたいですね。語るだけならネットでもやれるけど、変態同士が顔を突き合わせて話すことが大事だと思ってます。

もう、“エロ面白”ければなんでもいいんですよ。「こんなオナホ考えてるんだけど、どう?」とか「おっぱいと同じ質感の素材を開発しました!」とか大歓迎です。そもそもTENGAだって、オナニー好きの自動車エンジニアが、うちの高橋に試作品を持ち込んだのがキッカケですからね。アマチュアには間違いなく、変態の才能が埋まっているんです。

―ちなみに、これらのプロジェクトが失敗してしまったら?

野本 高橋が“新しい! 面白い!”と評価してくれなきゃ、どんなに儲かってても、SODは潰されますからね。マジックミラー号も中古車サイトに掲載されるんじゃないですか(笑)。

東京・新中野にあるSODの窓口に、野本社長の等身大パネルが。社内には新社長を一丸となって支える空気が充満していた

●野本ダイトリ1981年生まれ、埼玉県出身。2004年、ソフト・オン・デマンドに入社。以後、AV監督として活躍する。原紗央莉のAVデビュー作を手がけるなど実績を残した。入社13年目の今年、代表取締役に抜擢された

『週刊プレイボーイ』49号、「一億総『アマチュアAV』時代がやってきたぞー!!!」より

(取材・文/直井裕太 撮影/関 純一)