“大谷買い叩き協定”ともいわれる新労使協定だが、本人はそろばん勘定には関心なし?

日本ハム・大谷翔平(22歳)のメジャー進出に、とんだ邪魔が入ってきた。

MLB(米メジャーリーグ機構)と選手会が合意した新労使協定によれば、大谷が25歳未満でメジャーに移籍した場合、スタートはマイナー契約となり、契約金は最高でも1千万ドル(約11億4千万円)、メジャーに昇格しても1年目の年俸は最低保障の54万5千ドル(約6200万円)に制限されるというのだ。

「NPB(日本野球機構)サイドではこれまで『日米間選手契約に関する協定』があるため、この新労使協定は適用除外と思っていました。ところが今回、メジャー側は“大谷も例外ではない”と明言したわけです」(スポーツ紙デスク)

当初は10年総額3億ドル(約340億円)の超巨額契約まであるとみられていた大谷にしてみれば、この降って湧いた新労使協定は“買い叩き”もいいところ。「金がすべてではない」という大谷ではあるが、今後どんな選択肢があるのか?

「まずは25歳となる2020年のシーズンまで移籍を待つこと。しかし、大谷は1年でも早い移籍を希望しているだけにこの線は薄い。ふたつ目はNPBがメジャー機構に対して適用除外を勝ち取ること。だが、これもNPBにそんな交渉能力があるとは思えない。そうなると1年目はおとなしく新ルールに従い、2年目以降に新たな契約を結ぶというのが現実的でしょう」(メジャーリーグ球団関係者)

メジャー球団のスカウトをして「潜在能力はメジャーのドラフト1巡目選手をはるかに上回る」と言わしめる大谷だけに、最初の1年さえ辛抱すれば、2年目から大型契約を勝ち取ることは決して難しいことではないという。

「大谷はまだ若く、投打ともに未完成な部分はありますが、むしろそれは“伸びしろ”でもある。おそらく7年、8年という長期契約で、故障さえなければ2千万ドル、3千万ドルという年俸に達することは十分に可能でしょう」(某メジャー球団スカウト)

30球団すべてが入札に参加するのでは?

実際、メジャー各球団の大谷への関心は日に日に高まっており、関係者の間では「30球団すべてが入札に参加するのでは?」とも…。その一方でメジャーのスカウトたちが懸念するのはやはりあの話題だ。

「二刀流です。右投げ左打ちの大谷は、打席では常に利き腕への死球の不安がついて回る。走塁でのケガも想定しなければならないし、自打球もある。万が一、ケガでもしたら、どれくらいの期間、戦線離脱し、先発ローテから外れるのか。そのシミュレーションをどの球団も徹底的にするでしょう。その結果、投資額に合わないと判断した球団は入札から撤退するのでは」

いわば大谷の技量ではなく、「ケガ込みでいくら払えるか?」がメジャーの判断基準だというのだ。

「日本の投手は大谷に対して厳しい内角攻めをしていない。だが、アメリカではまったく遠慮はないですよ」

そんなシビアな世界を前に、大谷はどんな選択をするのだろうか。