なぜ、ASKA容疑者はクスリをやめられなかったのか?

タレントの酒井法子氏の元夫・高相祐一容疑者に続き、11月28日には歌手のASKA(本名・宮崎重明)容疑者が覚せい剤取締法違反(使用)で再び逮捕された。2014年に有罪判決を受けて、執行猶予中の出来事だった。

なぜ、彼はクスリをやめられなかったのか? 薬物依存者回復支援団体「日本ダルク」の三浦陽二ディレクターが、自身の依存経験を踏まえ、その難しさを語ってくれた。

「まず『覚醒剤やめた?』と聞かれて、すぐに『やめた』と言ってるうちはダメです。一時期やめるのは簡単なんです。でも、またやりだして、またやめての繰り返し。僕も100回以上、覚醒剤をやめてますから。

覚醒剤は禁断症状がありません。よくテレビドラマなどで首をかきむしりながら床をのたうちまわっているシーンなどがありますが、あれはヘロインなどのアヘン系の禁断症状。覚醒剤はクスリが切れるとただ寝ているだけ。だから1、2ヵ月空けるのは簡単で、こんなのいつでもやめられると思ってしまう。

もし、その時期に『やめた?』って聞かれれば『やめた』って答えるでしょう。実は“すぐにやめられると思ってしまうこと”が覚醒剤をやめられない理由のひとつでもあるんです。

一方で、本気でやめようと思っている人は、『自分はまたやってしまう』とわかっているから、『○年間、やめ続けている』と答える。これは大きな違いです」

三浦さんが逮捕されたのは20歳のとき。初犯だったので3年の執行猶予がついたが、結局はやめられず、26歳で再び逮捕された。

今度は刑務所に入ったこともあり、「もう二度と覚醒剤はやらない」と決意を固くしたが、同じ房の中にも覚醒剤で捕まった人がいたこともあり、「そうすると『今度は俺から買えよ』『俺のほうが安いぞ』とかそんな話ばかりになる。すると罪の意識がなくなって『捕まったのは運が悪かったからだ』と考えるように」なったと言う。

しかも、刑務所から出所しても、付き合うのは結局、覚醒剤をやっている知人や友人ばかり。

「覚醒剤をやっていると普通の友達はどんどん減っていきますよね。クスリをやっていることを隠しているわけだから、普通の人とは会いたくなくなるし、会ってもなんか信用できなくなる。そうなると、クスリをやってる友達としか会わなくなる。だって『昨日、やりすぎてちょっと具合が悪いんだよ』とか本音を言えるのは、やってる友達だけです」

いつでもクスリが手に入る環境から抜け出すことができなければ、自分の意志だけで覚醒剤をやめ続けることは難しい。生活の根本を変えなければならないのだ。

元依存者である三浦さんが語る生々しいエピソードの全文は、発売中の『週刊プレイボーイ』52号に掲載中。是非ご覧いただきたい。

(取材/村上隆保)

■週刊プレイボーイ52号「ASKAが再び逮捕! 元依存者が語った! 覚醒剤がやめられない真の理由」より