「九州で行なわれた11月場所も観戦しました! 間近で見ると力士たちの肌の色つやまで確認できます」と語る市川紗椰

『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。

報道情報番組『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)ではメインMCを務める人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。

今回のテーマは「大相撲11月場所」。大の相撲ファンである彼女が注目する“小兵”力士とは?

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先の11月場所では、1年2ヵ月ぶりに鶴竜(かくりゅう)が優勝を飾りました! ここ最近、ケガもあって成績が芳しくありませんでしたが、今場所では横綱の意地を見せてくれました。

鶴竜好きの友人は、開幕当初から「今場所の鶴竜は輝いてる。すごい存在感だ」と言っていたんですが、私にはイマイチわかりませんでした……。私の中で、鶴竜って存在感が薄いんですよね(苦笑)。

一方、綱取りの重圧から解放された稀勢の里は生き生きしていて、3横綱を連破するなど神がかった強さを見せていたんですが、その後は格下の栃ノ心に敗れるなど、優勝に及びませんでした。

私の大好きな“豪ちゃん”こと、綱取りがかかっていた豪栄道も、今場所は9勝6敗と厳しい成績に終わりました。前半は決して内容が悪かったわけではないんですが、2回も物言いがついて2回とも黒星になってしまうなど、なぜか運がないんです。

場所前から私が注目していて、期待どおりの素晴らしい取組を見せてくれたのは、石浦です。新入幕で10勝し、敢闘賞も受賞しました。自分らしい取組ができたことが何より素晴らしいんですが、来場所は幕内力士たちも研究してくると思うので、試練の場かもしれません。

石浦は、なんといってもあのムキムキの体つきが際立ってますよね。ベンチプレスで200kg、高校時代には50m走で6秒3を出した本物のアスリートです。お父さんが相撲の超名門・鳥取城北高校相撲部の監督をされていて、離乳期からちゃんこを食べていたという相撲のサラブレッドなんですが、実は大学時代に体重が減ってしまい、相撲の道を一度は諦めたそうなんです。

同じ小兵でも、みんなスタイルが違うのが面白い

その後は総合格闘技を志したり、オーストラリアに語学留学もしました。でも結局、現地で相撲のビデオを見て熱くなり、相撲の道に帰ってくることになります。ちなみに留学中、映画『ウルヴァリン』にセリフ付きの役で出演を打診されたそうですが、帰国と撮影時期が重なったので、結局は断ったそうです。石浦がハリウッド映画に出ていたかもしれないと思うと、不思議ですよね(笑)。

身長173cm、体重114kgの石浦は、力士としてはとても小柄です。ただ、今、石浦に限らず“小兵”といわれる力士の活躍が目立つんですよ。石浦と身長が同じで、体つきもムキムキの筋肉質な宇良(うら)は、「居反(いぞ)り」などの変わった技で注目されていますね。

嘉風(よしかぜ)も176cmと小さいんですが、11月場所では192cmの照ノ富士を吊り出しで土俵から出したんです! 嘉風の取り口はスピードがあって、たまに血だらけになったりもするので、すごく盛り上がります(笑)。

同じ小兵でも、みんなスタイルが違うのが面白いですね。宇良のように逃げて逃げて変わった技を繰り出す力士がいれば、石浦のように真っすぐに攻めていくタイプもいます。「小が大を制す」のは、誰が見ても面白いんじゃないでしょうか。

来場所は、照強(てるつよし)という力士が十両に上がってきます。彼は168cmしかない小兵中の小兵なんですが、11月場所では幕下全勝優勝を果たしました。体の小さい力士たちが暴れ回ってくれることに期待しています。

●市川紗椰(いちかわ・さや)1987年2月14日生まれ。アメリカと日本のハーフ。モデルとして活動するほか、報道情報番組『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)ではメインMCを務める。今の相撲界は、ボディビルダー出身の朝山端(あさやまばな)など、ムキムキ力士も熱い