カジノ解禁に向けたIR法案が衆院を通過し、参院での審議を経て年内にも成立する見通しだ ※写真はイメージです

ついに日本にカジノがやって来る。カジノ解禁に向けた統合型リゾート(IR)整備推進法案、いわゆるIR法案が衆院を通過し、参院での審議を経てまもなく成立する見通しなのだ。カジノ空白地だった日本にも本格的なカジノができるのは時間の問題といえそう。

そこで気になるのはカジノの立地だ。国内につくられるカジノの数は10前後、当初は2、3ヵ所に絞るとされている。特に有力なのは神奈川、大阪だ。IR議連の関係者がこう力説する。

「横浜は神奈川2区選出の菅義偉官房長官の膝元。山下埠頭にカジノを誘致すべく、すでに横浜市では用地取得のために150億円の予算も手当てしており、誘致はほぼ当確と目されています。もちろん、その背景に菅長官の存在があるのは言うまでもありません」

一方の大阪も橋下徹市長時代のおおさか維新の会(現・日本維新の会)が早くからカジノ誘致に乗り出し、関空に近い夢洲に用地70haを確保している。

「橋下氏と松井一郎府知事は菅長官と親しい。しかも、維新は改憲に積極的で、安倍首相が憲法改正に乗り出す際には補完勢力として協力の姿勢を打ち出している。そのため、官邸もカジノ立地として大阪をプッシュしており、横浜と並ぶ有力候補とされています。将来、カジノ管理委員会が自治体を選ぶ際、菅長官との太いパイプがモノをいうというわけです」

ちなみに、カジノ招致レースの先頭を走っていた東京は現在、迷走中。カジノに慎重だった舛添要一前知事時代に、カジノ予定地として確保していたお台場の都有地をBMWのショールーム兼試走コースに貸し出してしまったのだ。

では、このまま菅長官と関係の深い神奈川と大阪で決まりそうなのか…というと、そうでもないらしい。自民党関係者が言う。

「IR法案を早期採決させた本当の立役者は首相じゃない。圧倒的なパワーで成立に大号令をかけたのは二階俊博幹事長ですよ」

『二階が本気でカジノ利権を取りにきた!』

この関係者によると、もともとカジノ実現に執念を燃やしてきたのは菅長官だったという。菅長官は自らが仕切る内閣官房に「カジノ特命チーム」を設置。そのため、カジノ合法化後は、国内のカジノを所管するカジノ管理委員会も内閣府に置かれる予定になっている。だからこそ、カジノ用地の決定には菅長官の意向が深く関わってくるのだ。

「カジノ利権を狙って厚労省や法務省、財務省などがしのぎを削る局面もあったのですが、菅長官のひと声で収まった。今後はカジノ管理委員会に各省からの出向者を受け入れ、内閣官房から菅長官が利害関係を調整することになるはずです」

だが、そこに“豪腕”幹事長が割り込んできた。前出のIR議連関係者が言う。

「昨今、『二階が本気でカジノ利権を取りにきた!』ともっぱらです。二階幹事長が強引に割り込んできたことで、日本のカジノシーンはこれまでの『菅ワールド』から『二階ワールド』へと変貌しつつある。IR法の立法趣旨は国際観光振興。その意味でカジノは観光政策を担当する国交省の管轄ともいえるんです。

当然、国交族のドンである二階幹事長は国交省に『菅が牛耳るカジノ管理委員会から利権を取り戻せ!』と檄を飛ばすことになる。そうなれば、内閣府と国交省の間で菅vs二階の代理戦争が勃発するかもしれません」

その結果、大阪、神奈川のほかに、二階幹事長と関係の深い土地が有力候補として浮上してきた。詳細は発売中の『週刊プレイボーイ』52号の「壮絶なカジノ誘致バトルの内幕」を是非ご覧いただきたい。

(取材・文/本誌ニュース班)

■週刊プレイボーイ52号「壮絶なカジノ誘致バトルの内幕」より